極地研究所の一般公開では、サイエンスカフェ(ミニ講演)を中心に見てきました。
私は、「サイエンス」より「カフェ」の方に惹かれたのかもしれません。

そのサイエンスカフェの中で、最後に見た「日本の天気予報を改善する北極海の気象観測」が最も印象に残っています。
講演したのは、昨年に博士号を取ったばかりの若い研究者。
極地研らしく強めの冷房の中、汗を流しながらの熱い講演でした。

彼によると、北極の気象観測は、日本の天気予報を行う上で非常に重要なのだそうです。
現在、北極圏にある気象観測点は、わずかに16ヶ所しかないそうです。
この16ヶ所では、通常の2倍にあたる1日4回の気象観測を行うことで、観測点数の少なさを補っています。
その効果は大きく、他の観測点と同じ回数分の気象データを入力した場合の気象シミュレーションとの比較を行うと、明らかに気象シミュレーションの精度が低下することが確認できたそうです。
逆説的に言えば、北極の気象は、日本周辺の気象にも大きな影響を与えていることを示しているのです。

さて、その北極ですが、近年、大きな気候変動が起き始めています。
その影響は、必ず日本周辺の気候にも現れるはずです。
以下は、「北極観測」という極地研究所の冊子の抜粋です。
ここでも、最初に「北極に大きな気候変動が起き始めています」が掲載されています。
北極の気候を読み解き、地球温暖化の現状を把握しなければならないようです。

0.北極観測_表紙&裏表紙

1.北極に大きな気候変動が起き始めています