地方鉄道の半数以上が、廃線検討水準を越えていることが指摘されました。


廃線を選択することは、簡単です。
しかし、存続するとなると、ハードルが高くなります。

現状では、旅客のみの運用を前提に、維持費の負担について議論されています。
旅客のみを前提としているため、旅客収入を、維持費支出が大きく上回り、維持が難しくなっています。この支出超過分をどうするのかが、問題になっています。

この前提条件下では、極端な地方移住が起きない限り、いずれ廃線になるでしょう。
前提条件を外す工夫が、これからは求められます。


今年、DMV(Dual Mode Vehicle)が走り始めました。
DMVは、軌陸車の一種で、旅客を乗せたまま、一般の道路も鉄道も走れる車両です。
現状では旅客のみですが、中型や大型貨物をDMV化することも考えて良いと思います。
また、車両の改造が不要なピギーバック方式でも良いと思います。
ただ、鉄路を使うだけでは、大した意味がありません。
そこで、数台を連結して走らせるのです。
そうすれば、運転手を減らすことができます。

もちろん、問題はあります。
DMVの駆動は、鉄輪ではなく、タイヤで駆動しているようです。
DMVのベースとなっているバスの駆動力は、小さくはありません。少なくとも、25%勾配くらいは登れるようです。これは、通常の鉄道には存在しない250‰です。
JR最大勾配は、飯田線の40‰ですから、駆動力自体は余裕です。
ですが、DMVでは、後ろにも鉄輪を出すので、タイヤの設置圧が下がります。貨物まで牽引できるのか、怪しいところです。

DMV型のバスで貨物を引っ張るのではなく、貨物は貨物でピギーバックで走行させるのなら、比較的簡単に運用できるはずです。
テストケースとして、横積みのピギーバックを検討しても、面白いと思います。
つまり、貨車の横から小型トラックを乗せるのです。
車両限界に余裕を持つため、全長2.6m程度の小型トラックを、軽自動車をベースに開発するのです。
横から搭載するなら、前後の車両を気にすることはありません。積み下ろしは、1分と掛からないでしょう。通常の停車時間で、ホームに下ろすのです。(ホームは改修が必要)
将来的には、自動運転で宅配することも視野に入れて、小型ピギーバックの研究・開発をするのも、一案でしょう。

自動宅配の開発は、飛行ドローンで盛んに行われています。
雪深い地域では、これも一案ですが、エネルギ効率の観点では、問題があります。特に、重量物(と言っても10kg超)の運搬は、ロスも騒音も大きくなります。
10kgのお米は、アウトでしょう。
また、1品1機ですから、更に効率を低下させます。
飛行ドローンほど華やかではありませんが、実用性の面では、地上走行ドローンの方が期待できそうです。


メディアは、華やかさを求めますから、こんな地味な研究・開発には興味を示しません。
現政権は、地上走行ドローンが移動式ミサイル発射台なら、興味を持つかもしれません。
どちらにせよ、あてになりそうにありませんね。

地方自治体や沿線の方々が、色々とアイデアを出し合わないと、政府や鉄道会社だけに任せていると、遠からず廃止になると覚悟した方が良いでしょう。



前述のピギーバックを含むモーダルシフトは、温暖化対策の一案になります。
以前にも書いたように、温室効果ガスの排出量をゼロにするために、必要なエネルギを半減させることも重要です。
鉄道のエネルギ効率は非常に高く、貨物輸送では、トラックの1/6以下とも言われています。
 中・長距離輸送を鉄道や船舶に移行させることは、必要なエネルギが少なくなるので、再エネ等への代替が楽になります。

それを考えると、早計な廃線は、政策の愚かさを示します。
広い視野、長期の展望で、政策が進められることを願っています。