「赤字国債を発行し続けても、日本は財政破綻しない」と言い切る人がいて、驚きます。

ちょっと考えれば、破綻することは、簡単にわかります。




GDPと同額の赤字国債を発行し、それを全国民に配るのです。
そうすれば、国民は働く必要はなくなります。

「誰も働かなくなれば、ライフラインや物流が止まってしまう」
御心配なく。
赤字国債を発行して、そのお金で外国人を雇えば済むのです。

赤字国債を発行し続けても日本は破綻しないのなら、こんなことが可能なのです。

電気も水道もガスも電話も教育費も医療費も、全て無料です。
電車もバスも飛行機も船もタクシーも、全て無料です。
住居費も無料ですし、お城を建てても赤字国債で賄えば良いのです。
食品も酒もタバコもガソリンも、無料です。
車も、高級車を買い放題です。
自家用ジェットも、自家用ヨットも、好きなだけかえるのです。

必要なだけ、赤字国債を発行すれば良いのです。
財政破綻しないのですから、好きなだけ赤字国債を発行すれば良いのです。
そうすれば、贅沢三昧できるのです。


でも、本当にそうなのでしょうか?

本気で、「赤字国債を発行し続けても、日本は財政破綻しない」と信じているなら、なぜ国内の全料金の完全無料化を、政党は公約に掲げないのでしょうか。




「赤字国債を発行し続けても、日本は財政破綻しない」ための条件として、『円』が変動相場制を採る必要があるそうです。

変動相場制なので、日本の財政状況が悪化すると、円安方向へ進んでいきます。
赤字国債を発行しまくる国の通貨『円』は、ガンガン円安方向へ進んでいきます。

日本は、国民が生きていくために必要な食糧やエネルギの大半を、海外から輸入しています。
地球温暖化や人口爆発によって、地球全体の食糧事情は、悪化していくことが懸念されます。
その中で、日本は食糧を輸入しなければならないのです。
財政破綻を免れたとしても、弱い『円』では、食糧は輸入できません。




「赤字国債を発行し続けても、日本は財政破綻しない」とする根拠は、「赤字国債を日銀が買って『円』を発行し続ければよい」との、馬鹿げた発想によるものです。

でも、日銀は、政府の債権(赤字国債)を肩代わりしているだけです。
通貨『円』が、日銀の商品です。
日銀は、好きなだけ『円』を生産できます。
ですが、大量に生産すれば、だぶついてきます。すると、他の通貨から相対的な価値が下がっていきます。
この性質を利用したのが、アベノミクスです。
アベノミクスも問題でしたが、それを極限まで進めれば、『円』は暴落します。

仮に、赤字国債による財政破綻を免れることができたとしても、『円』は暴落し、食糧もエネルギも、輸入できなくなります。
国内的には財政破綻ではなくても、国際的には財政破綻と同等です。




「無制限の赤字国債の発行は、極端だ」との反論は、当然、あるでしょう。
でも、「赤字国債を発行し続けても、日本は財政破綻しない」との考えとは相容れないことを、認めなければなりません。

赤字国債の発行には限界があるのです。
当たり前のことです。

むしろ、赤字国債を減らそうとしないのは、無知、かつ非常識です!




赤字国債の発行には限界があります。
これを認めた上で、次の議論へと進みます。


まず、「赤字国債の発行限界は、どこにあるのか?」です。

それには、明確な根拠が示されなければなりません。
なぜなら、日本の経済情勢や国際情勢、自然災害等の要因で、発行限度は変化すると考えられるからです。

様々な要因を睨みながら、赤字国債の発行額を抑制することになります。
それをしないなら、目隠しで崖に向かって突っ走るようなものです。


次は、「発行限界まで発行して良いのか?」です。

赤字国債を限界まで発行した後に、大きな自然災害や戦争に巻き込まれたなら、復興にも、応戦にも、通常の財源しか使えないことになります。
本来は、赤字国債は、このような有事に、緊急避難として発行するものです。
平時に、GDPの2倍の累積債務を抱えていること自体、あり得ないのです。

もう一つ、考えなければならないのは、限界は、状況で変化することです。
赤字国債を発行した時点では限界ないだったとしても、その後の情勢の変化では、限界点が下がり、結果的に限界を超えてしまうことも、あり得るのです。
例えば、日本の経済が失速して、GDP成長率がマイナスになったなら、負担できる累積債務も減り始めます。
なので、十二分に、余裕を持っておかなければなりません。


これ以外にも、莫大な赤字国債は、外交上の弱点になり得るため、日本を揺さぶるために利用される恐れもあります。

例えば、仮想通貨での取引を増やしていくと、『円』を含む従来型通貨の価値が相対的に低下します。
その対策として、中央銀行による赤字国債の買付限度を設定するような、国際条約を提案してくるかもしれません。
当然、日本は調印できません。

いくらでも、日本を標的にした戦略は組めるでしょう。




アメリカは、連邦政府の債務上限が定められています。
アメリカは、債権大国でもあります。
それでも、GDP比では、日本の半分ほどです。

この手の話をすると、「日本国債の多くは、国内で保有しているから大丈夫だ」と言われます。
でも、総額に占める割合での話で、絶対額のGDP比では、アメリカと大差ありません。
また、日本は、国債の半分を中央銀行が保有する歪な構造であり、自国通貨とセットで、人質に出しているようなものです。片方が狂えば、共倒れになりかねません。


アメリカは、債務超過にならないように、制限があります。
日本も、赤字国債の発行には国家の議決が必要ですが、赤字国債の発行に反対する政党が、事実上、存在しないため、極めて危険な状況にあります。
その上、「赤字国債を発行し続けても、日本は財政破綻しない」と信じている政治家までいるので、日本は、滅びの道を進み続けています。




2100年。
日本は、世界地図には残っていないかもしれません。