先週の『チコちゃんに叱られる』でのことです。

「地面の水は浸み込むのに、なぜ海の水は浸み込まないのか?」とのテーマで、「海底の岩石は、水圧で隙間が詰まっているから」との答でした。

これには、私も違和感を持っていたのですが、上手く説明できず、当ブログにも書いていませんでした。

違和感を感じたのは、私だけでなく、専門家もそうだったようです。
京都大学の成瀬准教授や、愛知教育大学の星教授らが、反論を出しているそうです。




「海底の岩石が水圧で緻密になって水が浸み込みにくくなっている」と仮定すると、様々な疑問が湧きます。


まず、波打ち際の海底は、水圧が低いのですが、水は浸み込むのでしょうか。

もし、浸み込むなら、浸み込まない沖合からの海流が生まれそうです。
特に、遠浅の海なら、かなりの海流が生まれそうです。
離岸流は話題になりますが、岸に向かう安定した潮流は、聞いたことがありません。

浸み込まないなら、子供にも水が浸み込まない岩石を作れそうです。
波打ち際の水圧なんか、大したことはありません。
水圧そのものでなくても、水圧相当のことをすれば良いのです。
水より比重が大きな石を載せても良いでしょう。昔の醤油の作り方です。
ハンマーか何かで、突き固める方法もあるでしょう。
ただ、こんなことで、水も通さない岩石を作れるとは思えません。


海底と言っても、全海洋底の7%は大陸棚です。
大陸棚の海底から海水が浸み込んでいったら、あっと言う間に無くなりそうです。

大陸棚の水深は200m未満です。
海水の比重は、1を少し超える程度です。岩石の比重は2〜3くらいですから、地下80mくらいの土圧は、大陸棚の海底の水圧と同じくらいです。
この程度で、水が通らない緻密な岩石ができるのなら、地下80mより下には、地下水は存在しないことになりそうです。


深海底の探査では、有人による6000m以上、あるいは無人による8000m以上でも、海底に到着した際には、海底に堆積したマリンスノーが舞い上がります。
また、メスシリンダーのような採土器で、簡単に海底の堆積物を採取できています。
海底は、水圧が掛かっているのに、固まっていないのです。




このように、水圧で堆積物が緻密になって水を通さない岩石に変わると考えると、スッキリしません。
これを、私は違和感として感じていました。

ですが、なぜ海水が無くならないかを、上手く説明できず、ブログに書けませんでした。

まぁ、今でも上手く説明できませんが・・・


周辺の地下水位と同じであれば、水は浸み込みません。逆に、滲み出てきます。
海岸の砂浜で、砂に水を掛けても、一瞬で砂の中に消えていきます。
でも、少し砂を掘ると、海水が滲み出してきます。
海水が滲み出てくる深さは、ほぼ海面と同じです。

砂なので、水はかなり自由に動きます。砂の中まで、海が広がっているようなものです。これは、一種の地下水位です。
では、「なぜ地下水位を維持できるのか?」と問われると、明確な答を持ち合わせていません。
と言うのも、「不透水層がある」と答えるとしても、不透水層には様々なものがあり、更には、深い位置では、地熱による水蒸気圧でも支えられている可能性も考えられます。
私は、それらに対する知識も乏しく、明確には答えられません。



不完全燃焼ですが、これで終わることにします。

もし、伝えることがあるとしたら、「説明に矛盾がないか、自分の力で考えてみる」ということです。
今回の場合なら、海底の堆積物が水圧で不透水層に変わるとしても、水圧が低いところはどうなるのかと考えてみることです。
そうすることで、間違いに気付きやすくなり、デマにも騙されにくくなるはずです。

御注意あれ。