サクラの開花予想をする上で、気温の予測精度も大切ですが、そもそも予測方法が正しいのか、検証する必要があります。
今回は、当ブログの開花予想で用いた法則について、検証を行います。


当ブログで用いた法則には、下記の4種類がありました。

    157℃の法則   -10℃を基準とした平均気温の積算値で算出
   4730Kの法則   絶対零度を基準とした平均気温の積算値で算出
    300℃の法則   -10℃を基準とした最高気温の積算値で算出
   5045Kの法則   絶対零度を基準とした最高気温の積算値で算出

これらは、いずれも東京と札幌の過去の開花日前の気温から算出しました。
具体的には、横軸には開花日前の積算気温、縦軸には開花日前の気温をとったグラフを、東京の実測値と札幌の実測値について作成し、両者のグラフの交点から、起点温度と積算気温の関係を読み取る手法です。
しかし、いずれの手法でも、予測日と実績との差の標準偏差は、3日余りありました。
つまり、今回のように2日程度の誤差で予測が的中する確率は、半分もなかったのです。
その意味では、検証するまでもなく、今回の結果はマグレと言われても仕方がなかったのです。

では、なぜ誤差が発生するのでしょうか。
その一つが、下記のグラフに現れています。

予測方法の誤差

これは、最高気温による起点温度と積算気温の関係を示したグラフです。
東京の実測値と札幌の実測値から、起点温度を求めようとしたのですが、実測値だけでは正確な交点を読み取ることが難しいため、3次関数で近似することにしました。
(上のグラフの滑らか線が近似値です)

しかし、グラフの左端の三角(水色)の部分から分かるように、札幌の気温は、近似値と実測値との間に無視しがたい違いがあります。
これが、誤差の要因の一つになったものと思われます。
この部分は、来年のサクラ開花予想の課題と考えています。



これ以外の要因としては、気温の積算方法が考えられます。

今回の開花予想では、-10℃、または絶対零度を基準として、積算気温を計算しました。
しかし、休眠打破の特性を考えると、もっと高い気温が基準となるはずです。
来年のサクラ開花予想までには、この問題も解決したいとおもっています。



最後に、総括します。

王手の気象会社と同等以上の精度で開花を予想できたのは、マグレだったと言われても仕方がないところがあります。
ですが、東京の開花予想のみならず、全く異なる手法ながら鹿児島の開花予想も気象会社より高い精度で予測できた事実もあります。
特に、鹿児島の開花予想は、相関係数が0.9を超える高い精度が確認できています。
また、サクラの開花時期は、標準偏差で6日以上のばらつきがありますが、今回の手法でも標準偏差で3日程度に収まっていることから、多少の予測はできていたと思います。
これらから、基本的な考え方は、大きな間違いがないと思っています。

同時に、多くの課題も見つかりました。
気温の予測精度、起点温度の確定精度、積算気温の基準温度、休眠打破との整合性等は、来年のサクラ開花予想に反映しなければならない課題だと考えています。

個人的には、昨年は己の数学力の不足を痛感しつつ断念せざるを得ず、悔しい思いをしましたが、今年はまずまずの結果を得られたことに満足しています。
もちろん、課題が明確になった状態で放置するつもりはなく、来年には更に高精度の開花予想を実現したいと意気込んでいます。
そして、この延長線上にある、本来の目標である気象予測が、具体的な形として見え始めています。

これからも、地道に努力を積み重ねていくので、御期待ください。