今では多くの方が、「深層海流」を御存知でしょう。
アイスランド沖付近で深海に潜り込んだ海水が世界中に流れ、例えばペルー沖で湧昇流となって海面に戻ってくるのが、「深層海流」です。
本書では、日本海にも同じような垂直方向の海流を含む「深層海流」が存在し、日本海の生態系のみならず、日本の気候にも影響を与えていることを説明しています。
ところで、この「深層海流」ですが、気候にも密接に関係していることがわかってきています。
氷河期が終わった直後に、一時的に氷河期並みの寒冷化が起きていたことが分かっています。
この現象は、カナダの大西洋側で氷河湖が決壊して大量の淡水が北大西洋の表層を覆ってしまったため、深層海流が遮断され、急激な寒冷化が起きたとの説があります。
これを題材にしたのが、映画「The DayAfter Tomorrow」です。
日本海に話を戻しましょう。
日本海は小さな内海ですが、世界の海を巡る深層海流の小型版を持っています。
この日本海の深層海流が、徐々に鈍り始めていると言うのです。
日本海では、規模が小さい分だけ現象が早く進みます。
また、日本海で起きることは、後々世界の海でも起き得ると考えられます。
そういった事柄を本書で指摘しており、一読に値すると思います。
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