結論を言ってしまえば、再生可能エネルギーの発電量に応じて、消費電力量を調整する生活を送るしかないということです。


現在の電力は、需要に合わせて供給を調整しています。
ですが、発電力の制御が難しい再生可能エネルギーでは、供給に合わせて需要を抑制することになります。
それが、「再生可能エネルギーの範囲内で経済を回していく」ことを意味します。

暑くても寒くても、電力が足りないなら冷暖房を止めるのです。

それをしなければ、周波数が低下し、水力発電所や地熱発電所の発電機が停止してしまい、大規模な停電になるかもしれません。

一般家庭でも、不意の停電は冷蔵庫が止まったりして困りものですが、工場は停電で機械が故障したり、製品がダメになったりすることもあるので、損失は更に大きくなります。

その損失も、最終的には消費者に降りかかってきます。

場合によっては、企業の国際競争力が低下し、大量の失業者を抱えることになるかもしれません。

 

再生可能エネルギーの普及が進んでいると評価されるドイツですが、実態を見ると問題は少なくありません。

まず、電力が不足した際には、国外から電力を購入しています。

その中には、フランスの原発で発電した電力も含まれます。

また、再生可能エネルギーで発電した電力を国外に輸出しているのですが、全てを買い取ってもらえる訳ではありません。

廃棄物の扱いで、電力を有償で引き取って貰う場合もあるのです。

発電すればするほど、国外の電力会社に支払うお金が増えるのです。

それくらい、余った電力の処分は大変なのです。

しかも、今後、周辺国が再生可能エネルギーへ転換していけば、現在は販売できている電力も買い手が付かなくなり、更には有償でも電力を処分してくれる国がなくなってしまうかもしれません。

 

日本は、海外の電力系統とは繋がっていません。ドイツより厳しい環境にある日本において、余った電力はどうするのか、キチンと考えておかなければなりません。


 

こうして考えてくると、「再生可能エネルギーの範囲内で経済を回していく」未来社会の実現は厳しいものがあるように思えます。