農林水産省の❝『知』の集積と活用の場の構築に向けた検討会❞は、
強い農水産業を作るために新たな産学連携の仕組みが必要との見解を示しました。
これまでは、公的研究機関主体で、異分野との連携が一部に留まっていた現状を
改善することを目指しています。
 
 
まず、「人のオープン化」です。
「人のオープン化」とは、農林水産・食品分野の関係者に加え、
異分野も含めた産学官の研究者と研究機関、金融、消費者、非営利団体等の
多様な人材が活躍できる環境です。
 
次が、「情報のオープン化」です。
これまで農林水産・食品分野と異分野にそれぞれ蓄積された成果情報を共有し、
多様なステークホルダーが活発な情報交流を行える環境を作ります。
 
更に、「資金のオープン化」です。
これまでは公的資金に限定されていましたが、
民間資金などの資金を柔軟かつ戦略的に活用して研究開発を実施しています。
 
 
これらを具体的に機能させるため、研究開発プラットフォームを形成します。
まず、生産者、民間企業、大学、研究機関、非営利団体、金融機関、自治体などで
「産学連携協議会」を構成し、支援していきます。
研究開発プラットホーム内では、
個別課題に対応した研究開発を担う「研究コンソーシアム」を組織します。
 
 
参考とするのは、オランダです。
オランダは、九州地方とほぼ同じ41526km²の国土面積ですが、
農林水産物・食品の輸出額が773億ドルと世界第2位の額です。
オランダは、ワーヘニンゲン大学が中心となり、
世界規模の食品企業など民間企業約1500社とフードバレーを形成し、
農業・食品分野の世界的な研究開発拠点を構築しています。
 
 
オランダの人口は、九州(約1300万人)よりやや多い約1650万人ですが、
国土の大半が平地で農業に利用可能です。実際、国土の44%が農地です。
日本全体との比較では、人口は日本の8分の1ですが、農地は日本の4割です。
一人当たりでみると、日本の約3倍の11.2a/人の農地面積です。
それでも、カロリーベースの食料自給率は、70% ±10%程度です。
 
オランダを真似るということは、食料自給率を捨て、商業主義の農業へ舵を切る
ということになります。
もちろん、産学連携は必要であり、ぜひ実施すべきですが、
カロリーベースの食料自給率がなぜ重要なのかを忘れてほしくないところです。
というのも、
オランダは、必要ならいつでもカロリーベースの食料自給率を向上させられるポテンシャルを持っているのに対し、日本は、公開されている食料自給率よりも実態が低いのです。
 
オランダを参考にするのは良いことですが、考えながら取り入れていくことが大切だと
思っています。