「馬力」と「トルク」?
この違いは、知っているようで知らないのでは?
「加速はトルクで決まり、最高速は馬力で決まる」と理解されているのでは?
 
本当は、加速も「トルク」ではなく「馬力」で決まります。
「トルク」とは、エンジンがシャフトを回そうとする「力」のことです。
でも、「トルク」は回転数に関係していません。
これに対して、「馬力」は、「トルク」と「回転数」の積ですから、
ギアを使って「力」を増幅することができます。
 
「え? 馬力は、トルクと回転数を掛けたものなの?」
ええ、その通りです。
その関係式は、以下のようになります。
 
       〔トルク(kgfm)〕×〔回転数(rpm)〕×2π
〔馬力(ps)〕=――――――――――――――――――――
             75 × 60
 
 
SI単位系なら、以下のようになります。
 
        〔トルク(Nm)〕×〔回転数(rpm)〕×2π
〔馬力(kW)〕=――――――――――――――――――――
             1000 × 60
 
この式を、トルクが「力」、回転数をギアによる「力の増幅」と理解すれば、
「加速」も、「最高速」も、馬力で決まることが分かります。
 
では、「加速はトルク」説は間違いなのでしょうか。
この場合の「加速」は、「低回転域」の言葉が省略されているはずです。
「低回転域の加速はトルクで決まる」ということなのでしょう。
「低回転域」を1500rpm付近と考えれば、回転数が狭い範囲に
固定されるので、「馬力」は、ほぼ「トルク」の大小で決まります。
そう考えると、「加速はトルクで決まる」というのも、間違いではなさそうです。
 
 
自動車専門誌でさえ、この「馬力とトルクの関係を知らないのでは?」と思わせる
記事を見かけることがあるので、ちょっと書いてみました。