最近、マスコミや世間を賑わしているメタンハイドレートですが、
私は、この開発に極めて深い憂慮の念を持っています。
 
一般に、メタンハイドレートは、海洋底などの高圧低温環境下において、
メタンが水と結合して固体として閉じ込められている物質を指します。
メタンは、重量当たりの熱量が大きいため、燃料資源として期待されています。
日本近海のメタンハイドレートは、埋蔵量で世界最大クラスとも言われており、
日本が資源国になる期待を持つ方も居られるようです。
  
 
メタンガスは、二酸化炭素の約30倍の温室効果があるとされています。
その一方で、メタンハイドレートは不安定な状態だと言われており、
海底の海水温の上昇で崩壊&暴噴のリスクが増すと考えられています。
そこで、メタンガスを燃焼させても、同量の二酸化炭素しか出ないので、
メタンハイドレートを燃料資源として燃焼させてしまえば、
地球温暖化のリスクが減らせるとの考えを主張されている方が居ます。
 
さて、この考えは正しいのでしょうか。
まず、メタンハイドレートが大気中に存在するのなら、
メタンハイドレートを燃焼させて二酸化炭素に変えることで温室効果を減らせます。
ですが、メタンハイドレートは海底下にあります。
これを燃焼させるのですから、大気中には二酸化炭素が増えるだけです。
メタンハイドレートを燃焼させたら地球温暖化のリスクが減らせるとの考えは詭弁です。

では、海底下のメタンハイドレートが崩壊して大気中に放出される事はあるのでしょうか。
残念ながら、メタンハイドレートが崩壊するリスクは存在します。
ですが、メタンハイドレートが崩壊するリスクは、開発によって高まることは確実です。
更に、メタンハイドレートが崩壊して大気中に大量に放出されるリスクは、
メタンハイドレートの大半を消費するまで続きます。
「いやいや、崩壊の危険性が高いところから採掘するから早期にリスクは減る!」と
言われるかもしれません。
でも、間違いなく採掘が採算性が高いところから開発が進みます。
そうでなくても、メタンハイドレートの採算性はギリギリのところにあるのです。
開発において、崩壊の危険度は、ほとんど考慮されないでしょう。
また、メタンハイドレートの埋蔵量は、100年分以上との声もあります。
つまり、100年以上もの間、メタンハイドレートの崩壊リスクを背負いながら、
使い続けていくことになるのです。
 
地球温暖化は、非常に深刻な状況になっています。
海面で温められた海水が深海へ貫入しつつあることが、観測で確かめられています。
メタンハイドレートを採掘する前に、既にメタンハイドレートの崩壊のリスクが
高まりつつあるのです。
この上、メタンハイドレートを採掘して大気中の二酸化炭素を増やせば、
崩壊のリスクを高めるだけでしょう。
 
私たちは、温暖化そのものを止めなければならないのです。
 
幸い、メタンハイドレート採掘の技術的なハードルは高く、
2014年に行われた試掘においても、予定通りには進みませんでした。
メタンハイドレート開発推進が滞っている間に、世論が問題を熟知し、
どう進むべきかの判断ができることを願っています。