旧ブログでは以前にも類似の警告をしていましたが、温暖化した状態では米の栄養価が低下するとの論文が、米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に掲載されました。

以前から、熱帯雨林での研究から、二酸化炭素濃度の上昇に伴って栄養価が下がることが知られていました。また、恐竜の大型化の要因も、二酸化炭素が濃度が高かったため、植物の栄養価が低く、大量に食べる必要があったためとも言われています。
私も、二酸化炭素濃度上昇の問題点の一つとして、この問題を指摘していたのです。


今回の論文によると、二酸化炭素の増加で、米に含まれる一部のタンパク質とビタミンの量が減少するとしています。

実験では、18種の米を露地で栽培しました。
野外の栽培地の二酸化炭素濃度は、八角形(18m幅)のプラスチック配管で囲み、ここから二酸化炭素を放出して大気中の濃度を568~590ppmに調整しました。
この二酸化炭素濃度は、今世紀末に達すると予想されている値です。
このように、野外で実験を行った事により、今世紀末の実際に米の栽培と近付けています。

実験の結果、鉄、亜鉛、タンパク質、ビタミンB1、B2、B5、B9などが減少していることが明らかになりました。
書く栄養価の平均減少幅は、以下です。
 ビタミンB1 17.1%減
 ビタミンB2 16.6%減
 ビタミンB5 12.7%減
 ビタミンB9 30.3%減
 タンパク質  10.3%減
 鉄       8.0%減
 亜鉛      5.1%減


なお、ビタミンB6とカルシウムには変化は見られなかったそうです。
ビタミンEは、大半の品種で上昇しています。


これらは、二酸化炭素濃度の上昇が米の成長に及ぼし、炭水化物含量が増加する一方、タンパク質とミネラルの含有量が減少する仕組みに関連していると考えられています。

二酸化炭素濃度の上昇により、窒素への暴露が減少することがビタミン含有量にも影響を与えている可能性があると考えているそうです。



前述の減少幅は、18種の米の平均値であり、全ての品種で一様に栄養価が変化したわけではありません。この事実は、二酸化炭素濃度が高い環境下に適した品種への改良のヒントになると期待されています。

ただ、二酸化炭素濃度の上昇に対して無策を続けたなら、栄養分の大半(70%以上)を米に依存する民族では、発育不全、出生異常、下痢、感染症、早死などを引き起こす可能性さえあると言います。
温暖化の対策と並行して、こういった対策も進めていかなければならないのです。