国会では、外国人労働者の受入緩和策について議論されていましたが、いつもの通りに中身のない討論(闘論?)となっています。

そもそも何が問題で、どんな対策があり、それぞれの長短を踏まえてどんなバランスで対策を講じていくのか、討論の中には出てきません。『思い付き』の案と『揚げ足取り』の闘いであり、同じ課題で高校生にディベートをさせた方がまともな討論になりそうです。

そんなレベルなのに、メディアが流す報道も低レベルのコメントしかありません。

 

 

そもそもの問題は、人手不足です。

では、なぜ人手不足なのでしょうか。

一つは、労働者人口の減少です。

労働者人口の減少の原因は、団塊の世代の離職と、少子化による若手労働者人口の減少です。これに伴い、全人口に占める労働者人口の比率も低下しています。

もう一つは、効率の低下です。

効率向上が求められる日本において、労働効率(生産性)が低下しているのです。

 


さて、問題が明確になったところで、基本的な対策を考えてみましょう。

まず、団塊の世代の離職への対策です。

これは、企業の定年年齢の引き上げと、年金支給年齢の引き上げで対応します。

現在、年金支給年齢を60歳から65歳への段階的引き上げを行なっていますが、このまま継続して70歳まで引き上げるのです。

これは、即効性が高く、年金の国庫負担も減らせるので、一石二鳥の対策です。外国人労働者の受入拡大の前に行うべき施策でしょう。もちろん、長期的には、労働力の低下を防げないので、現状の対策です。


続いて、少子化です。

こちらは、要因が多岐に渡るので、少子化対策の一言にまとめます。(別の機会に、私の考えを記事にします)

少子化対策は即効性が低く、長期の展望の中で行っていかなければなりません。

現在の外国人労働者受入拡大は、少子化のみを睨んだ対策と言えそうです。イエローモンキーの代表格である与野党の政治家は、本質を見極められないので、場当たり的に外国人労働者受入を思い付いた与党と、労働者不足の原因を少子化と思い込み、揚げ足取りしかできない野党の論争となるのです。

 


実は、外国人労働者を受け入れると、労働力不足は深刻化する可能性があります。

労働力不足の原因には、労働生産性の低下もあるのです。
これを改善せずに、外国人労働者を受け入れた場合、言葉や文化の違いによるロスが加わるため、更に労働生産性が低下し、労働力不足を改善できない可能性も残ります。

日本の労働生産性は、先進国の水準以下です。
国別生産効率
(参考⇒http://imutakatumi.officialblog.jp/archives/21139598.html

国家間の労働生産性は、為替で変化しますから、円安になると見た目の労働生産性は低下します。ですから、エンゲル係数を基準にしてみると、日本はアメリカの半分以下、ドイツの6割程度、イギリスやフランスの9割程度という低い水準なのです。食品が安いアメリカは兎も角、欧州各国との比較でも差があるのです。
食糧を輸入に頼る日本の場合、極端な円安は避けたいところです。しかし、円高では輸出が伸び悩んでしまいます。どうしても、高い労働生産性を維持しなければならないのです。
労働力不足を外国人労働者に頼ろうとすれば、今後は激化する東アジアでの労働力獲得競争に巻き込まれ、ますます労働力不足と人件費の高騰に悩まされることになります。

真の問題は、労働力不足より、労働生産性の低下にあるのです。
その原因は多岐に渡り、対策も数多く存在します。
ここでは、一般的な視点とは異なる角度の例を一つ紹介しておきます。
それは法令の整理です。
日本の法制度は、継ぎ接ぎだらけです。そのため、弁護士ら法律家でさえ分野毎に専門化せざるを得ない事態になっています。ですが、法律は国民一人一人が守らなければならない決まり事です。国民が理解しやすい形態に整理すべきなのです。それができれば、遵法も容易になり、労働生産性も少し向上するのです。
もう少し詳しく知りたい方は、下記のリンクを御覧ください。
(リンク⇒http://imutakatumi.officialblog.jp/archives/20664767.html



政府案では、日本には都合の良い制度です。

逆に盛れば、外国人にはメリットが少ない事になります。外国人労働者の奪い合いになったなら、中国や韓国の後塵を拝するかもしれません。
政府案で労働力不足が解消すると考えるなら、間抜けな施策と言わざるを得ません。

当ブログでは、2100年のあるべき日本の姿も模索しています。
今回の労働力不足にも対策案を書いていきますので、御期待ください。