2018年4月1日に、主要農産物種子法(通称:種子法)が廃止されました。

種子法は、戦後の食糧供給を目的として、1952年に施行されました。
しかし、種子法の施行から65年が経過し、状況も大きく変わってしまいました。
中でも、問題にされたのが、民間企業の参入が制約されることでしょう。
政府は、公平性が欠けているとして、種子法を廃止することにしたのです。

一見すると、妥当な判断に見えるかもしれませんが、真の目的はTPPのためである
ことは明らかです。
それは、種子法を改正ではなく、廃止にしたことからも分かります。


種子法では、稲、大麦、はだか麦、小麦、大豆の種子を保護してきました。
日本の主食を支える作物ばかりです。
それだけに、ここに入り込むことができれば、大きな利益を得ることができます。
だから、種子メジャーを抱えるアメリカから圧力が掛かったのです。
現時点では、アメリカはTPPから外れていますが、TPPへの復帰を臭わせてもいます。
アメリカがTPPに復帰すると、種子を取り巻く環境は一気に厳しくなります。

御存知でしょうか。
なんと、世界の種子市場の半分近くを、アメリカの2社だけで占めているのです。
一部には「種子市場のベストテンに日本の企業(サカタとタキイ)も入っているのに、その事実を伏せて種子法廃止を批難するのはおかしい」との考えを示す人もいます。
ですが、この2社を合わせても、種子市場の3%にも届きません。
圧倒的な種子メジャーを差し置いて、日本企業が日本の市場を確保できるとは考えにくいところです。

種子法による保護下で都道府県が開発・管理してきた種子には、F1種子はありませんでした。
一方、種子メジャーは、F1種子で攻勢を掛けてくるでしょう。
F1種子は一代種ですので、実った種から翌年の種子を得ることはできません。
従って、毎年、F1種子を購入しなければならなくなるのです。
ひとたび、F1種子に切り替えてしまったなら、半永久的に種子を購入し続けなければならず、日本の主食を種子メジャーに握られてしまうのです。

種子法廃止は、目に見えにくい形で、国民の生存権を他国に売り渡す事になるのです。



当ブログを立ち上げた目的は、種子を自力で管理することを目的としていました。
その背景には、F1種子で世界を席巻する種子メジャーから距離を置き、日本の食糧の安定供給への強い懸念がありました。
しかし、現実の進行は、私個人の力を遥かにしのいでいるようです。

無力感で、この記事を書いた次第です。


なお、種子法の詳細については、以下を御覧ください。


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政府の総合窓口(法令検索)より
<リンクは閉鎖されてしまったので、下記を御覧ください>
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昭和二十七年法律第百三十一号
主要農作物種子法

(目的)
第一条 この法律は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、
    種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的とする。

(定義)
第二条 この法律で「主要農作物」とは、稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆をいう。

  2 この法律で「ほ 場審査」とは、都道府県が、種子生産ほ場において栽培中の
    主要農作物の出穂、穂ぞろい、成熟状況等について審査することをいい、
    「生産物審査」とは、都道府県が、種子生産ほ ヽ 場において生産された主要
    農作物の種子の発芽の良否、不良な種子及び異物の混入状況等について審査
    することをいう。

(ほ場の指定)
第三条 都道府県は、あらかじめ農林水産大臣が都道府県別、主要農作物の種類別に
    定めた種子生産ほ場の面積を超えない範囲内において、譲渡の目的をもつて、
    又は委託を受けて、主要農作物の種子を生産する者が経営するほ場を指定
    種子生産ほ場として指定する。

  2 その経営するほ場について前項の指定を受けようとする者は、農林水産省令
    で定める手続に従い、都道府県にその申請をしなければならない。

(審査)
第四条 指定種子生産ほ 場の経営者(以下「指定種子生産者」という)は、その経営
    する指定種子生産 ほ場について ほ場審査を受けなければならない。

  2 指定種子生産者は、次条の規定により交付を受けたほ場 審査証明書に係る
    指定種子生産 ほ 場において生産された主要農作物の種子について、生産物
    審査を受けなければならない。

  3 ほ場 審査及び生産物審査(以下本条において「審査」という。)は、指定
    種子生産者の請求によって行う。

  4 都道府県は、指定種子生産者から前項の請求があつたときは、当該職員に、
    審査をさせなければならない。

  5 審査の基準及び方法は、農林水産大臣が定める基準に準拠して都道府県が
    定める。

  6 前項の農林水産大臣が定める基準は、主要農作物の優良な種子として具備
    すべき最低限度の品質を確保することを旨として定める。

  7 第四項の規定により、審査を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、
    関係者の要求があつたときは、これを呈示しなければならない。

(ほ場審査証明書等の交付)
第五条 都道府県は、ほ場審査又は生産物審査の結果、当該主要農作物又はその種子が
    前条第五項の都道府県が定める基準に適合すると認めるときは、当該請求者
    に対し、農林水産省令で定めるほ場審査証明書又は生産物審査証明書を交付
    しなければならない。

(都道府県の行う勧告等)
第六条 都道府県は、指定種子生産者又は指定種子生産者に主要農作物の種子の生産
    を委託した者に対し、主要農作物の優良な種子の生産及び普及のために必要
    な勧告、助言及び指導を行わなければならない。

(原種及び原原種の生産)
第七条 都道府県は、主要農作物の原種ほ及び原原種ほの設置等により、指定種子生産
    ほ場において主要農作物の優良な種子の生産を行うために必要な主要農作物
    の原種及び当該原種の生産を行うために必要な主要農作物の原原種の確保が
    図られるよう主要農作物の原種及び原原種の生産を行わなければならない。

  2 都道府県は、都道府県以外の者が経営するほ場において主要農作物の原種
    又は原原種が適正かつ確実に生産されると認められる場合には、当該ほ場を
    指定原種ほ又は指定原原種ほとして指定することができる。

  3 第三条第二項の規定は前項の指定について、第四条から前条までの規定は
    同項の指定原種ほ又は指定原原種ほにおける主要農作物の原種又は原原種の
    生産について準用する。

(優良な品種を決定するための試験)
第八条 都道府県は、当該都道府県に普及すべき主要農作物の優良な品種を決定する
    ため必要な試験を行わなければならない。


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