厚生労働省は、『医師の働き方改革』をめぐる時間外労働の上限規制について、例外として年1860時間まで認めることを決めました。


働き方改革で一般の労働者は4月から新しい残業規制が実施されます。これとは別に、医師は5年後から別の規制が適用されることになっていましたが、時間外労働の上限を年960時間とすることが、28日の専門者会議で決まりました。
この決定には例外があり、医師が不足している病院では年1860時間まで認めることになったのです。

年間の休日は、年間52週×2日(土日)+16日(祝日)=120日です。
年間平日は、365日-120日=245日ですから、245×8時間=1960時間が定時間です。
これに残業制限の1860時間を加えると、年間の就労時間は3820時間になります。
3820時間は、凄まじい時間です。
徹夜で働いても、休憩時間は含まれないので、就労時間は20.5時間にしかなりません。
3820時間は、186日間の徹夜に相当するのです。
1860時間は、事実上の無制限と言っても良いでしょう。


一般労働者の残業時間の上限は、年間720時間です。単純な月平均は60時間です。
医師の標準の残業時間の上限は、年間960時間です。月平均は80時間です。
医師の残業時間制限の例外値は、年間1860時間です。月平均は155時間です。
はっきり言って、月平均155時間は、無制限と同じです。

残業時間上限の月平均時間を一般道の制限速度に置き換えてみましょう。
一般労働者は、60km/hです。これは、一般道の法定速度と同じです。
医師の標準の残業上限は、80km/hです。これは、緊急自動車の制限速度です。
医師の例外値は、155km/hです。これは、一般道で出せる速度ではありません。
事実上の速度無制限です。


なぜ、事実上の無制限とも言えるような例外を認めることになったのでしょうか。
その背景には、地方の医療現場の現実があります。
医師が不足し、既存の医師が残業で穴埋めしているのです。そのため、医師の残業時間が非人間的なレベルにならざるを得ないのです。
ですが、考えてみてください。
医師不足は、医師の責任でしょうか?
違いますよね。
医師不足の責任は、厚生労働省にあるのです!
その責任のツケを払わされるのが、地方の医師なのです。
この状況は、太平洋戦争中の政府と兵士との関係に似ていませんか?
無責任に開戦し、戦局が厳しくなると国民に特攻を命じた当時の政権と同じに見えます。

厚生労働省の関係部署の方々が、
今回の決定を「やむをえなかった」と考えているなら、許されません!


年間1860時間の残業は、命懸けのレベルです。
「医師に特攻を命じた!」 との認識を持って頂き、
段階的でも良いので、早急に改善策を実施して頂きたいと思います。