複数ある発電方法を選択する流れを、擬人化して考えてみましょう。 

対象とする発電方法は、再エネ(水力を除く)、水力、揚水、火力、原発です。




まずは、長所と短所を整理しましょう。

 

再エネ君の長所は、清潔(廃棄物が少ない)であること、狭い場所(小型化)でも働くこと、任務地(設置場所)を選ばない者もいることです。
短所は、賃金(コスト)が高いこと、気まぐれに仕事をする(出力調整ができない)こと、大きな力を得ようとすると場所を取る(エネルギ密度が低い)ことです。

 

水力君の長所は、俊敏(出力調整の応答が早い)であること、従順(出力の調整ができる)であること、賃金(コスト)が安いこと、短期的には清潔であることです。

短所は、体力がない(連続運転時間が短い)こと、契約金(建設費)が高いこと、今より人数を増やせない(建設可能な場所がない)こと、長期的には不潔(ダムの解体など)なことです。

 

揚水君の長所は、俊敏(出力調整の応答が早い)であること、従順(出力の調整ができる)であること、賃金(コスト)が安いこと、他人がやった余分な仕事を貯めておける(蓄電)こと、短期的には清潔であることです。

短所は、体力がない(連続運転時間が短い)こと、契約金(建設費)が高いこと、今以上に人数を増やせない(建設可能な場所がない)こと、コンビを組ませないと仕事をしない(ダムが二つ以上必要)こと、長期的には不潔(ダムの解体など)であることです。


火力君の長所は、素直(出力の調整ができる)であること、賃金(コスト)が安いこと、食事(燃料の種類)を選ばないこと、力持ち(出力が大きい)であることです。

短所は、任務地(建設場所)を選ぶこと、かなり不潔である(大量の排ガスが出る)ことです。

 

最後は原発君です。

長所は、従順(出力の調整ができる)であること、力持ち(出力が大きい)であること、短期的には清潔である(排ガスがほぼない)ことです。

短所は、任務地(建設場所)のワガママが強いこと、ひとたび怒り出すと手がつけられないこと、長期的には極めて不潔(放射性廃棄物が出る)なことです。ただ、既に放射性廃棄物が出ているので、解雇しても不潔さは大差ない点が悩ましいところです。

 

 

さて、この条件で、誰を雇用し、誰を解雇すべきでしょうか。

仕事ぷりから考えると、火力君はどうでしょうか。

仕事ぷりも良いし、賃金も低いのですから、不潔なところに目を瞑れば、雇用すべきです。

次に雇用すべきは、水力君です。

持久力はないけど、敏捷さは抜群です。

わがままな再エネ君や、反応が鈍い原発君と組み合わせることで、緊急時にも対応できるようになります。

揚水君も採用です。

ただ、今後の仕事量は増加が見込まれています。彼らだけで、今後の仕事量をこなせそうにありません。採用を増やさなければなりません。

 

原発君は、既に雇用していますが、世間は「クビにしろ!」と言っています。

理由は事故を起こしたからです。

また、今の彼に近付くことさえ難しいほど、不潔です。

だから、原発君を増やすことは諦めた方が良さそうです。

でも、コンスタントに仕事をしてくれるので、できることなら継続雇用したいところです。

世間が推すのは、再エネ君です。

比較的清潔ですが、気まぐれにしか仕事をしない上に賃金も高く、あちこちに点在しているので、経費もかかります。

特に、気まぐれさは半端ではなく、気が向いた時にしか仕事しません。全く言うことを聞かないのです。近隣の再エネ君も、一緒になって仕事をしたり、仕事をしなかったりするので、本当に厄介です。にも関わらず、世間では再エネ君を推します。だから、再エネ君も増長し、田畑や山野を荒らし、除草剤を撒き、10年後には抑えが効かなくなるリスクを感じます。

後々を考えると、再エネ君の新規採用を控えた方が良さそうです。

 

となると、火力君を増やした方が良さそうです。

経営者として、今だけを考えるなら、昔に戻って火力君を中心に水力君を含めて雇用したいところです。

不真面目な上に賃金も高い再エネ君は雇用したくないし、真面目な原発君も賃金が高騰しそうなので、新規採用はもちろん、雇用延長も慎重にならざるを得ません。

ですが、将来的に考えるなら、今は原発君の解雇を呼び掛けている人々も、火力君の解雇を呼び掛ける声に変わる可能性が高いし、海外からは、火力君の代わりに外国人原発君の採用を要求してくるかもしれません。

地震や津波を知らない外国人原発君を採用すると、地震が起きた時に何をしでかすか、予想もつきません。絶対に、外国人原発君の採用は回避したいところです。そのためには、多少は費用が掛かっても、今の原発君を解雇するわけにはいきません。

 

 

とにかく面倒なのは、メディアです。

物知り顔で批判してきますが、実際には何も知らないのです。

どうせ、政府の見解が変われば、言うことも変わるのでしょう。

「原発を直ちに停止する」と政府が言い出したら、メディアは「日本の電力供給が不安定化する」と言うだろうと推測されます。

メディアの役目を、「政府の監視機能だ」と勘違いし、更にそこから「政府批判が役目だ」と思い込んでいます。

メディアの本当の役目は、「真実を報道する」ことです。全てに対する中立性を維持し、真実を伝えることで、国民が正しく判断できるようにするのです。

メディアが本来の仕事をするようになってくれれば、落ち着いて発電くんの採用を考えることができるのですが・・・