これまで見てきた動物の歩き方は、いずれも三点支持で歩く動物ばかりでした。
昆虫のように三点支持を2組(6本脚)用意し、交互に動かす場合、哺乳類のように4本脚の3本を使って三点支持し、残る1本を前へと進めていく場合の2種類を紹介しました。

今回は、脚の本数が4本より少ない動物について、考えてみましょう。


地球上の動物の脚の本数は、ムカデのように本数を数える気にもなれないものから、昆虫の幼虫の16本(6本+8本+2本)、イカの10本、蟹や蜘蛛の8本、昆虫の6本、哺乳類や爬虫類の4本、人やダチョウの2本、蛇の0本などがあります。

余談ですが、蟹はハサミを加えて10本と数えるのが正しいそうです。ところがタラバガニはハサミを加えても8本です。というのも、タラバガニはカニではなくヤドカリの仲間なのです。

ズワイガニ(越前ガニ)
 ・ズワイガニ画像(JAMSTEC)https://www.godac.jamstec.go.jp/bismal/j/view/0001035

タラバガニ
 ・タラバガニ画像(JAMSTEC)https://www.godac.jamstec.go.jp/bismal/j/view/0000776

人間も、正確には4本脚で、後肢だけで立ち上がり、前肢を歩行には使わないだけです。
鳥類やコウモリも、本来4本脚であって、前肢で飛行するだけです。
クジラは、本来は4本脚(ラクダなどと同じ偶蹄類)ですが、後肢が退化して痕跡も残っておらず(骨盤の一部が2個の骨として残っているだけ)、前肢と尾で泳ぎます。



本題に入りましょう。
4本脚より本数が少ない動物は、どのように歩くのでしょうか。
2本脚や3本脚(八咫烏しか思いつかないが)は、基本的には二つの方法を用いて歩きます。
一つは静的安定、もう一つは動的安定です。
静的安定とは、体の重心が、常に両足の接地面または両接地面を繋ぐ面の中にある歩き方です。
人類の場合、単に立っている時が、これに相当します。また、「抜き足、差し足、忍び足」の歩き方も、ほぼ静的安定で歩いています。
世界初の完全二足歩行を実現したWABOTは、この歩き方(静的安定)だったそうです。
体重を完全に移動させるので、その歩き方は、上体を左右に揺さぶりながらヨタヨタと歩きます。
静的安定歩行

もう一つの歩き方である動的安定は、簡単に言えば倒れる前に脚を出して倒れないようにする歩き方です。
動的安定は、人類の通常の歩き方です。また、アシモの歩き方も、これに近いはずです。
重心を移動したい方向に移動させ、バランスを取るために、重心を追いかけるように足を進める歩き方です。足を運ぶ位置は、概ね重心の辺りですが、完全に重心の真下に足を運ぶわけではありません。ですが、常に重心を追いかけるように足を運びます。
動的安定歩行


このように、二本脚で歩く場合、バランスを取りながら歩きます。ですが、バランスを取るためには、接地面が広い方が有利です。人類は、踵を地面に着けて接地面を稼いでいます。
以前に書いたように、多くの動物は、爪先立ちか、指先で立っています。接地面が点のように狭くても、3点あれば安定するお陰ですね。人類とは異なります。
ただ、類人猿(人、ゴリラ、チンパンジなど)は、人以外も踵を地面に着けて歩くので、「二足歩行に移行し易かった」とは言えても、「二足歩行のために踵を地面に着けた」とは言えないようです。

人類の場合、直立する事で視界を確保しました。副次的な産物として、脳の大型化を支え、また前肢が作業肢として利用できるようになりました。
人類にとって、四足歩行を捨てるだけのメリットはあったのでしょう。同時に、二足歩行のデメリットも、大きくなかったと言えそうです。
二足歩行は、安定性の面ではマイナスですが、四足歩行の段階でもギャロップのように動的安定を磨いていたので、安定性のデメリットは少なかったのでしょう。
また、2本の脚に交互に体重を載せていくので、体の上下動も大きくはありません。人類は、代謝が高い哺乳類ですから、多少の上下動ならエネルギを供給できます。デメリットとしては、無視できるレベルだったのでしょう。

2本脚の陸上生物は、人類の他はダチョウやカンガルーですが、大半の動物が4本脚であることを踏まえると、生物として成功しているとは言えません。
ですが、過去には2本脚の動物が高い割合で棲息していました。
それが、恐竜です。
最初期の恐竜は、二足歩行だったと考えられています。
その後、四足歩行の恐竜が現れたようです。
ティラノサウルスなどの二足歩行の恐竜は、ダチョウに似た歩き方をしたと考えられています。
ですが、体系的にはダチョウよりカンガルーの方が似ているように見えるので、小型の二足歩行恐竜は、カンガルーのような両足跳びをしていた可能性はないのかなと、個人的には想像しています。
カンガルー
 ・カンガルー画像(東京ズーネット)
  https://www.tokyo-zoo.net/encyclopedia/species_detail?code=0


恐竜から進化したとされる鳥類には、鳩や鶏のように片脚ずつ踏み出す歩き方と、雀やカラスのように両足跳びの歩き方の2種類がいます。鳥類は、羽を同方向に動かすので、両足も同方向に動かす両足跳びを得意としても不思議ではありません。
なので、恐竜にも両足跳びの歩き方をする種類があっても不思議ではないと想像したのです。


余談になってしまいましたが、2本脚で歩くのも、重心の上下動を抑えられるので、歩き方としては成立することがわかったと思います。
最後は、1本脚の歩行です。

まあ、1本脚は、案山子かカラカサ小僧(妖怪)くらいしか思い浮かびません。
地球ではそうかもしれませんが、宇宙は広いので、どこかに1本脚の動物が居るかもしれません。
では、1本脚の動物は成立するのでしょうか。
脚が1本しかないと、脚を前に運ぶ際には、宙に浮くしかありません。つまり、飛び跳ねながら進むことになります。
これ自体は、カンガルーの走法(両足を揃えてジャンプする)と同じですから、可能性は充分にあります。体の上下動は激しくエネルギ消費は大きくなるので、代謝が優れた動物でなければなりませんが、可能性はありそうです。

なんだか、1本脚の動物も、宇宙のどこかに居そうに思えてきました。
ですが、私は懐疑的です。

動物の外見は、なぜか左右対称です。
体の中を見ると、心臓や肺、盲腸などの内臓は左右非対称です。フクロウのように、耳の非対称によって頭蓋骨は左右非対称な動物もいるのに、外見は左右対称なのです。
フクロウは空力の影響を減らすためと考えるにしても、陸上生物では空力の影響は大きくありません。それでも左右対称なことから、何か左右対称にしようと働く力があるようです。
それを踏まえると、1本脚の生物に進化する過程で、常に左右対称でなければなりません。単細胞生物から多細胞生物、代謝が低い動物から代謝が高い動物へ、脚の本数が多い動物から少ない動物へと進化する過程の全てで、左右対称を崩さずに1本脚に進化できるのか、私の想像力では進化の過程を描くことができませんでした。



いつものように、ごちゃごちゃと書いてきました。
動物の歩き方を記事にするのは、14ヶ月ぶりです。ですから、次回がいつになるか、見当もつきません。
ただ、次に描くとしたら、脚の本数が0本になりますよね。脚が無いって、ヘビですよね。
私は、ヘビは苦手です。
ヘビ以外で脚が無い爬虫類も居ますが、そちらも遠慮したいですね。
ならば、ミミズは? と言われても、これも・・・
いっそのこと、脚が沢山あるムカデとか・・・
もっと嫌です!!

と言うわけで、次回はかなり先になりそうです。


 動物の歩き方ー1
 動物の歩き方ー2