今年も、ノーベル賞が発表されました。(経済学賞は14日の予定)
吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞され、グッドニュースに沸き立ちました。

ただ、日本のメディアには、異様なほどのナショナリズムを感じました。
と言うのも、化学賞では「吉野氏ほか二名が受賞」と流れてきましたが、同時に受賞されたお二人の名前が、中々出てこなかったのです。
翌日の文学賞でも、「村上春樹氏14度目の正直ならず」とか「日本人受賞者なし」ばかりが流れ、誰が受賞し、代表作は何か、などの情報は当初は皆無でした。
メディアの関心事は、ノーベル賞受賞者の中に日本人が居るかどうかであって、誰が受賞したのか、何が評価されたのか、全く興味がないようです。

因みに、ノーベル化学賞の同時受賞者のお二人は、ジョン・グッドイナフ氏とスタンリー・ウィッティンガム氏です。
ウィッティンガム氏は、負極材にリチウムが有効であることを発見しました。
グッドイナフ氏は、正極材としてコバルト酸リチウムを発見しました。
そして、吉野氏は、炭素系の材料を負極材に使用し、実用化を果たしました。

なお、グッドイナフ氏は、史上最高齢の97歳での受賞となりました。


さて、メディアのナショナリズムを批判しておきながらではありますが、日本人受賞者の一覧を掲載しようと思います。
ノーベル賞受賞者2019
※上図にカズオ・イシグロ氏はありませんが、受賞時に米国籍の南部陽一郎氏と中村修二氏は含めています。
 基準は、日本人として生まれ、日本で大学まで教育を受けた方としています。


今回も、国立大学出身者が受賞されました。
日本のノーベル賞受賞者27人中、学部時代を国立大学で過ごさなかったのは、小柴氏(東京明治工業専門学校:現・明治大学)のみです。小柴氏も、東大に進学されていますから、全員が国立大学の出身です。
小柴氏以外では、大村智氏が国立大学卒業後に東京理科大学大学院に進学されています。

戦後教育制度でノーベル賞を受賞されたのは17人ですが、全員が高校卒業後は国立大学に進学されています。学生数では、国立大学は20%前後ですから、17人の全員が国立大学出身者になる確率は、およそ0.0000000001%(1兆分の1)です。(戦前も含めると1京分の1以下!)
この数字は、明らかに国立大学の優位性を示しています。
以前は、旧帝大だけが受賞を輩出していましたが、近年は、地方大学出身の受賞者も増えています。トップクラスの私学と比較して、入試段階の難易度では高くない地方大学ですから、在学中に学生が育っているのではないかと思われます。
一方、近年の大学改革では、国立大学の自主性が奪われつつあると危惧されています。これに加えて、金銭面での国立大学の私学化も進みつつあります。それ以前に、ゆとり教育の歪もあります。
今後も、日本人受賞者が出るのか、かなり不安に感じています。

メディアがノーベル賞ナショナリズムに浮かれていられるのも、今のうちかも?



私は、日本という国が好きです。日本人として生まれてこられて幸せに思います。
ですが、右を向いている人も、左を向いている人も、そしてナショナリズムに冒されている人も、あまり好きではありません。だから、メディアは放っといて、リチウムイオン電池について、少しだけ触れておきたいと思います。

リチウムイオン電池は、エネルギ密度が高いことが知られています。
重量エネルギ密度は約200Wh/kg、体積エネルギ密度は520Wh/Lです。
以前の代表的な蓄電池である鉛バッテリやニッカド電池と比較すると、大雑把に5~6倍のエネルギ密度を持っています。非常に高性能だと分かります。
これは素晴らしいことですが、同時に、危険性も持っているのです。
小さな電池であっても、蓄えられているエネルギが全て熱に変わった場合、その発熱量は膨大になります。それゆえ、エネルギの出し入れの制御は、非常に重要になるのです。
今後、リチウムイオン電池を超える性能の二次電池が現れる可能性はありますが、この問題だけは逃れることができません。
二次電池に関心がある方は、そんな視点から見てみるのも面白いかと思います。

リチウムイオン電池は、地球温暖化対策にも貢献が期待されます。
日中に太陽光で発電した電力を蓄え、夜間にも使用できるようにするためには、高性能の二次電池が必要になります。
では、100万kWの火力発電所に変わる太陽光発電所を作ると仮定しましょう。
仮に、昼間の12時間で夜間の分まで発電すると仮定すると、太陽光発電所の定格は200万kWになります。12時間で発電した分の半分は昼間に消費したと仮定すると、日没時点の充電電力量は200万kW×50%×12時間となり1200万kWhとなります。
これをリチウムイオン電池に充電する場合、1200万kWh÷200Wh/kgとなり、6万トンの重量になります。
これは、現実的な数字ではありません。しかも、悪天候や季節変化を考慮していない極めて甘い計算でも、こんなに大きな二次電池が必要になるのです。
二次電池だけでは、解決が難しいでしょう。
夜間の電力消費で大きな割合を占めるのは、電灯です。
今後のノーベル賞級の研究は、電灯に代わる蓄光式照明なのかもしれませんね。
蓄光式照明を実用化するには、スイッチで発光と消灯ができる必要があります。
スイッチング可能な蓄光式照明を発明すれば、ノーベル化学賞も夢ではない


メディアよりちょっとだけ賢いことを証明できたと、ほくそ笑む伊牟田でした。