最近、「武漢ウィルス(新型コロナウィルス)を緩やかに蔓延させ、国民全員が免疫を獲得すべき」との考えが、聞こえてくるようになりました。
でも、算数がわかっているのかな? と思ってしまいます。

日本の人口は、約1億2600万人です。
中国の研究では、感染者の56%は症状が出ないそうです。症状が出るのは、44%の5500万人余りです。
症状が出ても、80%は軽症で終わると厚労省は言っています。入院が必要となるのは、約1100万人です。ただし、平均2週間の入院が必要とすると、延べ1億5500万人日の入院となります。
死亡率は、約2%とされているので、死者は約110万人となります。

さて、これを一年で蔓延させるとどうなるでしょうか。
毎日15万人の有症の感染者が現れ、3万人が重症化して入院します。結果、常に42万人以上の入院患者がいることになります。
そして、毎日3000人が亡くなっていきます。

この状況は、最も感染が深刻なイタリアの約10倍の死者数です。(人口比)
ですから、10年かけて蔓延させても、今のイタリアと同等の激しい蔓延状態です。
人生に一度の感染には違いないので、人生85年のどこかで感染すると仮定すると、日々の感染者は1800人となり、360人が重症化し、常に5000人が入院していることになります。そして、毎日36人が亡くなります。
これでも、日本の現状の20〜30倍くらいです。

国民が武漢ウィルスに感染して免疫を獲得するのは、真っ当な方法では不可能ですね。


国民が武漢ウィルスの免疫を獲得する方法で、最も可能性があるのは、子供たちの間で蔓延させることです。
子供たちにとっては、武漢ウィルスも、他のコロナウィルスも、免疫がありません。どちらも脅威になります。その意味では、違いはないのです。
ですが、子供たちの免疫力は高く、武漢ウィルスもすぐに免疫を獲得し、重症化しにくいようです。
データが不足していますが、20歳未満の死亡率は有症感染者の0.1%程度です。重症化が死亡率の10倍としても、有症感染者の1%程度が重症化すると考えることができます。また、20歳未満は、20歳以上と感染しやすさに差はないそうです。ですが、有症化する率は4倍も違うそうです。
ですので、人口比では11%が有症化し、有症化の1%が重症化する計算です。20歳未満の人口は2100万人なので、1年で全員が感染するなら、2万3000人が重症化し、常に900人が入院していることになります。
子供たちの間で武漢ウィルスを蔓延させれば、数十年後には国民のほとんどが免疫を獲得した状態ができます。

でも、子から親への感染が問題になります。中国の研究では、若年層から中高年への感染はほとんどないそうですが、リスクがゼロではありません。
この方法でも、一度でも子供たちから大人への感染があれば、そこから免疫を持たない大人の間で感染が広がってしまいます。
それに、子供たちは重症化しにくいと言っても、死亡率は 0.1%なので、2000人以上が命を奪われることになります。 
やはり、現実的ではありません。


こんな長期の免疫獲得の取り組みより、ワクチンや治療薬の開発の方が早いと思います。