今年1月から8月までの温室効果ガスの減少率がまとまったようです。
それによると、全世界で前年同期比6.5%の減少だったそうです。これにより、15億トン余りの減少になったそうです。
主要排出国の減少率は、以下の通りです。

 日本      7.1%
 中国      2.0%
 アメリカ   12.9%
 ブラジル   12.7%
 インド    13.4%
 EU平均   10.6%
 スペイン   17.2%
 ドイツ    12.8%
 イギリス   12.0%
 イタリア   11.8%
 フランス   11.6%
 ロシア     4.4%
 その他の地域  4.7%

もちろん、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響です。
数値を見て思うのは、4月ごろの感染状況の深刻さの裏返しのように見えます。その頃にロックダウンした国は、軒並み減少率が高くなっています。


ここで話題にしたいのは、各国の数値の信憑性ではなく、地球温暖化対策です。
日本は、僅か7.1%の減少でした。
1〜3月期のGDPは、前年同期比で-0.6%、4〜6月期のGDPは、前年同期比-7.9%です。
仮に、7〜8月のGDPが4〜6月期と同等とすると、1〜8月のGDPは-5.2%程度と推定されます。
つまり、GDPの減少幅より、二酸化炭素の減少幅が大きいのです。
GDPと温室効果ガスの減少幅の差分は、通勤や出張・外商など減った分でしょう。これらは、テレワークやテレビ会議、ネット販売などでGDPへの影響が小さいのに対して、移動で交通機関から排出されていた温室効果ガスが大幅に減少したことによるものと思います。
これらは、パンデミック以前の経済活動に戻っても、継続して温室効果ガスを削減し続けることが可能です。

さて、前述の交通関係のCO2排出割合ですが、全体では20%程度です。おそらく、この内の1割程度は、GDPに影響を与えずに減ったと思われます。
もちろん、観光関係の交通機関利用は激減しましたが、GDPにも影響しているので、その分は無視しています。
どんなにテレワークやオンライン授業が広まっても、交通機関を完全に止めることは不可能です。食糧の輸送も止めることになるからです。現状で削減可能なのは、僅かしかないことが証明されたとも言えそうです。


交通関係のCO2排出量を削減するためには、移動を減らすことが考えられます。テレワークなども一つですが、食糧輸送を減らすために、人口を地方に分散させることが考えられます。
当ブログでは、そのテーマでも書いていますが、これを推進すると、もしかすると、日本の経済は破綻するかもしれません。
日本の国土は、異様に地価が高いのです。その要因の一つが、一極集中にあるます。日本の経済は、その一部を、高い地価が支えています。つまり、土地を担保にした融資が、企業活動を支えている面があるのです。
テレワークなどが進むと、地方展開が進み、首都圏の地価が下降する可能性があります。すると、担保割れが生じ、金融機関の融資も経営も厳しくなります。

中々、一筋縄ではいかないようです。
「原発を止めても地球温暖化防止はできる」と言う人々の楽観ぶりが、羨ましいくらいです。