気象庁が行ってきた生物季節観測が、来年から、現在の57種65項目から6種9項目に縮小されます。

今後も観測が続く6種9項目は、以下です。

・うめ     開花
・さくら    開花、満開
・あじさい   開花
・すすき    開花
・かえで    紅葉、落葉
・いちょう   紅葉、落葉

ちなみに、廃止されるのは以下です。

【植物】(29種32項目)
・あんず      開花、満開
・いちょう     発芽
・かき       開花
・からまつ     発芽
・ききょう     開花
・くり       開花
・くわ       発芽、落葉
・さざんか     開花
・さるすべり    開花
・しだれやなぎ   発芽
・しば       発芽
・しろつめぐさ   開花
・すいせん     開花
・すみれ      開花
・たんぽぽ     開花
・チューリップ   開花
・つばき      開花
・でいご      開花
・てっほうゆり   開花
・なし       開花
・のだふじ     開花
・ひがんざくら   開花、満開
・ひがんばな    開花
・もも       開花
・やまつつじ    開花
・やまはぎ     開花
・やまぶき     開花
・ライラック    開花
・りんご      開花  

【動物】(23種24項目)
・あきあかね    初見
・あぶらぜみ    初鳴
・うぐいす     初鳴
・えんまこおろぎ  初鳴
・かっこう     初鳴
・きあげは     初見
・くさぜみ     初鳴
・くまぜみ     初鳴
・さしば      南下初見
・しおからとんぼ  初見
・つくつくほうし  初鳴
・つばめ      初見
・とかげ      初見
・とのさまがえる  初見
・にいにいぜみ   初鳴
・にほんあまがえる 初見、初鳴
・はるぜみ     初鳴
・ひぐらし     初鳴
・ひばり      初鳴
・ほたる      初見
・みんみんぜみ   初鳴
・もず       初鳴
・もんしろちょう  初見

〈気象庁 生物季節観測のリンクは以下〉
 
https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/index.html


動物は、全て観測しなくなります。
観測項目を縮小する理由ですが、周辺環境の変化によって観測が難しくなったためとされています。
ですが、いちょうは、3項目の観測を行っていましたが、その内の1項目だけを減らしています。これは、周辺環境では説明できません。(発芽の頃だけ銀杏が消滅する環境?)
複数の理由があったと思われますが、予算の削減も大きな影響があったと思われます。
気象庁の予算は、過去20年間で20%以上も削減されたと聞きます。このため、自活のためにHPに広告を出すところまで追い込まれています。様々な合理化と事業縮小が求められて、1953年から続けてきた観測項目もリストラの対象になったようです。

地球温暖化が問題になっている現代においては、生物季節観測の意味はあると考えます。
ただ、気象庁のデータベースを見ると、削減対象の項目は、観測できない場合が増えているのも確かです。また、観測開始当初から、観測を行えている気象台が限られていた項目もあります。
削減はやむを得ないところでしょうが、継続可能な項目も少なくなく、やはり主因は予算のようです。

今後の生物季節観測は、気象庁では意味のある観測は難しいでしょう。
そもそも、残された9項目は、民間の気象会社でも関心の強い類。のものばかりです。民間委託が容易であり、気象庁が観測をやめたところで、影響が小さいと思われます。
むしろ、削減される項目の方に、継続の意義があるものが多いように考えます。
例えば、植物では、さるすべり開花、すすき開花、たんぽぽ開花、つばき開花など、動物では、つばめ初見などです。
日本には、大きく分けて三つの生物圏があり、全国を見通す形の生物季節観測は容易ではありません。ですが、70年近くも続けてきた価値は大きく、それを継続するための予算が必要でしょう。(今の政府じゃ無理かぁ!)


大事なことは、あるべき未来の姿です。あるべき姿が描ければ、それを実現するための段階と政策を考え、実行していくことになります。
政府が描く未来は、日本を戦争ができる国にすることだけのようです。
野党に至っては、描く未来はありません。
天気予報に例えるなら、政府が求めるのは、自衛隊が展開する地域の天気でしょうか。
野党に至っては、「雨が降ったら困るから、政府予算で傘をよこせ」というくらい。
何度も書いていますが、日本の未来を考える時に、政府は当てになりません。野党は、更に当てになりません。
だから、気象庁の予算減額に無頓着なのです。気象庁と気象会社との棲み分けを考えた予算や法整備も、議論になりにくいのです。

さて、私達に何ができるでしょうか。
私個人としては、近隣の生物の観察です。ですが、個人としては、限界があります。
当ブログでは、夏休みの自由研究として、地域で観察できる生物を調べ、他の地域の友人と情報交換することを提案したことがあります。
こういったことを、小学校の教員がネットワークを繋いでバックアップすれば、大きな研究になるし、気象庁との連携が取れれば、更なる発展も期待できます。
最も価値ある成果は、子供たちが生きる世界を理解させ、どんな風に生きていくことが必要になるのかを考えさせることができることです。

『災い転じて福と成す』
生物季節観測の大半が気象庁の手を離れたのなら、民間で自由に研究できるということになります。
生物季節観測で何かできれば良いなと、個人的に思っています。