イギリスや南アフリカで見つかった新型コロナウィルスの変異株が話題になっていますね。
この変異株は、感染力が高いため、各国で警戒されています。

新型コロナウィルスは、一定のペースで変異を繰り返します。既に、世界で数え切れないほどの変異株が確認されています。
ですが、変異は単純なコピーミスで起きるため、感染力が増す場合も、低下する場合もあります。毒性が強まる場合も、弱まる場合もあります。また、ほとんどの場合、機能に変化は起こらないと考えられます。
様々な変異株には、進化圧が掛かります。
一般には、感染力が強い変異株、致死率が低い変異株が、生き残るとされています。
ウィルスは、宿主である動物の体内でしか生きられません。なので、宿主が死ねば、ウィルスも死滅します。つまり、毒性が強いウィルスは、宿主を殺して自らも死滅してしまうため、全体としては減っていきます。
同様に、感染力が強いウィルスは、宿主を次々に乗り換えていくので、生き残れる確率が高まります。
なので、一般的に、ウィルスは感染が高まり、毒性が弱まる方向に変異していく傾向を示すとされるのです。
ただし、検査によって隔離されるので、劇症性でない限り、毒性による進化圧は働きにくいと、私は考えています。


新型コロナウィルス関連のニュースを見ていると、感染力が強い変異株の国内流入の阻止の施策と、この変異株の毒性についての話題が多いように感じています。

まず、変異株の毒性ですが、確率的に言えば、毒性に変化はないはずです。感染力の変化も、毒性の変化も、確率の問題であり、かつ非常に低い確率でしか起こりません。両者が同時に起きる可能性は、無視できるくらいに低いと思われます。
もちろん、キチンと確認することが大事ですので、続報を待ちたいところです。

変異株の国内流入阻止ですが、もちろん大切です。
ですが、国内で発生する可能性もあることに留意すべきです。
変異は確率の問題ですから、母数が多くなれば変異の回数も増えます。つまり、感染拡大は、変異の回数も増えることを意味します。
日本は感染者数が増えているので、国内で感染力や毒性が強い変異が起きるリスクも高まっています。
人類にとって最強の武器であるワクチンも、標的となる部分に変異が起きれば、ワクチンは効かなくなります。ワクチンが効かない変異株が生まれれば、一気に拡がるリスクがあります。
今の政府なら、科学音痴なので、「別のワクチンを接種すれば良い」と言い出しそうですが、前のワクチンの残留がある場合の副反応を調べる必要があるのは当然です。オリンピックを開催したい一心で、『何でもあり』にならないことを願っています。

最後に、感染力が強い変異株の怖さです。
先に書いているように、毒性に変化はないと思われます。
ですが、感染力が強いため、感染拡大しやすく、医療機関や自治体への負荷が高まります。また、感染者が増えるため、結果的に死者数も増えてしまいます。
更には、危険な性質を持つ変異が起きる確率も高まります。

このウィルスは、根絶できるのでしょうか。
おそらくは無理でしょう。
ワクチン接種開始直後は、かなりの成果が上がり、収束していくはずです。
ただ、時間の経過と共に、ワクチンが効かない変異株が徐々に増えていくと思います。そして、最終的には、全種類のワクチンが効かない変異株にとって代わるでしょう。
一方で、ゆっくりと弱毒化しながら(今でも若年層には毒性が低い)、風邪の原因ウィルスの一つとして残るだろうと考えられているようです。つまり、無害ではないものの、経済を窮地に追い込む力は失うことになるはずです。
数年先、あるいは数十年先、新型コロナウィルス感染症を指定感染症などから外す必要に迫られるでしょう。それを行うまで、医療機関への負担は残ることになりそうです。