近未来の科学技術は、私の好物です。
例えば、『しんかい12000』
全海洋底を観測できる潜水能力に加え、全球ガラスの耐圧殻を備える意欲作です。
でも、コロナ禍なのか、予算が付いていないようで、今後が心配です。
具現化はしていませんが、『しんかい12000』は、近未来と言うより、現在と言う方が正しいですかね。

宇宙にも、興味津々です。
当ブログでも、宇宙エレベータに触れたこともありました。
触れただけでしたが・・・

最近、スピンオフブログでもスペースコロニーを取り上げています。



本来なら、こちらで取り上げる分野なので、改めて書くことにします。
・・・でも、同じことを書いても面白くないので、一捻り!


スペースコロニーは、現時点の人類の技術で建設可能なのでしょうか。
実現には、様々な課題があります。
まず、大量の資材を、軌道上に届けなければなりません。それも、理想的には、ラグランジュ点まで運ぶ必要があります。
ラグランジュ点の重力ポテンシャルは、月とほぼ同じなので、月へ行くほどのエネルギが必要になります。
大量の資材は、地球だけでは賄いきれない量になります。運ぶ前に、必要な量の資材の確保が必要になります。

資材が用意でき、ラグランジュ点まで運べるとして、スペースコロニーは建設可能なのでしょうか。
最も厳しいのは、外殻の張力でしょう。
まず、内圧は大気圧の1気圧になります。
ここに、1Gの人工重力(遠心力)が掛かります。
気圧は1気圧しかないので、内径に合わせて外殻の厚さを増すことで対応可能です。
また、内圧が外圧より高いので、外殻には張力が掛かることになり、構造的に楽です。
なので、気圧を無視して、遠心力だけを考えてみましょう。

遠心力によって外殻に掛かる張力Pは、以下の式で求められます。(・・のはず)

 P=ρ×r×α (Pa)

 P:張力(Pa)
 ρ:外殻の構造材の密度(kg/m3)
 r:スペースコロニーの自転半径(m)
 α:人工重力の加速度(m/s2)

人工重力1G、自転周期60秒のスペースコロニーを作ると、外殻の半径は894mになります。これを鉄で作ると、張力は約70MPaになります。
純鉄の破断応力は約200MPaなので、作れないことはありませんが、安全係数は3となり、余裕が少ないですね。

明石海峡大橋のメインケーブルに使われている鋼線の耐荷重は、1770MPaです。
1本のケーブルには、60000トンの張力が掛かっているので、ケーブルの張力は約450MPaです。安全係数=4で設計されたのでしょうか。
スペースコロニーの外殻の張力は、明石海峡大橋のメインケーブルの1/6未満なので、自重を支えるには充分です。ただ、内部の構造や気圧を支えるには、不足を感じます。

ガンダムに出てくるスペースコロニーは、どうでしょうか。
こちらは、外殻半径が前述の約4倍も大きいので、純鉄では自重だけで限界を超えます。鋼線なら、自重だけなら何とかなります。ですが、気圧も掛かりますし、様々な設備も置かれるので、少なくとも、ケブラー繊維くらいの性能は、欲しいところです。


私(年齢不詳)の世代では、スペースコロニーは夢物語ですが、今の小学生なら、人生の中で現実的な話に変わっていくかもしれません。
私の世代から小学生(あるいは幼児、乳児)の世代までの小さな積み重ねが、科学技術を今より発展させていきます。
未来になると勝手に科学技術が発達するのではなく、小さな積み重ねがいつの間にか大きな発展に繋がるのです。
私の本職は、スペースコロニー建設には直結しません。ですが、私の仕事が、遙か未来の小さな発展に繋がり、間接的にスペースコロニー建設に貢献できるかもしれません。

未来を明るくするのは、日々の小さな積み重ねと、子供も大人も知っておきたいですね。