TPP(Trans Pacific Partnership)は、11ヶ国で署名され、運用されています。
加盟国は、日本、カナダ、オーストラリア、メキシコ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、チリ、ニュージーランド、ペルー、ブルネイです。(アメリカは離脱)



9月、中国と台湾が加盟を申請し、議論が始まっています。

これを受けてか、大阪のHさんが「TPP加盟で日本は破滅する」と言った某教授を批判しています。
TPPは、アメリカの離脱で性格を変えました。
一つは、日本の皆保険制度や年金制度が守られたことです。
日本の保険制度や年金制度は、アメリカの保険会社の日本進出を阻むことになるため、これらの制度の廃止も視野に入っていました。
二つ目は、TPP内における日本の優位性が得られていることです。
アメリカが離脱したことにより、TPP域内のGDPの半分近くを日本が占めています。
そのお陰で、強い発言権を持つことができています。
日本は、農業分野に極めて弱く、また財政面でも危機的な状況です。『円』が国際通貨から滑り落ちれば、国債の評価も暴落する可能性があります。
TPPも、日本企業にはメリットが多いのですが、日本全体ではデメリットが少なくないのです。
例えば、企業機密の保護の性格が強く、技術者の流動性を阻害しています。そのことは、「45歳定年制で技術者の流動性が高まる」と発言したサントリー社長の見識の無さ(自己都合?)の中にも見られます。技術者の流動性を求めるなら、TPPに反対(または改正要求)するはずなのです。
それでも日本がTPPを維持できるのは、発言権を維持できているためと言えます。

このように考えると、H氏の考え方には、かなりの偏りがあるように思えます。
もしかすると、大企業の顧問弁護士でもしているのでしょうか。それなら、クライアントの利益を考えなければならないので、考え方に偏りができても頷けます。


さて、中国の加盟です。
中国は、既に日本の3倍近いGDPとなっています。
仮に、中国がTPPに入った場合、中国のGDPだけで、域内の半分以上を占めることになります。逆に、日本の比率は、1/6まで低下してしまいます。
こうなると、日本の発言権は、ほぼ無くなります。
中国は、自国の都合を強く発言する国です。
TPP加盟前でも、既に、台湾の加盟申請にケチを付けています。
この中国を抑えることができるのか、甚だ疑問です。(政治家の実力は雲泥の差!!)



元々、当ブログでは、TPPに反対してきました。
今でも、将来的に、日本はTPPを脱退すべきだろうと、私は考えています。

TPPは、日本企業にはメリットがあるが、日本のメリットにはならない場合があります。TPPでは、他国との競争があるため法人税を低く抑える必要があり、日本企業が利益を上げても、税収はさほど増えません。

日本のように、手厚い国民保護の国では、他国との競争では、不利に働きます。
もちろん、国民保護の制度を撤廃することも考えられます。少子化の日本では、年金制度だけでなく、健康保険制度も維持が難しくなりつつあるので、撤廃も選択肢になります。
ただ、過渡期をどうするのか、過渡期は30年以上もあるので、過渡期を過ぎた時にTPPはどうなっているのかを考えると、安易に撤廃に舵を切るのも問題です。


地球温暖化と世界の人口増加で、食糧事情は悪化していきます。食糧確保が重要性を増すに連れて、食糧生産国の発言力が増していきます。
その中で、充分な食糧を確保するには、日本は、食糧生産国のメリットとなる存在でなければなりません。
ですが、国家予算から研究開発費を削減し、政府が目先の利益へと大学や研究機関を誘導する現状では、将来的に国力を維持できません。
もちろん、財政難の日本では、やむを得ない部分もあります。
ならば、食糧生産と脱酸素社会に国力を集中させ、研究予算も目的を絞るのも方法です。

TPPでは、国の税制や政策に制限を受けることが増えます。
なので、TPPからは距離を取りたいところです。
 
当ブログでは、その方向性を考えています。