大学は、教育面で言えば、高度な教育で専門性の高い教育を受ける場です。


近年、政府は「稼げる大学」と言っていますが、大学教育に置き換えると、稼げる教育を求めているのでしょうか。

大学教育で「稼げる」となると、一つは、学生を集める能力との解釈が成り立ちます。
学生に選ばれる大学になることが、政府が求める「稼げる大学」なのでしょうか。
おそらく、政府が考える「稼げる大学」の定義には、『教育』は間接的にしか含まれていないでしょう。

大学は、専門性の高い教育と言いましたが、少なくとも工学系では、非常に広い範囲を学びます。
私は、機械工学科でしたが、歯車だけを学んだわけでも、製図だけを学んだわけでもありません。
材料工学、構造力学、流体力学、熱力学、制御工学、生産管理、エネルギ変換工学、プログラミング・・
ずいぶん昔のことなので、あまり思い出せませんが、上記の他にも、基となる数学についても、かなり教え込まれました。
座学以外にも、実習として、旋盤、ボール盤、フライス盤、鋳造、鍛造、ガス溶接、電気溶接、製図・・
機械を扱うための『基礎』を、大学で学びました。(あまり身に付いていない ^_^)
専門と言っても、専門分野の基礎を学んだのです。

これらは、更に深く専門分野を掘り下げていくための、基礎になるものです。
社会に出れば、職務の専門性が高くなります。
ですが、基礎がしっかりしていれば、様々な職務をこなしていくための力となります。


大学の存在意義は、高度な教育と、先端科学の研究が、日本の柱だと思います。
(実践を3本目の柱とする考えもあるようです)
『稼げる大学』を本気で考えるなら、教育の面からも、本気で考えるべきです。
つまり、大学教育で、社会の利益になる人物を輩出できるようにすることです。
これも、広義の『稼げる大学』ではないでしょうか。
でも、大学で高い教育をするためには、その基礎となる教育が重要になります。
つまり、教育で『稼げる大学』を作るためには、高校の教育が重要になり、高校教育を充実させるためには、中学校教育が重要になります。当然、小学校教育も重要であり、幼児教育についても、検討する必要があります。

『稼げる大学』と言っても、稼ぎ始める時期は、早くても数年後です。
政府は、目先の利益を上げられる研究を期待して、『稼げる大学』を掲げています。だから、早期の利益を求める大学ファンドを導入したのです。
『教育』を受けた人材による『稼ぎ』は、政府の考えには皆無なのでしょう。

また、基礎研究はせず、他国の論文を使うつもりなのでしょうか。
中国の経済を『パクリ』と批判してきましたが、そう遠くない将来には、中国から「日本は中国の基礎研究からパクっている」と批判されるのかもしれません。
今の日本の教育は、その方向にまっしぐらです。



『稼げる大学』を目指す政府の政策は、実際には『稼げない大学』に向かっています。

例えば、大学教員が職務に充てる時間の内、研究時間の割合は、2002年度の46.5%から、2018年度には32.9%まで低下しています。
これは、国立大学の法人化(2004年)や、研究費予算の削減が、理由と思われます。
これらが、大学教員の雑務を増やし、研究時間を圧迫しているのです。
大学教員の優れた能力を、力が発揮できる研究や教育の現場ではなく、予算取りやその審査等に浪費しているのです。
これは、予算対効果の面で、約30%のダウンを意味します。

この傾向は、一般企業にも見られます。
そのことは、当ブログでも、異なる切り口で指摘しています。
結局、日本の大学だけの問題ではなく、国全体に蔓延る問題のようです。
そこにメスを入れられてこそ、有能な政治家の証しですが、どうやら全く反対のことを推し進めています。ポスドク問題も、解決策は出されておらず、どうやら政府には、無能な政治家ばかりが集まっているようです。


日本国は良い国だと思いますが、残念な政府です。