豊葦原中津谷のニニギ

食糧自給率の向上を目指して! (2100年の日本へワープ)

カテゴリ: 地球温暖化

フェーン現象は、ほとんどの方が御存知でしょう。
簡単な理解では、「南寄りの風が山を越えた際に高温になる現象」ですね。
もう一歩、踏み込むと、「湿った大気が山を越える際に降雨で水分を失うため、山を吹き下す際に水分の潜熱の分だけ高温になる」との理解で良いと思います。

ところが、これに反する研究が発表されました。


最新の研究では、これまでの熱力学的なフェーン現象より、単に力学的なフェーン現象の方が多いことがわかったそうです。
北陸地方で発生した198件のフェーン現象の内、161件(81%)が力学的なフェーン現象だったそうです。

熱力学的なフェーン現象は、前述のように山を越える際に水分を失うことで発生します。
これに対し、力学的なフェーン現象は、元々上空にあった大気が、山の風下側で下層に吹き下ろす際の断熱圧縮で高温になる現象です。

確かに、フェーン現象が起きた時、山の風上側で降雨があるのは多くありません。
降雨が無ければ、水分は大気中に残るので、山の風下側でも、風上側と同等の気温にしかなりません。つまり、フェーン現象にはなりません。


この研究が、今後の天気予報に活かされることを願っています。



外航船(国を跨いで航行する船)の燃費についての格付けが、国際海事機関(IMO)の6月会議で関連条約の改正によって導入されることが、決まる予定です。
船舶の新造は、中国が4割、韓国が3割、日本が2割で、この3国だけで世界の9割を超える船舶が建造されています。
今回の条約改正は、この3国やドイツ等を含む19ヶ国が共同したものです。
施行は、2023年からとなります。


燃費の悪い船舶から燃費の良い船舶への更新を促し、2008年との比較で、CO2排出量を2030年までに40%、2050年には半減させることを目指しています。
燃費の格付けは、A〜Eの5段階に区切られます。E評価は直ちに、3回連続でD評価となった場合も、所有者は政府に改善案を提出しなければなりません。

関係者は、日本が有利になると期待していますが、正直なところ、疑問があります。
日本が有利になると見る根拠ですが、対策または更新が必要となるDとEの割合(各国建造分に占める割合)は、日本製は17%しかないのに対して、中国製は33%、韓国製は36%だからです。
この数字は、新造に繋がるものですが、どの国で建造するのかは、別問題です。同じ国で建造するのなら、更新対象の船舶が少ない日本は、不利になります。
また、日本の低燃費技術が高いかと言うと、そうでもなさそうです。
最高格付けのAの割合は、日本製は27%、中国製は17%、韓国製は16%です。
これが1%や2%なら、低燃費船の建造技術を習得できていないと見ることもできます。ですが、これだけの割合で建造できているなら、技術面での日本の優位性はないと見るべきでしょう。

別の面でも、この格付けは疑問を感じます。
Aランクは、既に実現できている技術レベルにすぎず、30年以内に求められる水準には遠く及びません。むしろ、「充分な努力をしている」との言い訳のためと思われます。
実際、以前に紹介したような省エネ船は、その多くが日本ではなく欧米で開発されています。過去には、日本でも硬式帆船が実現的に建造されたことはありますが、全体としては、日本は出遅れているとも言えます。
数日前に発表された水素で動く船(想像図から全没型水中翼船。動力は燃料電池)も、スイスが設計し、日本で運用するのだそうです。 これも、海外の技術(燃料電池はトヨタが6年前に解放した特許を使うのかも)です。
今回の格付けで日本が有利になると考えるには、要素が不足しているように思います。

この格付けは、6月の会議で承認されても、遠からず再改定されるかもしれません。
私なら、前述の改正案のA、BをCランク、CをDランク、D、EをEランクとした上で、新たにS、A、Bランクを設けます。
Bランクは、今回のAランクの半分程度します。
Aランクは、カーボンニュートラルを達成した船舶とします。
Sランクは、建造から廃船処分までの全工程でカーボンニュートラルを達成した船舶とします。

人類が目指さなければならないのは、地球上での人類の全ての活動で、カーボンニュートラルとすることです。
つまり、私が提案するランクで、最高ランクのSランクが最終目標となります。
IPCCは、「2050年にはCO2の排出をゼロにする必要がある」としています。それを踏まえると、今回の条約改正は、その意欲に疑問を持ちます。

うっかりしていると、日本の造船業界は消滅する可能性があることを、関係者は理解しておくべきでしょう。その上で、バイオ燃料等の研究費を増額し、近未来の日本を作っていかなければなりません。

トヨタ自動車は、太陽電池によって発電した電力で人工的に光合成を装置の改良に成功したと、発表しました。
この装置は、二酸化炭素を含む水に酸化電極と還元電極を入れ、太陽電池の電力で二酸化炭素からギ酸(CH2O2)を生成します。
効率は、入射した太陽光のエネルギーの7.2%がギ酸の生成に変換されたとしています。具体的な記述はありませんでしたが、おそらく、ギ酸の化学エネルギーへ変換できる割合が、7.2%なのだと思います。


さて、実際の植物は、どれくらいの効率なのでしょうか。
多くの植物の光合成の効率は、1%以下と言われています。人工的に高効率になる環境を与えても、5%には届かないだろうとも、言われています。

となると、エタノール燃料で車を動かすことは、効率が悪いことになります。どんなに工夫しても、太陽光から得たエネルギの1%も、車を動かすためには使えないはずです。
太陽電池の効率は20%を超えており、送電や蓄電によるロスがあっても、光合成の10倍以上の効率は得られるはずです。
前回の話題である『人工光合成』でも、7.2%でした。
人工光合成の生成物はギ酸なので、これをエタノールに変換する必要があります。パナソニックの古い研究では、この過程で、エネルギの1/4が失われるようです。
人工光合成を用いても、エタノール燃料は太陽電池を超えられそうにありません。


エタノール燃料は、電動化が難しい動力に利用するのが良いと思います。
つまり、蓄電量では不足する船舶や、重量の制約が大きな航空機のカーボンニュートラル燃料としての利用です。
ですが、自然発火しにくいのでディーゼルエンジンには不向きと思います。
「エタノール燃料という手段もある」くらいに考えておいた方が、良さそうですね。

ギ酸からメタンを作ることも可能ですので、現状のコンバインドサイクルの発電所の燃料とすることも不可能ではないと思います。
コンバインドサイクルも、船舶なら搭載できるかもしれません。ですが、ガスタービンとランキンサイクルの2種類のエンジンを搭載しなければならないので、スペース面で経済的とは言えません。


考えてみると、エタノール燃料を含むバイオ燃料は、次世代エネルギ源としては、あまり有益ではなさそうですね。

火星探査車パーシヴィアランスに搭載されたMOXIE(the Mars OXygen In-situ resource utilization Experiment の略)を用いて、二酸化炭素から酸素を取り出すことに成功したそうです。

MOXIEは、火星大気中の二酸化炭素を圧縮・加熱して、一酸化炭素と酸素に分離後、加熱&低電圧を印加したセラミックメンブレン膜で、酸素を収集する仕組みだそうです。
MOXIEの諸元は、以下の通りです?

・サイズ  :239×239×309mm
・重量   :17.1kg
・消費電力 :300W
・酸素生成量:10g/h

今回の実験では、1時間に約5gの酸素を生成できたそうです。
これは、10分間の呼吸量に相当するとのこと。
当ブログでは、ダイエット法について書いていますが、その際は、10分間で約3gと計算しています。これは、安静状態をベースにしたためです。
それより多い酸素消費量ですので、軽い作業を想定しているのだと思われます。

1時間に300Wを消費して5gの酸素を生成できるなら、60W/gの性能です。



この装置、温暖化が懸念される地球で使えるでしょうか。

まず、二酸化炭素の分圧を考えてみましょう。
火星の大気圧は750Paで、二酸化炭素の割合は95%なので、二酸化炭素の分圧は713Paくらいです。
地球の大気圧は101300Paで、二酸化炭素の割合は0.040%(400ppm)くらいなので、二酸化炭素の分圧は41Paくらいです。
地球の二酸化炭素の分圧は、火星の1/17ほどしかないので、同等の性能を出すことはできないでしょう。

他にも、地球の酸素分圧が高いので二酸化炭素から酸素を取り出しにくいとか、地球は窒素が多く装置内が高温であることから窒素酸化物が生成されてしまうかもしれないこととか、副産物の一酸化炭素は僅かでも中毒を起こすので大気中に放出できないこととか、色々と気になります。

私は、MOXIEの仕組みが理解できていないので、上記の説明は間違っている可能性があります。
でも、地球では、火星と同等の性能は出ないことは、確実だろうと思います。



MOXIEと似たもので、人工光合成があります(仕組みは全く異なる)が、こちらは、後日、書くつもりです。

カーボンニュートラルを実現するための施策に、『カーボンプライシング』があります。
簡単に言うと、二酸化炭素排出量を販売単価に反映させるのです。二酸化炭素排出税や排出権取引によって、製品価格に転嫁します。

最も手っ取り早い方法が、石油・石炭・天然ガスなどに輸入関税をかけることです。
日本は、石油は99.7%、石炭は99.3%、天然ガスは97.5%を海外に依存しています。なので、ここに関税をかければ、末端までカーボンプライシングが届きます。
この考えによる『地球温暖化対策税』が2012年から始まり、2016年からは予定されていた最高税率で課税されています。

これらの施策の欠点は、国内法であることです。つまり、海外で生産された製品には、課税されません。
この対策として、『国境調整措置』が検討されています。
これは、二酸化炭素排出量の削減ができていない国からの輸入には関税をかけ、輸出には補助を出すやり方です。欧米では、既に検討・実施されています。

ですが、『国境調整措置』には、いくつかの問題があります。

まず、『国境調整措置』を実施している国から「日本に対して何ができるのか」です。
『国境調整措置』は、恣意的に運用できます。
相手国の二酸化炭素排出量は、正確には判定しにくいところがあります。
例えば、該当国が「個人の暖房需要が多いので、産業の排出量は少ない」と主張した場合、どう判断すれば良いでしょうか。正確な判断は難しいので、『国境調整措置』を発動した国の主観的な判断で運用することになります。
これを拡大すると、例えば「石炭火力を使っているから」とか、「再生可能エネルギー比率が低いから」とか、「製品の生産量を偽っている(単品当たりの二酸化炭素排出量を偽る)」とか、いくらでも恣意的に運用できてしまいます。

逆に、日本が『国境調整措置』を運用する場合、関税外貿易障壁として扱われる可能性もあり、TPPの規定に抵触するかもしれません。
日本の貿易は、TPPで縛られています。
TPP加盟国が、二酸化炭素を大量に排出しながら安価に製品を生産していても、関税をかけることは難しいはずです。
また、『国境調整措置』が恣意的に運用できるので、TPPに『国境調整措置』を盛り込んでしまうと、TPPの本来の自由貿易が崩れてしまう。
また、『国境調整措置』を組み込む条件として、日本が持つ高生産効率の技術供与が持ち出されるかもしれません。その場合には、日本の技術開発費が回収できません。また、国内企業は、海外での技術開発にシフトするかもしれません。
また、国家主導による技術開発も、TPPによって制限を受けるはずです。



当ブログでは、かねてからTPPには反対の考えを伝えてきました。
当ブログの主目標である食糧自給率の向上でも、副目標である地球温暖化の防止でも、TPPは足枷になります。だから、反対の意思を表明していました。
カーボンプライシングも、TPPの影響を受ける可能性があります。
日本が、目先の経済を優先するために他国に流され続けるなら、様々な面で世界から遅れていくことになりそうです。

既に、成立してしまっているTPPですが、それならば、二酸化炭素排出量削減で先進的な取り組みが行われることを期待します。日本が主導することによって、日本国民の生活の向上に繋げてほしいものです。
その上で、TPP加盟各国の共栄を図ってもらいたいものです。
(接待漬けの官僚には無理だな・・)
 

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