新・風の谷の生活

食糧自給率の向上を目指して!

カテゴリ: 研究機関など

今回も、色々と見て回りましたが、前回とは異なる点もありました。

前回は、研究者の方から「セミナーを聞いて頂き、ありがとうございます」と声を掛けて
頂きました。
観察力が優れた方なのでしょう。
影の薄い私を見つけてくださいました。

今回は、どなたからも声を掛けられることなく、幽霊のように歩き回りました。
前回、声を掛けて下さった方は、お見かけしませんでした。




子供向けの展示も多くありました。
そのなかであ、意外にハマったのが、ペットボトル・トルネード!
ペットボトル・トルネードは、
二つのペットボトルの口を繋ぎ合せ、一方のペットボトルから他方へと水を移動させる
砂時計のような実験道具です。⌛️
ペットボトルトルネード
https://twitter.com/nijinogesuidou/status/873698812467920898

砂時計との違いは、砂が液体の水に変わっている点です。この違いから、砂時計のように
天地をひっくり返しただけでは、ボコボコと泡が湧き上がりながら、ゆっくりと水が落ちていきます。
でも、ボトルを回して渦を作ってあげれば、渦の中心を空気が流れ、一気に水が落ちていくのです。

さて、当日ですが、スタッフの皆さんも、見学者の皆さんも、なぜかボトルを時計回りに
回して、時計回りの渦を作っていました。
確かに、右利きはボトルを時計回りに回す方が楽なのですが、「あれ? コリオリの力って、この向きだっけ?」と思い、ボトルを手に取りました。
よくよく考えると、コリオリの力に素直なのは、反時計回りです。
そこで、反時計回りの渦を作ってみました。
時計回りの渦と、差はありませんでした。
更に、弱い渦を作って強い渦に成長するか、試してみました。
何回か試したですが、これも差がありませんでした。

夢中になりすぎていることに気付き、子供達向けの実験道具で大人気ないと、その場を退散することにしました。




これ以外では、植生のシミュレーション、津軽海峡から三陸沖の海流シミュレーション等、興味深い展示もありました。
ここでは、日本海の熱塩対流の低下等について、質問させて頂きました。

また、DONETを見ていると、毎分2〜5回くらいの地震を検出していました。
陸から離れているので、人工的なノイズが少なく、高感度の地震計が微小地震まで捉えて
いるようでした。




先日、発表されたスパコン・ランキングでは、JAMSTEC横浜研究所の『暁光』が
世界4位、国内最速と認定されました。
暁光

様々なシミュレーションを支えるのはスパコンですが、世界4位に甘んじるのは面白くありません。それでも、ランクインできるスパコンが増えれば、研究者のメリットになります。

性能と共に、研究者に割り当てられるマシンタイムも増加することを願っています。


気象予測をテーマの一つに掲げる私の関心は、気象シミュレーションに集まりがちでした。
気象予測は、気象シミュレーションのような大規模なものではなく、期間・地域・精度を
限定することで、パソコンで中・長期の気象を予測することを目的としています。
ですので、気象シミュレーションの成果と課題には、強い関心があるのです。




まずは、「氷河期ってどんなとき?シミュレーションでわかること」から。

ここでは、シミュレーションの強みを活かして、氷河の影響の有無を検証していました。
寒冷化で氷河が発達すると、地球の反射能が高くなるので、暖まり難くなります。
当然、気温は低くなります。
氷河の発達を考慮せず二酸化炭素濃度(氷河期は現在の半分程度)のみで計算した場合と、氷河の発達も考慮した場合では、それぞれ約4℃と5℃の低下になるそうです。
これは、温暖化においても、氷河の後退や極地の棚氷・海氷の減少が影響を大きくすることを意味しています。(いわゆるアルベド効果)

もう一つ、前回も触れた真水の流入です。
『ザ・ディ・アフター・トゥモロー』の舞台背景にもなったカナダ沖への真水の流入を、
シミュレーションされていました。
カナダ沖は、深層海流の沈み込み海域の一つとされ、これが北半球の戻り氷期の原因と
見られています。
シミュレーションでは、真水の流入が500年間も継続する設定で計算していましたが、
北半球で気温が低下する現象が見られました。
私が着目したのは、真水の流入に対する気温の反応です。
記憶に基づくので正確ではありませんが、気温の低下は真水の流入直後から始まりますが、気温の上昇は真水の流入が止まってから100~150年くらい遅れることです。
このシミュレーション結果は、将来的に地球温暖化の対策が行われたとしても、気候が元に
戻るまで長い時間がかかる危険性があることを示しているように思いました。


逆回転シミュレーション
https://twitter.com/JAMSTEC_PR/status/929240505686245377
地球の自転を逆に回した場合のシミュレーションでは、海流や気象が安定するまで500年くらい必要だと教えていただきました。
先程の『氷河期~』のシミュレーションでの例も踏まえると、新しい気候へと遷移する場合
安定するまである程度の時間がかかるようです。
温暖化が気候の遷移を意味するなら、今後、気候が不安定化していくのではないかと、私は危惧しています。


では、なぜ気候は不安定になるのでしょうか。
素人研究者の私は確たる根拠を持っていませんが、一時的に熱塩対流が停滞するためでは
ないかと、考えています。
熱塩対流が停滞すると、浅海と深海が熱的に切り離されたような状態になり、海洋の熱容量が減ってしまうと考えられます。
このような状態にある時に何らかの要因で気候がブレた場合、その変動を吸収しきれずに、極端な気温の上下動を起こすことになります。

数百年が経過すると、氷河が消失することで真水の流入が減少したり、二酸化炭素濃度の
上昇が頭打ちになることで、熱塩対流は徐々に回復するのでしょう。熱塩対流の回復は、
見た目の熱容量の回復であり、気候も安定していくのだろうと、推定しています。

氷河期~』のシミュレーションでは、真水の流入で一時的に北半球は寒冷化しましたが、南半球ではやや温暖化していました。これは、北半球に陸地が多く、南半球には少ないことが影響しているのではないかと思います。
陸地は、海より熱容量が小さいので、北半球は南半球より熱容量が小さいと見なせます。
元々、北半球と南半球の大気は入れ替わりが少なく、北半球の影響が南半球に伝わるまで
時間がかかります。
なので、北半球の気候変動を南半球でカバー出来ないのです。
南北の気温の差は、ここに要因があるように思います。




さて、こうなると、シミュレーションの結果が気になります。
そこで、シミュレーションで気候の不安定化の兆候が現れていないか、質問してみました。
残念ながら、そのような観点でのシミュレーション結果をチェックしたことはないらしく、シミュレーション内で気候の不安定化を確認することはできませんでした。



シミュレーション関係の最後は、シミュレーションの再現力です。

別の機会にも書いていますが、シミュレーションを行う上で、有効桁数は問題になります。
複雑な計算をする毎に有効桁数は減っていき、場合によっては有効桁数は無くなってしまうこともあります。
そのようなシミュレーションは、結果を信用することができません。

そこで気になるのが、
マッデンジュリアン振動エルニーニョ/ラニーニャがシミュレーションで再現できたのか?
という点です。
キチンとシミュレーションできていたのなら、マッデンジュリアン振動やエルニーニョ等も
再現できるはずです。

くぅー!
無念!


研究者に質問するのを忘れていました。
当日に思いつかなかったのなら諦めるのですが、セミナーを聞いていた時には、
「そうだ! マッデンジュリアン振動の再現は?」と思っていたのです。
来年こそ、聞こうと思います。


JAMSTEC横浜研究所は、地球シミュレータがあるせいか、シミュレーション系の展示が多くありました。
私個人が期待する研究としては、温暖化のシミュレーションにおいて、気候の不安定化が
起きるのか否かをテーマにした研究を見てみたいと思っています。
その研究を行うためには、『気候の不安定化』の定義から始めなければならないでしょうし
シミュレーションの有効桁数の問題も、ハードルの一つになるのかもしれません。

そのあたりをクリアし、私たちに未来を見せて頂きたく思っています。


今回の一般公開では、二つの立ち寄りセミナーを聞きました。

一つ目は「氷河期ってどんなとき?シミュレーションでわかること
天文学(惑星学を含む)と古気象学を結合し、古気象をシミュレーションする研究でした。


もう一つは、「気候シミュレーション・雲・台風
こちらも、気象シミュレーションです。


シミュレーションのメリットの一つが、実際には起きていないことであっても仮想的に
再現できることです。
私が聞いた立ち寄りセミナーでも、前者は真水の流入、後者は陸地を無くす条件でも、
シミュレーションしていました。

また、セミナーではありませんが、展示の中に、『地球の自転が逆だったなら』との条件でシミュレーションした結果もありました。

地球の自転が逆というのは、大陸の配置を変えることに等しいので、ジュラ紀や白亜紀の
大陸配置で気象をシミュレーションすれば、恐竜の生態を知る手掛かりになるかも・・・
ちなみに、地球の自転が逆だったなら、大陸の配置も現在とはかけ離れたものになると、
研究者が仰っていました。確かに、コリオリの力が反対方向に働くので、マントル対流も
変わり、異なる大陸配置にしてしまうはずです。



さて、気象関係のシミュレーションは、非常に興味深いものでした。
また、新しい知識を仕入れることができたのと同時に、聞き忘れたこともありました。
そのあたりは、次回に書くことにします。




最後に、こんな話も伺いました。
シミュレーションは、AIにとって変わられるかもしれない

チェス、将棋、囲碁と、次々にAIが人間を打ち破り、注目を集めるようになっています。
多くは、自己学習による知識集積型のAIですが、学習した内容を基に考察できるように
なってくれば、シミュレーションでやってみなくても、論理的に結果を推定できるように
なる可能性があります。
そうなれば、膨大なエネルギーを消費してシミュレーションする必要はなくなります。

JAMSTEC横浜研究所にある『地球シミュレータ』は、冷却装置のための建屋が
地球シミュレータの建屋とは別にあります。
地球シミュレータは膨大なエネルギーを消費しますが、その大半は熱に変わります。
巨大な電気ストーブのようなものなのです。
でも、その熱を放置していれば地球シミュレータは誤動作してしまうので、冷却しなければなりません。
つまり、シミュレーションするということは、電気ストーブで部屋を暖めながら、同時に、その部屋をエアコンで冷やすようなものなのです。

地球シミュレータ

バカですよね。
シミュレーションしないで結果が得られるなら、こんなバカなことをしないで済むのです。
まあ、現時点のAIは自己学習型ですので、AIが数多のシミュレーションを行いながら
自己学習していくことになるのでしょう。

シミュレーションの必要性は、当面は変わらないのかもしれませんね。


写真は、戦利品です。
と言っても、それなりに対価は払っていますから、戦利品とは呼べませんが。


しんかい6500ペン

御覧の通り、しんかい6500にメンダコが乗っています。

誰が考えたのか存じませんが、メンダコが目立っていました。
耳があるタコは、可愛いですね。
ちなみに、耳に見える部分はヒレだそうです。
そう言えば、タコの祖先にあたるイカも、この辺りにヒレがありますね。




次の写真は、ビオトープに繋がる小川です。

ビオトープへの川

この川(水路)についても、質問してきました。
「水はどこから流れてくるのか?」
最初に質問した方は、知っていそうな方を探してくれました。
「たぶん循環しているのではないか?」との事でしたが、結果はハッキリしませんでした。

横浜研究所の北側


これは、敷地の北側を流れる川です。
海が近いので、逆流するのか、「この川は満潮になると水深が深くなります」と書かれた
看板もありました。
ビオトープに塩水が混じるのは良くないので、ここから取水していないはずです。
実際、取水するような箇所も見当たりませんでした。

敷地の東側と西側は、工場に隣接しているので、ここから流れ込むとは思えません。
西側は、道路を挟んで台地ですので、敷地内に湧き水が無いとも言い切れませんが、
可能性は低いと思われます。


そこで、航空写真を見てみたのですが、不鮮明ながら敷地の中を一周するように水路が
巡らされているように見えます。
どうやら、ビオトープから水を汲み上げ、水路でぐるっと一周させているようです。



こんなつまらない質問をして、すみませんでした。

当ブログの主題は、温暖化に備えることです。
ですので、JAMSTECでの興味も、気象に関わる展示が主になります。

最も話が弾んだのは、メタンガスの温室効果です。

メタンガスの温室効果は、二酸化炭素の20~30倍と言われており、二酸化炭素に次ぐ
温室効果ガスとして注目を集めています。
このメタンガスの影響をシミュレーションしている研究者とお話しさせて頂きました。
パリ協定など、メタンガスの影響調査の重要性が高まり、現地調査とシミュレーション部門がタッグを組んで取り組んでいるそうです。


気象M高度化研究P

ところで、このお話を聞いている時に、ある国の旧国名が出てきたので、驚きました。
もし、その方が当ブログに気付かれたなら、この話題に赤面されるかもしれません。

もしくは、私の容貌が旧国名をイメージさせたのでしょうか。




閑話休題

ここで最も知りたかったのが、演算桁数がシミュレーション結果に及ぼす影響でした。
メタンガスを含む温室効果ガスの影響をシミュレーションする上で、演算精度について
聞いたところ、演算桁数の影響より、環境モデルの精度や不足の方が結果に影響するとの
ことでした。


シベリアで、永久凍土からのメタン放出を調査されている方も加わり、
「ぬかるんでいるので、一人では足が抜けなくなったら怖くて調査できない」とか、
「マンモスの肉を食べたことはあるか?」でも盛り上がりました。

映像で、永久凍土の中の池塘から採取したガスにメタンが含まれていることを明示的に
示すため、ビニール袋に溜めたガスに火を付けるシーンがあった。
でも、その火の付け方が、適当と言いますか、ビニール袋の隅をハサミでちょいと切り、
蝋燭に火を付けるごとくライターで火を付けるのです。
でも、その炎は蝋燭とは比べ物にならないほど大きいのです。
「もっと安全な火の付け方をすると思っていました」とシミュレーションを担当する研究者と共に驚きました。


ここが、私が最も長居した場所となりました。

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