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地震予知研究の手引き

  1.はじめに
  2.現状の問題点1
  3.現状の問題点2
  4.現状の問題点3
  5.現状の問題点4
  6.地震予知の目標地点
  7.地震の規模
  8.地震の規模と場所の関係
  9.地震の発生時期
 10.地震の始まり1
 11.地震の始まり2
 12.規模の推定方法1
 13.規模の推定方法2
 14.規模の推定方法3
 15.地震発生時期の推定方法1
 16.地震発生時期の推定方法2
  : コーヒーブレーク1
  : コーヒーブレーク2
 17.研究方法1
 18.研究方法2
 19.研究方法3
 20.研究方法4
 21.研究方法5
 22.検証方法1
 23.検証方法2
 24.アマチュアの目指す方向
  : コーヒーブレーク3


※「地震予知研究の手引き」は、目次がありませんでした。
 そこで、日付を詐称して、この目次を先頭に差し込む事にしました。
 (2017年1月12日)

度々罵詈雑言を繰り返してきましたが、未だに言い足りない分野が地震予知です。

なぜ言い足りないのか、自問自答してみると、
立派な肩書の大学教授が、専門外とは言え、研究者とは思えないほど出鱈目な地震予知を
繰り返している事に問題を感じているからだと、気付いたのです。
それ以外にも、巨大な発信力を持つメディアが、出鱈目な地震予知を賛美し、有料の情報を
推奨している現状にも、強い危機感を感じています。
「地震予知」で検索すると、地震雲やら体感やら訳の分からない素人による地震予知手法も
乱舞しています。
このような状況では、地震予知研究の裾野は拡がることはあり得ません。

私は、専門外やアマチュアを理由に、その地震予知を否定するわけではありません。
無線や天文分野では、プロとは違う角度からアマチュアが研究に参加しています。
例えば、電離層の発見には、アマチュア無線家が関係しています。
超新星や彗星の発見は、アマチュア天文家が活躍しています。
このように、アマチュアが活躍できる分野もあるのです。
もし、アマチュア研究者が真っ当な地震予知研究を行えば、広い範囲の情報を集約でき、
地震予知研究に貢献できるかもしれないとも考えているのです。

しかし、そのような下地を作るためには、解決しておくべき大きな問題が三つあります。
それは、以下のようなものです。
・経験則、あるいは宏観現象のみに頼っている。
・地震予知の三要素(時期・場所・規模)の全てを一つの手法で予測しようとする。
・地震予知手法の評価・検証を行っていない。
この三点は、「地震を予知できる」と主張する全ての研究者に共通する問題点です。
この問題点を全て解決できなければ、地震予知研究は出鱈目の域を脱する事はできません。

と言うわけで、
どうすれば地震予知に近付く研究ができるのか、その手引きをまとめたいと考えています。
数回に分けて掲載していきますので、よろしくお願い致します。


-地震予知研究の手引き(現状の問題点1)-

地震予知研究者に共通する問題点は三つありますが、
今回は「経験則、あるいは宏観現象に頼っている」点について、解説したいと思います。


巷の地震予知は、何らかの現象と巨大地震との関係を基にして行われています。
巨大地震と関係があるとされる現象は、例外なく偶然によって見つかっています。
日頃とは違う珍しい現象を経験した後に巨大地震が発生すると、私達はついつい
ああ、あれは前兆だったのか!」となるのです。
これが、俗に言う「宏観現象」です。

近年、様々な観測機器が開発され、観測結果もネットで公開されるようになったため、
一見、科学的に見える観測データも、宏観現象となり得るようになってきました。
その一例が、地震解析ラボが地震予知に使用する電離層の擾乱であり、
あるいはJESEAが用いる電子基準点のデータでしょう。

では、経験則、あるいは宏観現象は、何が問題なのでしょうか。
それは、地震との関係があると言い切れないことにあります。
なぜ、地震との関係に疑問があるのでしょうか。
第一に、宏観現象は地震より前に発生し、かつ地震発生前に終息していることにあります。
地震発生前に始まり、地震発生と同時に終息する現象であれば、前兆現象だと考えても
おかしくありません。
ですが、現象が地震発生前に終息するなら、それは地震とは無関係と考える方が自然です。
現象の終息から地震発生までの間を説明できない場合は、宏観現象でしかないのです。

第二に、前兆現象が発生する場所は、震源域の直上か、極めて近い場所であるはずですが、
巷の地震予知の中には、数千キロも離れた場所の現象と巨大地震とを関係付けている例も
あります。
地震は、マグニチュード7クラスでも、震源域の長さは概ね50キロ以下です。
数百キロや数千キロも離れた場所に前兆が現れるはずがありません。
震源域から離れた場所にも現れる現象は、宏観現象に過ぎません。


なぜ、このような疑義が生じる宏観現象を、地震の前兆と思い込んでしまうのでしょうか。
それは、地震と前兆の関係を論理的に思考しない事にあります。

一つは、地震予知の三要素(時期・規模・場所)を区別せず、単純に巨大地震と現象を
結び付けようとするところにあります。
二つには、地震と現象の関係を評価、検証しようとはしない事にあります。
偶然の可能性は無視し、悪魔の証明を逆手に「偶然とは言い切れないから前兆に違いない」
と考えてしまう姿勢に問題があるのです。

このような研究姿勢では、地震予知に成功する可能性は一枚だけ買った宝くじが一等に
当たる確率より遥かに低いでしょう。
だから、研究に向かう姿勢を改めなければならないのです。


-地震予知研究の手引き(現状の問題点2)-

前回は、宏観現象について説明しました。
ですが、一部には、「早川氏の地震予知手法は、ちゃんとした理論がある」と思っている
方が居られるかもしれません。
まさか、自ら『データさえきちんとしていれば問題ない』旨の発言をされている村井氏を、
「理論がある」と思い込んでいる方はいないと思います。
彼の電子基準点を用いた地震予知手法こそ、典型的な宏観現象なのですから。


早川氏に限らず、肩書の立派な方が公表している地震予知を妄信しておられる場合、
私のような人間が「巷の地震予知は宏観現象にすぎない」と申し上げても、思考停止から
抜け出せないのではないでしょうか。
この「地震予知研究の手引き」は、そのような思考停止状態から脱却して戴くことを本望と
していますので、最後までお付き合い頂けますようお願いいたします。


早川氏は、最終的にパッキと割れる前に小さな割れ目ができる際に生じる電磁気で電離層が
乱れると、説明しています。
これを「科学的」と見る方も多いでしょう。
ですが、かなりデタラメな説明にすぎないのです。
まず、従来から知られている要因で説明しきれない部分は、全て地震の前兆としています。
検証時の条件や制約、他の要因などは、全て無視です!
また、地震の前兆だと考えた際に矛盾しないのか、全く検証していません。
つまり、「電離層の擾乱は地震の前兆」との思い込みがあり、言い訳程度の検証しかして
いないのです。
例えば、電離層の擾乱を起こすために必要なエネルギーはどれくらいなのか、全く考えて
いません。

阪神大震災クラスのM7.0の地震のエネルギは、2×10¹⁵J(約5億5000万kWh)です。
これは、東京電力の1日分の発電量とほぼ同じです。
早川氏が地震予知に成功したとする最小の地震はM4.3ですので、東京電力の7.7秒分
の発電量とほぼ同じです。
早川氏は、7.7秒分の発電量にしか相当しない小さな地震の前に、更に小さく割れる
現象だけで電離層の擾乱が発生すると主張
しているのです。
地下深くのそんな小さなエネルギーで電離層を乱せるのなら、都市部の上空の電離層は、
いつでも乱れていそうなものです。

「早川氏の地震予知は高い成功率を上げている」とおっしゃる方も居られるでしょう。
それについては、彼の地震予知がマグレ当たりである事を、もう一つの「風の谷の生活
で、詳細に分析&確認しております。
この中では、私のデタラメな地震予知モドキと早川氏の地震解析ラボを比較しています。
その結果、私の地震予知モドキの予知成功率が80%だったのに対し、地震解析ラボの
成功率は66.7%しかありませんでした。
また、地震予知に成功していれば示すであろう統計的な傾向も、一切見られませんでした。


早川氏の地震予知手法は、エネルギー面から見ても、統計面から見ても、地震を予知できて
いると考える要素は見当たりません。つまり、宏観現象にすぎないのです。
なぜ、このような結果になってしまっているのかは、前回にも述べたように、
地震と前兆の関係を論理的に思考しない点にあるのです。
ただただ「この現象は地震の前兆に違いない」と思い込み、「前兆」と主張できるように
宏観現象から地震発生までの期間を延ばしたり、対象とする地震の規模を小さくしたり、
震源までの距離を広くしたりして、成功率を稼ぐ事にのみ精力を注いでいるのです。


これを読んでいる方には、早川氏や村井氏のように思考停止に陥ってほしくないのです。
是非、真っ当な研究手法を採り、地震予知の実現に近付いて戴きたいと思っています。

なお、次回も、現状の地震予知研究の問題点の指摘を行いますので、御了承ください。


-地震予知研究の手引き(現状の問題点3)-

地震予知研究の問題点について説明てきましたが、
今回は、「地震予知の三要素の全てを一つの手法で予測しようとする」件について、
説明します。


そもそも、巷の地震予知は、宏観現象を頼りにしています。
ですが、宏観現象と言えど、そうそう見つける事が出来るわけではありません。
だから、地震予知の三要素である時期・場所・規模のそれぞれに対応する宏観現象
揃える事は、それなりに難しいのです。
また、理論から導いていないので、宏観現象を見つけた際に三要素のどれと関係するのか、
考えもしないのです。
そのため、宏観現象から導き出す地震予知の三要素も、実にデタラメです。
では、巷の地震予知は、三要素をどのように決定しているか、簡単にまとめてみましょう。

1.時期
   多くは、経験に基づき、前兆とする宏観現象から地震発生までを固定値としている。
   宏観現象からの演算などで時期を決める事は、ほぼない。

2.規模
   宏観現象に比例して、推定する地震の規模を大きくする事が多い。
   ただし、宏観現象と地震の規模の関係は、ほとんどの場合、感覚的に決めている。

3.場所
   宏観現象の発生場所付近を地震の発生場所とする事が多いが、地震雲のように方角を
   特定するだけの場合もある。
   また、地震が発生すると見込まれる範囲と、宏観現象の関係は、明確ではない。


基本的に、宏観現象は地震の規模の予想にのみ使用し、時期や場所は規模に応じて広げる
傾向にあるように思います。
なぜ、このような傾向にあるのでしょうか。


一つには、宏観現象の発見プロセスにあります。
珍しい現象が発生した直後に巨大地震があると、その現象を前兆と思い込んでしまいます。
この前兆と思い込んでしまった現象が宏観現象です。
なので、宏観現象から地震まで間隔は、経験以外に特定する手段を持ちません。
結果、時期は固定的な値となるのです。

具体的に見てみましょう。
早川氏の場合、概ね電離層擾乱から3週間以内に地震が発生するとしています。
この値は、ほぼ固定されています。
村井氏の場合は、宏観現象の典型的な傾向を、時期の変遷から見て取れます。
彼は、当初は「電子基準点の異常から5週間以内に地震が発生する」としていました。
その後、5週間2~3ヶ月になり、半年になり、8ヶ月半になりました。
そして、熊本地震を経て今は2年に延びようとしています。
元々、時期に根拠がありません。だから、安易に伸ばしていけるのです。


二つめです。
三要素の中でも、地震の規模と宏観現象の関係付けは、意外にもデタラメです。
宏観現象は、地震の前に発生する現象ではなく、巨大地震の前に発生する現象なのです。
ですので、宏観現象と地震の規模との関係は、最初から無視されているのです。
つまり、「宏観現象は巨大地震の前にしか起きない」と、決めつけているのです。
ですが、地震の前兆があるのなら、観測の難易度はあるとしても、地震の規模に関係なく
前兆が現れなければ不自然です。
ですが、元々が珍しい現象なので、「有る」、「無い」の二つになる事が多いのです。 
それ故、宏観現象と地震の規模との関係は曖昧になってしまうのです。


総じて言える事は、経験的に見つけた貴重な宏観現象にしがみ付き、「前兆に違いない」
との考えから、無理矢理、地震との関係付けを行おうとしているのです。
その結果、地震予知の三要素は蔑ろにされ、曖昧な地震予知となるのです。


さて、折しもイタリアで大きな地震が発生し、サッカーの本田圭佑氏が地震予知研究への
サポートを申し出ました。
本田氏には頭が下がる思いですが、
残念なことに、地震予知研究の分野は錬金術師が跋扈する世界です。
本田氏のサポートが、有効に使われることを願わずにいられません。
本題目についての記事は、今後も1週間程度は続く予定です。
もし本記事が本田氏の目に触れる事があれば、少しはサポート対象を判断する材料に
なるのではないかと、(傲慢にも)思っています。


-地震予知研究の手引き(現状の問題点4)-

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