新・風の谷の生活

食糧自給率の向上を目指して!

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JAMSTEC横浜研究所の一般公開に行ってきました。
 

JAMSTEC1

鳥取での地震の翌日でしたので、横須賀本部の時と違い、特集はありませんでした。
ですが、関心を持つ方は(私を含め)多く、日本海側での地震の危険性に関する展示では、常に質問をされる方がおられました。

で、私は‥と言うと、ブログの本来の目的である「食糧自給率の向上」に関わる展示を中心に・・・と言うこともなく、好奇心の赴くままに歩き回りました。
特に、横浜研究所が誇る二つの『チキュウ』は、ついつい足が向いてしまうのでした。

地球シミュレータ

これは、「地球シミュレータ」です。
昨年、更新されたばかりの新鋭機です。

IMG_1075

これは、地球深部探査船「ちきゅう」の模型です。
「海がない県に住んでいるから」と言い訳していますが、本物は見たことがありません。
既に、完成から10年が過ぎていますが、売りであったマントルからサンプル採取はした事がありません。
いつ実行に移すのでしょうね。
でも、メタン菌の発見や東日本大震災時の震源のサンプル採取などの功績もあります。


色々と面白いネタを仕入れましたので、サクラ開花予想2017の合間にでも紹介していこうと思います。
(分かりやすく言えば、開花予想で煮詰まった時の逃げ場ということ)
御期待ください。

5ヶ月前にも書いていましたが、
予告していましたように横浜研究所の一般公開に行ってきました。

JAMSTEC横浜研究所MAP

JAMSTEC横浜研究所タイムテーブル

恥ずかしながら、少々道に迷いながら辿り着きました。
到着後も、自分の好奇心の赴くままに歩き回ったので、今回も写真があまりありません。
数少ない写真の中から、毛色の異なる写真を一つ。

JAMSTEC横浜研究所ビオトープ

これは、JAMSTEC横浜研究所内の中庭にあるビオトープ(と私は思っている)です。
これを使った研究があるかは私は知りませんが、何が棲んでいるのか気になるところです。

JAMSTECの研究分野は、驚くほど広いのです。
正式な名称(海洋研究開発機構)には「海洋」が付きますが、
海だけでなく、氷上、空中、陸上まで、海象、生物、鉱物、地質、気象など、
ありとあらゆる自然を相手に研究していますね。

そんな一つ、陸上を対象とした研究では、森林の成長のシミュレーションがありました。
(写真はありません (*´ェ`*) )
熱帯雨林と亜寒帯の気象条件を入れ、シミュレーションをしていました。
基本的には、熱帯の降雨帯は熱帯雨林への変化圧力が掛かっているようです。
ですが、
熱帯雨林が伐採されると、地表の保水力が下がり、太陽光の反射能も高くなるので、
砂漠化への変化圧力が掛かってしまいます。
また、熱帯雨林ではリン酸が不足しているので、回復力も強くないようです。

残念ながら、このシミュレータではリン酸等の初期条件は設定できないそうで、
まだまだ発展途上なのだそうです。
初期条件の設定項目が増えれば、
砂漠の緑化や熱帯雨林の維持・保護にも応用が可能なのだと思います。
今後の改良を期待したいと思います。
 

JAMSTEC横浜研究所では、地震を研究している方が多いそうで、当然のことながら、
関係する展示も数多くありました。
横須賀本部でも見た3D地形図、日本海側の地震、トルコ・マンデラ海域の断層連動等の
展示がありました。
私が喰いついたのは、展示そのものではありませんでした。
一つは、「大震度地震」、「大和堆」等ですが、今回は「四国沖のスロースリップ」を
話題にします。

下の地図は、南海エリア周辺で1946年からの70年間に発生したM5.5をプロット
したものです。

南海エリアに発生したM5.5以上の地震

一目で分かるように、高知県沖、特に足摺岬の南東側で地震がない地域があることが
分かります。
この領域では、スロースリップが起きているため、歪が溜まりにくいのです。
そのため、観測開始から今日まで大きな地震は発生していません。
また、歪みが溜まりにくいので、南海トラフ地震が発生しても、日向灘で大地震が
発生しても、この領域で破壊が止まり、反対側まで連鎖しにくいと考えられている
そうです。

※立命館大学の高橋学氏は、南西諸島から東海までが連動する超巨大地震の危険性を
  唱えていますが、氏の勉強不足がよく分かります。

なぜ、ここでスロースリップが起きやすいのか尋ねたところ、この辺りで地下の構造が
切り替わっているためと考えられているそうです。
確かに、日向灘では北北東から南南西方向に向かって地震帯が伸びていますが、
南海・東南海ではほぼ東西方向に地震帯が伸びています。
地震が少ない(スロースリップが起きている)領域は、ちょうど両者の境目にあります。

ただ、「スロースリップが起きているからと言って、大地震が起きない事を意味する
わけではない」と釘を刺されました。
やはり、地震はいつ起きるかわからないと、常に意識しておかなければならないようです。

JAMSTEC横浜研究所は、「地球シミュレータ」が置かれている場所でもあります。
「地球シミュレータ」専用の建屋にあります。
その理由は、「地球シミュレータ」を冷却するための設備や電源のためです。

下の航空写真からも分かるように、「地球シミュレータ」の建屋の大きさが分かります。
※地球シミュレータは、研究所の最も奥(右端)にあります。

JAMSTEC横浜研究所

本体は、C館の4階から渡り廊下(橋と言った方が正確かも)でD館に渡り、1フロア
下りたところにあります。

地球シミュレータ


見ての通り、薄暗くダダ広い場所です。
照明は壁の中に収納されていて、ダクトで部屋の中央まで導かれる仕組みです。

「地球シミュレータ」は、様々な目的で使用しています。
私が興味があるところでは、気象の予想にも使用されます。
マッデン・ジュリアン振動(MJO)も、「地球シミュレータ」で計算しているそうです。

後悔していることは、「地球シミュレータ」について、何も質問してこなかったことです。
特に、計算桁数は聞いておきたかったところです。
サクラの開花予想をしている関係で、Excelの計算精度(有効桁数15桁)による
限界を感じる事があります。
「地球シミュレータ」がどんなに早く計算しても、変数が多い場合や次数が高い場合、
数値計算で結果を得ることはできないし、長期の予測では精度が落ちると思われます。

「地球シミュレータ」の計算桁数・・・・・何桁なんでしょうね?

既に書いていますように、JAMSTEC横浜研究所には、地震の研究者が多く居られる
そうです。
展示も、地震計を用いた震源予測、液状化実験ボトル、DONETのリアルタイム表示等の
展示がありましたが、私が見たのは寒天断層実験でした。
残念ながら、写真を撮っていませんでした。
ですが、日本地震学会にほぼ同様の写真があったので、参考に掲載します。

寒天断層実験

断層実験は、偏光ガラスに挟まれた厚さ1cm程の寒天を横から押し付けて、断層がずれる
瞬間を高速度カメラで撮影します。
寒天は、上部に切り込みを入れてあるので、押し付けられると逆断層を再現します。
写真では、画面右から押し付けられ、右側の寒天を押し上げながら下に潜り込んでいます。

写真で黒く写っている部分は、応力が掛かっている(歪が溜まっている)部分です。
白く写っている部分は、応力が掛かっていない(歪が解消している)部分です。
この写真は、私が見た実験の結果とは違いますが、雰囲気は伝わると思います。

この実験に関して、私の疑問は、断層の上側と下側で応力のかかり方が異なる点です。
基本的には、上下で対象になるそうです。
また、そうでなければ作用・反作用の考えと一致しません。
ですが、上の写真でも、断層の上側に応力が弱い領域が広がっていることが分かります。
(私が見た実験では、亀裂の移動に同期して、断層の下側に応力が弱い領域が走りました)
私の個人的な見解では、この応力の弱い部分は、地震波としてエネルギを放出したのでは
ないかと考えています。


この寒天断層実験は、JAMSTEC横浜研究所の一般公開で、私が最も興奮した場所
だったのかもしれません。
 

JAMSTEC横浜研究所の一般公開で、この話題で盛り上がると思っていなかったのが、
大深度地震でしょう。

大深度地震(深発地震)とは、深さ200km以上の深さで発生する地震を指します。
実は、大深度地震は、発生場所が極端に偏在しているのです。
中でも、マリアナ海溝からウラジオストクまでは、不気味なほど一直線に並んで深発地震が
発生しているのです。

大深度地震

これは、気象庁の地震データベースで、深さ300km以上の地震を検索した結果です。

JAMSTEC横浜研究所で私の質問に答えて下さった方が、偶々学生時代に大深度地震を
研究していた方でした。
大深度地震は、緯度・経度で見ると、不気味なほどに一直線に並んでいます。
これほど綺麗に並んでいるので、何がしかの重大な要因があることが推定されますが、
垂直分布を見ると、意外にも一直線ではないのです。

大深度地震断面

マリアナ海溝付近からウラジオストク付近まで、地図上では綺麗に一直線ですが、
垂直方向の分布では、マリアナ海溝から本州直下までは、南ほど深く、北ほど浅くなって
います。
ところが、本州直下で折れ曲がるように深くなっていくのです。
平面上では直線に分布する要因があるのなら、垂直方向の分布はなぜ鞍型になるのか、
不思議でなりません。
JAMSTECの方とは、その辺りの話をさせて戴きました。

熱く説明して頂きましたが、私の頭ではきちんと理解することはできませんでした。

JAMSTECは、深海へのアクセス手段をいくつも持っている研究機関です。
それ故、深海の神秘に触れ、それを私達に見せることができます。

JAMSTEC横浜研究所の一般公開でも、深海生物や岩石を紹介していました。
「君は見たか!? 顕微鏡が映す深海サンプルの魅力」と題されたミニセミナーでは、
深海生物や岩石サンプルを顕微鏡で見せてくれました。
特に、岩石サンプルを光が通る厚さ30μmにスライスして仕上げる技には驚きました。
写真はありませんが、偏光板を通して見る岩石サンプルは、万華鏡のような美しさでした。

深海生物では、コシオリエビやハオリムシ等が紹介されました。

コシオリエビ
上はコシオリエビ、下はハオリムシです。
これらの写真は当日のものではなく、JAMSTECのHPから拝借したものです。
ハオリムシ

コシオリエビも、ハオリムシも、共生生物と共存しています。
コシオリエビは、全身の毛の中に微生物を微生物を共生させ、それを食べています。
ハオリムシは、体内に硫化水素を食す硫黄酸化細菌を共生させています。

このような話を、サンプルを顕微鏡(拡大鏡?)下に置いて説明がありました。
これらのサンプルは、教育目的で貸し出しを行っているそうです。


さて、ミニセミナーを受講後に「地球シミュレータ」を見学して、再びセミナー会場付近に
戻ってきた時、声を掛けられたのです。
「先程は、セミナーを熱心に聞いていただき、ありがとうございます」
声を掛けてくださったのは、ミニセミナーで講師をされた方でした。
JAMSTEC横浜研究所の一般公開中で、声を掛けられたのは、この時だけでした。
(影の薄い私ですが、なぜか声を掛けられました)
この時、ハオリムシの共生がいつ始まるのかで、少しお話を聞かせていただきました。
ハオリムシは、口も消化器官も持たない生物です。
生きるために必要なエネルギーは、共生生物から得ています。
不思議なのは、いつ共生生物を体内に取り込むのかです。
ハオリムシも、幼生の時には口を持っていますが、どうやら共生生物を取り込む経路は
経口ではなく、体表面かららしいのです。
この話題は、人類の腸内細菌に拡がりました。
人類と腸内細菌も共生関係ですが、私には腸内細菌を取り込む経路が不思議でした。
教えて頂いたところでは、母親の腸内細菌と子供の腸内細菌の遺伝子は異なることから、
母乳で渡すのではなく、食物の中の菌を取り込んでいる可能性が高いようです。


私にとって、JAMSTECはディズニーランドよりも楽しい場所です。
横浜研究所の一般公開でも、色々とありました。
例えば、11月12日、13日の高知新港での地球深部探査船「ちきゅう」の一般公開に
誘われました。
本当は行きたかったのですが、丁重にお断りしました。

心残りはありますが、JAMSTEC横浜研究所の一般公開の話題は今回で終わります。

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