新・風の谷の生活

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カテゴリ:研究機関など > JAMSTEC横須賀本部

5月21日、JAMSTEC横須賀本部の一般公開に出かけてきました。

正門を入ってすぐにあるのは、御製碑。

JAMSTECの碑

沖縄から本土へ疎開する学童を乗せた対馬丸は、
昭和19年8月22日、鹿児島県沖で米国艦の攻撃を受け沈没しました。
それから53年後の平成9年、
政府の依頼を受けたJAMSTECは、悪石島沖の水深870mで船体を確認しました。

天皇陛下はこれをお心に深くお留めになり、お詠みになられた和歌なのだそうです。



JAMSTECは海洋に関係するありとあらゆる分野を扱うため、
生物、地学、気象、工学、船舶と私の好奇心を満足させてくれる素敵な場所でした。

JAMSTECでの細かな話は後々書くことにして、当日の収穫物を紹介しておきます。



水大循環と暮らし

この本は、ミニセミナーに出席した際に戴きました。

なんと、「贈呈」です。


こちらは、お金を出して買った品々です。

お土産

本当は、ライザーパイプ鉛筆入りのペンケースを探していたのですが、
見つける事が出来ませんでした。



JAMSTECは、研究対象が広いので、
好奇心に手足が付いているような私には夢のような場所でした。
11月にも、横浜研究所の一般公開がありそうなので、行ってみるつもりです。

JAMSTECの横須賀本部の一般公開では、何と言っても「かいめい」が看板でしょう。

かいめい外観


「かいめい」の話をする前に、JAMSTECの岸壁の様子を伝えたいと思います。

JAMSTECの岸壁は、なぜかコンテナが多いんです。
ほとんどは、20ftコンテナと呼ばれるもので、
貨物列車に乗っている事が多い12ftコンテナよりも少し大振りのコンテナです。

JAMSTEC岸壁
(「かいめい」のデッキから岸壁を見下ろす)

岸壁から少し離れた場所にも、コンテナが沢山ありました。
こんな感じです。

JAMSTECのコンテナ群


実は、このコンテナ群は、研究者の移動研究室の役割を持っているそうです。
実験装置や、観測装置の制御盤など、個々の研究者にとって研究の拠点となるものです。

よく見ると、「かいめい」にも既にコンテナが搭載されていました。

かいめいとコンテナ

そこで、JAMSTECの方に質問してみると、
最大で10個以上もコンテナを搭載できるのだとか。
「まるで貨物船みたいですね」と言うと、「貨物船には敵いません」と軽く返されました。

ブリッジデッキからCデッキ

これは、BRGデッキからCデッキを見下ろしたところです。
木製の甲板にいくつもハードポイントがあることが分かります。
このハードポイントに、コンテナを固定するのだそうです。
ただ、電源やLAN等の信号線をどのように取り込むのか、質問し忘れてしまいました。

この写真には、白山理事と思われる方が写っています。

この後、白山理事の説明を横で聞きながら、「かいめい」を堪能しました。

5月21日のJAMSTEC横須賀本部の一般公開では、
①本館・会場(C)で「地震と津波の仕組みを学ぶ」と題した展示がありました。
ここでは、熊本地震について解説が行われていたので、
足を止める人も少なくありませんでした。
そのため、私がこの展示の内容を聞く隙さえないほどでした。(残念!)

代わりに、その奥にあった3D海底地図でいくつか話をすることになりました。
残念なことは続き、展示されていた地図を写真に撮っておらず、紹介できません。

代わりに、これを掲載します。

イメージ 1

昭和東南海地震(1944年12月7日)と昭和南海地震(1946年12月21日)について、
JAMSTECの方と話をさせて戴きました。
昭和東南海地震と昭和南海地震の震央は、意外なほど近いのですが、
昭和東南海地震の震源域は、紀伊半島沖の谷で止まったのだそうです。


ついでに、南海トラフについても、一方的に話してきました。

イメージ 2

元々は、地震の分布から南海トラフを探す試みだったのですが、
なぜか中央構造線を見つけてしまった失敗作です。
(オレンジの線が、私が計算で求めた南海トラフのプレート境界)

このお話をさせて戴いたら、
「中央構造線も地震が多いですから」と優しいコメント。


こちらは、「東日本大震災の関係で房総沖に歪が残っている」とする説から、
房総沖のプレート境界を地震の分布から計算した結果です。

イメージ 3

計算で求めたプレート境界は、ほぼ実際の位置と一致しています。
この時の計算方法を紹介しておきます。



vvvvvvvvvvvvvvvv< 計算方法 >vvvvvvvvvvvvvvvv

プレート境界で起きる地震は、ほぼ平面上で発生するはずです。
そこで、地震の震央の経度をX、緯度をY、深さをZとして、
3次元空間の平面の式から、プレート境界面を探すことにしました。
 
まず、平面の式ですが、aX+bY+c=Zとおきました。
この平面と実際の地震の震央との距離を⊿Zとし、
最小二乗法で計算する事にしました。
その式は、
Σ⊿Zk=Σ(Z-aXk-bYk-c)²
 
これをa,b,cのそれぞれで偏微分して、下式を得ました。
 
ΣX・ΣZ=aΣ(X²)+bΣX・ΣY+cΣX
ΣY・ΣZ=aΣX・ΣY+bΣ(Y²)+cΣY
ΣZ=aΣX+bΣY+c・n 
 
この連立方程式を解いて、それぞれの係数を得ました。
 
 
次に、この式に入れるデータですが、
気象庁の地震データから、
1924年以降に千葉県で観測された全ての地震を取り込みました。
この中から、震央が房総半島付近となる東経139~141度、北緯35~36度の
238回の地震の全てを用いて計算しました。
 
その結果、a=-19.556、b=11.832、c=2377.3を得ました。

^^^^^^^^^^^^^^^^< 計算方法 >^^^^^^^^^^^^^^^^



もし、私の相手をしてくださったJAMSTECの方が
当ブログを訪問してくださっているなら、あの時の話の根拠がこれです。
(素人のあがきを感じることができると思います


さて、当日の最後の話題です。
大深度地震の分布です。

イメージ 4

不気味なほど、大深度地震の分布はきれいに並んでします。
JAMSTECの方の感想は、
「太平洋プレートの沈み込みによるものでは?」でした。
私も同感です。


イメージ 5

これは、大深度地震の断面です。

地震の発生震度の垂直分布は、
南ほど、地震が発生する深度が深く、北ほど浅くなっていくのですが、
北緯35度付近で折れ曲がり、それ以北では発生する深度が深くなっていきます。
平面的に見ると一直線に並ぶのに、垂直方向はこのような分布になる仕組みを、
私は想像できないのです。

この時の記事の最後に、
正直なところ、地震の研究者に教えてもらいたい気分です
と書いていますが、今も同じ気持ちです。





当日、会場(C)も含め、いろんな場所で妙な質問を繰り返してきました。
その全てで丁寧にお答え頂き、JAMSTECの関係者の皆様に感謝申し上げます。

11月には、横浜研究所の一般公開にも行くつもりですが、
また、偏屈 伊牟田のお相手の程、よろしくお願い致します。

JAMSTEC横須賀本部は、埋め立て地の最も奥にあります。
それも、かなり遠回りしていかなければなりません。
JAMSTEC地図
地図を見ると、夏島貝塚を迂回しているのが分かります。

余談はさておき、JAMSTEC横須賀本部の一般公開に際しては、完全に無計画で行動しました。
唯一の予定は、9時30分の開場に間に合うように家を出ることだけでした。
一応、DLLしたマップとタイムスケジュールを持っていたのですが、生来のいい加減さで中身の確認はしていませんでした。
JAMSTEC一般公開・探検マップ1
JAMSTEC一般公開・探検マップ2

なので、勝手気ままに歩き回り、それぞれの場所で、色々な話を聴かせて頂きました。
また、不躾な質問も、してしまいました。(ゴメンナサイ)

特に記憶に残っているのは、①本館の会場(C)ですが、
それはもう一つの「風の谷の生活」に詳しく書いているので、ここでは割愛します。

それ以外では、海象に関連する展示でした。
でも、これも後々書いていくので、ここでは書かないことします。



これら以外にも、山ほど印象に残っているのですが、水中グライダーを書いておこうと思います。
因みに、技術的には、先程の海象の観測にも通じるのですが、後の楽しみに取っておきましょう。

水中グライダーの構想自体は古く、1970年代に発案されています。
記憶違いでなければ、アメリカで軍事目的で開発が始まったはずです。
水中グライダーの仕組みは、沈降・浮上する際の垂直方向の力を、水中翼を用いて水平方向の推進力に変換します。

水中グライダーの成否は、沈降・浮上の力となるグライダーの浮力のコントロールにあります。
JAMSTECは、ポンプとオイル&バルーンの組み合わせで、浮力を調整します。
水中グライダー
グライダーの中は、耐圧殻(実質的な浮体)と水が自由に出入りする部分で構成されています。
基本的には、グライダーの比重は海水と釣り合うようになっています。
グライダーの比重を少し重くすると沈降を始め、少し軽くすると浮上を始めます。

JAMSTECの水中グライダーの比重をコントロールするのは、オイルで満たされたバルーンです。
バルーンは、耐圧殻の外側にあり、耐圧殻の中からオイルの出し入れができます。
耐圧殻からバルーン内にオイルを押し出せば、バルーンの容積だけ浮体の容積が増えるので、浮力を得ることができます。逆に、バルーン内から耐圧殻内にオイルを引き込めば、浮力が減って沈降を始めます。
この方式の欠点は、オイルを出し入れするポンプに大きな水圧が掛かることです。
そのため、現状では3000メートルが潜航限度だそうです。
これでも、海中を観測しながら移動するには問題ないのかもしれません。


余談ですが、初期の水中グライダーでは、過酸化水素水(H2O2)を使う予定だったようです。
過酸化水素水は、比較的簡単に酸素を生じるので、浮力を得ることはできるでしょうが、再潜航は難しかったのではと思ってしまいます。

ちなみに、JAMSTECで話したときは、「ヒドラジン(N2H4)を使う方法が考えられていたらしい」と私は言ってしまいました。これも嘘とは言えず、アメリカの研究してした水中グライダーは、ヒドラジンを使ったとの話を聞いたことがあります。

世界中の海を観測ロボットでくまなく観測しようとの構想の下、2000年に国際プロジェクト「アルゴ計画」がスタートしました。
目的は、気候変動に大きな影響を与える海の中を観測するためです。
使用するのは、アルゴフロートと呼ばれる観測ロボットです。
現在は、各国の3000台のアルゴフロートが、世界の海で観測を行っています。
アルゴフロートの位置
この地図は、2016年5月28日時点のアルゴフロートの位置を示しています。

さて、アルゴフロートは、どんなロボットなのでしょうか。

アルゴフロート&ディープニンジャ

国際協力で使用されているのは、右の黄色いタイプです。
このタイプは、最大観測深度は2000mです。
全海洋の平均深さは約4000mですから、海洋の上半分しか観測できていないことになります。
そこで、更に深い海も観測できるように開発されたのが、左のディープニンジャです。
両方とも、基本構造は同じですが、観測深度が違っています。
ディープニンジャの可潜震度は4000mで、アルゴフロートの2倍あります。

アルゴフロート観測パターン

このように、潜航と浮上を繰り返しながら、海中の水温、塩分、圧力を計測し、結果をフランスとアメリカにある世界アルゴデータ集積センターに送信します。
集められたデータは、基本的には誰でも利用する事が出来ます。

アルゴフロート構造

上の絵は、アルゴフロートの内部構造です。
実は、潜航・浮上を制御するための基本構造は、先日紹介した水中グライダーと類似しています。

このアルゴフロートによる観測で明らかになったことは色々あるようですが、
具体的な内容は、今後に残しておく事にします。



JAMSTEC一般公開に関するネタは、これで終わりにします。
元々、思い付きで出かけ、興味本位で見て回ったので、記事にできるようなネタがほとんどありませんでした。
もう少し計画的に見て回れば良かったと、後悔しています。
11月のJAMSTEC横浜研究所の一般公開では、計画を立てて見て回ろうと思っています。

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