豊葦原中津谷のニニギ

食糧自給率の向上を目指して! (2100年の日本へワープ)

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2100年までに日本の人口を半減させるべきと行ってきましたが、実際に人口を減らした後の各都道府県の人口の順位は、どんな風に変わるでしょうか。
前回のデータを基に、ワースト10とベスト10を表にしてみました。
人口順位の変化
現在は最も人口が少なく、合同選挙区になっている鳥取県と島根県は最下位を脱して、それぞれ44位と40位に変わります。
代わって、大都市圏に近い山梨県と奈良県が最下位になります。
2013年のワースト10から抜け出すのは、佐賀県(42位⇒32位)と秋田県(38位⇒24位)です。一方、2100年にワースト10にランクインするのは、奈良県(30位⇒46位)と沖縄県(26位⇒39位)です。

一方、最も人口が多くなるのは、北海道です。
東京都は、6位に後退します。また、ランク外に落ちるのが、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県、静岡県の5府県もあります。ワースト10の入れ替えは2県だったのに対して、ベスト10の入れ替えが5府県に及ぶ点が、印象的です。

ところで、都道府県間の人口で、最も多い県と最も少ない県の人口比は、2013年の22.6倍から2100年は18.6倍に変わります。因みに、極端に人口が少ない山梨県を除くと、人口比は12.9倍になります。
大都市圏の過密が解消される方向になります。
ただし、人口が減るので、2016年から採用されている合同選挙区は、むしろ拡大すべき状況となります。


次回ですが、2100年のワースト2になる山梨県と奈良県について、もう少し踏み込んでみます。

2100年までに日本の人口を半減させるべきと行ってきましたが、
4月10日に厚生労働省も将来推計人口を公表しました。
(ニュースのリンク⇒https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170410-00000049-jij-pol


これによると、2015年に1億2709万人だった人口は、2053年に1億人を割り込み、2065年には8808万人になるそうです。
高齢化も進み、65歳以上の人口も、2015年の26.6%から38.4%に増えると見込まれています。

それ以外の数値は、以下です。
・出生率 :2065年の見込みが1.44
・平均寿命:男性84.95歳 女性91.35歳
・年金負担:(現役/高齢者) 2015年=2.3人 2065年=1.3人
・人口構成:  0~14歳      15~64歳       65歳~
  2015年 1595万人(12.5%) 7728万人(60.8%) 3386万人(26.6%)
  2065年  898万人(10.2%) 4529万人(51.4%) 3381万人(38.4%)

約1ヶ月も空いてしまいましたが、今回は、2100年に人口でワースト2に墜ちる山梨県と奈良県について、検証してみます。

まず、現状を確認してみましょう。
山梨県も、奈良県も、それぞれ首都圏と大阪圏に隣接しています。
その関係で、一時期、ベッドタウン化しつつありました。
まずは、過去の人口の変化を見てみましょう。

人口推移(奈良・山梨)

上は、全国と山梨県、奈良県のそれぞれの人口のピークを100%として、人口の変化をグラフにしたものです。
山梨県も、奈良県も、全国よりも早く、2000年以前に人口減少が始まっています。
バブルが崩壊して宅地開発が低調になった時期と人口減少の時期が、ほぼ一致しています。

農地推移(奈良・山梨)

上は、1995年を100%として、農地面積の推移をグラフにしたものです。
全国平均より、山梨県も奈良県も、早いペースで農地が減っていることが分かります。

農地の減少
上は、農地減少率の全国平均に対する山梨県と奈良県の農地減少率の比をグラフにしたものです。
大規模開発の影響を抑えるために3年間の移動平均で表しています。

バブル期を含む1980年代頃に、急激に農地が減っていることが分かります。
これは、首都圏で言えば埼玉や千葉のベッドタウン化が限界に達し、山梨県にまでベッドタウン化の波が押し寄せた事を示していると思われます。
奈良県においても、山梨県と似た状況になっていたものと考えられます。
しかし、景気が低迷し、山梨県や奈良県のような遠隔地のベッドタウンの需要が落ち込み、農地の宅地転用は進んだが人口は流出したのでしょう。

過去の宅地開発とは逆に、人口が減少に転じており、農地を宅地や商業地等に転用したのに無駄になり始めているとも推定されるのです。
つまり、農地が減り、食糧自給率が下がってしまったが、一時的に流入した人口も大都市圏に流出して減少してしまったのです。
結果的に、2100年には人口が最も少ない県になる可能性が高まったのです。


この現象は、日本の縮図とも言えます。
つまり、2100年を語る上で、転用された農地は大きな問題になります。
そのことは、後日、検証していくことにします。


「2100年の日本の人口」と題して書いてきましたが、一度、閉じる事にします。
次のテーマは、「2100年の日本の産業人口」を考えています。
6月頃から再開する予定です。

現代社会は、様々な交通手段で世界中を飛び回ることができます。
しかし、ほとんどが化石燃料を用いています。
身近なところでは、自動車はガソリンか経由で走ります。
もちろん、一部の自動車は電気や水素で走りますが。

では、2100年の日本は、今と同じように化石燃料で交通機関を動かしていてよいのでしょうか。
地球温暖化を考えると、化石燃料やメタンハイドレートを使うことは許されないでしょう。
ですが、化石燃料を用いない交通機関は成立するのでしょうか。
今回は、それについて簡単に考えてみましょう。


まず、自動車です。
現時点で考えられるのは、電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)です。
乗用車サイズでは既に実用化しており、トロリーバスも実用化していることから、
バスやトラック等の大型車への展開も難しくはないでしょう。
燃料となる水素の生産も、電力も、発電すれば良いわけです。
発電において、CO₂を出す化石燃料やメタンハイドレートを使う事は許されませんが、
この件は別の機会に取っておきましょう。


次は鉄道です。
鉄道は、電化すれば解決します。
しかし、ローカル線の電化は費用が掛かるので大変です。
この対策として、充電式の電車が考案されています。
充電式の電車は、駅に停車している間に充電し、駅間は充電した電力で走行します。
これなら、ローカル線を安価に電化することができます。


次は、船舶です。
モータボートや艀、漁船レベルまでなら、最も実用性が高いのは燃料電池でしょう。
近距離を航行する小型の貨物船やフェリーも、燃料電池でいけるかもしれません。
しかし、遠洋漁船や国際航路の貨物船は、燃料電池で動かすことができるのでしょうか。
ちょっと難しいように思います。
大型船の一部は原子力船も可能でしょうが、廃船時に原子炉をどう処分するのかを考えると、安易に原子力船を推すことはできません。
なので、大型船舶の機関はカーボンニュートラルで考えたいと思います。
つまり、植物由来のアルコールや軽油を使用するのです。
それでも、現状のディーゼルエンジンを大幅に改良する必要があります。


最後は、航空機です。
航空機は、重量も容積も制約が厳しいので、大きなタンクに水素を詰めることも、
重い充電池を積むことも無理です。
特に、ヘリコプターはタービンエンジン以外では成立しにくいでしょう。
やはり、カーボンニュートラルで考えるしかないでしょう。
ジェット燃料は、軽油の一種です。
植物由来の軽油と、それに適応するタービンエンジンとの組み合わせとなります。


個人的には、カーボンニュートラルは好きではありません。
最大の理由が、食糧になるはずのものを動力の燃料として使うことになるので、
温暖化で食糧生産に影響が出るであろう今世紀末に、飢える人を横目に植物由来の燃料を
使い続けることには抵抗を感じます。



今回は、さらりと触れただけです。
面白いネタなので、いずれ深堀することにします。

農業人口比は、何%であるべきでしょうか。
 
農地は、現在の食生活を続ける限り、一人当り10.7aが必要と分かっています。
でも、肉食をやめれば、7.5aで足ります。
 
現在の日本は一人当り3.6aで、食糧自給に必要な面積の約半分しかありません。
肉食を完全にやめた上で、人口を半分に減らすか、農地を倍に増やすか、単位面積当たりの収穫量を倍に増やすか、これらを組み合わせれば、食糧自給できるようになるはずです。
 
では、食糧生産するための農業人口は、どれくらいになるのでしょうか。
 
最も単純な計算方法は、エンゲル係数から逆算する方法です。
日本のエンゲル係数は、23%です。
小売価格の56%(品目により異なる)は、流通や仲買によるもので、農家の収入になるのは44%です。
 ちなみに、W/R係数というのがあります。
 これは、卸/小売の比率で、欧米の2程度に対し、日本は3~4と高い比率です。
 単純にみれば、日本の流通費が欧米の1.5~2倍なのです。
農家の収入ですが、資材費等の支出が71%を占めるので、実質の収入は29%程度です。
 
では、一般消費者の収入の何%が農家の収入になっているか、計算してみましょう。
 
計算式は、以下とします。
[農家の収入になる確率]=
 [エンゲル係数]×[小売価格に占める農家収入]×[必要経費を除いた利益率]
 [23%]   ×[44%]         ×[29%]
 
計算結果は、約2.9%でした。
収入面から見ると、農業人口は、全人口に対して2.9%となります。
人口に直すと、約360万人です。
現在の日本の農業労働人口は約230万人ですので、食糧の完全自給を果たせば、1.5倍程度に増やせるはずです。
 

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