新・風の谷の生活

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カテゴリ: 風の谷の本棚

福井県にある三方五湖の一つ、水月湖が、世界の注目を浴びるようになっています。

 

水月湖が注目を集める理由は、湖底に堆積した年縞と呼ばれる縞模様。

七万年に及ぶ綺麗な縞模様は、膨大な情報を蓄えていました。
これが評価され、2012年7月に開催された「第21回国際放射性炭素会議」で、水月湖の年縞が炭素年代の「標準時」となりました。

本書は、この年縞から得られた気候に関する研究成果が紹介されています。


人類と気候の10万年史2


この年縞から見えてきた気候変動は、実は、私には都合の悪い内容でした。

人類が農耕を始めたのは、気候が安定した時期と一致していたのです。つまり、それ以前は、農耕を始めたくても始められなかった(始めたのだが、気候変動で継続できなかった)のです。

私は、農業の補助手段として、「気象予測」なる量的予測を考えています。しかし、「気象予測」は、安定した気候を前提に考えているので、温暖化の影響で気候が不安定化すると、「気象予測」が使えない可能性が出てくるのです。

 

さて、水月湖の年縞の研究は素晴らしいものです。

世界最長クラスの年縞から読み解かれる過去と、未来への知見に大いに期待しています。

里海資本論」を読みました。

基本的な考え方は、「里山資本主義」と同じですが、舞台は「瀬戸内海」です。

 
里海資本主義

本書では、赤潮に痛めつけられていた時代の瀬戸内海から、現在の碧い海を取り戻したのか、その鍵となった要因と漁師達の考え方を紹介しています。

その精神の根底に、「ヤオロズの神」への崇拝の心があるとしています。

この観念は、宗教と言うより、道徳に近いように思います。

自然界に存在する一つ一つの尊厳を大切にし、その中で生かされていることに感謝する心を指しているように感じました。

 

ただ、冒頭などに見られる調子の良すぎる部分は、編者の科学的なセンスの不足と重なり、実践では参考程度に留めなければならない点が残念です。

 

私は、「ディ・アフター トゥモロー」の映画は見ていません。
映画は、ニューヨークを破壊することで有名?なローランド・エメリッヒ監督の作品です。

この監督が映画の題材にしたのが、小説版の著者でもあるホィットリー・ストリーバ氏の
ノンフィクション「THE COMING GLOVAL SUPER STORM」だったそうです。
ローランド・エメリッヒ監督が書いた映画脚本を基に、ストリーバ氏が書籍化したのが、
この小説なのです。

The Day After Tomorrow

さて、この小説を読んだのは、数年前の事でした。
それを今頃になって思い出させてくれたのが、先日、紹介した「日本海」なのです。

この小説の舞台設定は、気象の激変(寒冷化)ですが、
気象の激変の引き金として用いられているのが、「深層海流」の遮断です。
そして、この「深層海流」の遮断は、今、日本海で起こり始めているのです。
それを踏まえて読み直すと、背筋に寒気を感じるのです。

今では多くの方が、「深層海流」を御存知でしょう。

アイスランド沖付近で深海に潜り込んだ海水が世界中に流れ、例えばペルー沖で湧昇流となって海面に戻ってくるのが、「深層海流」です。

日本海・その深層で起こっていること

本書では、日本海にも同じような垂直方向の海流を含む「深層海流」が存在し、日本海の生態系のみならず、日本の気候にも影響を与えていることを説明しています。

 

ところで、この「深層海流」ですが、気候にも密接に関係していることがわかってきています。

氷河期が終わった直後に、一時的に氷河期並みの寒冷化が起きていたことが分かっています。

この現象は、カナダの大西洋側で氷河湖が決壊して大量の淡水が北大西洋の表層を覆ってしまったため、深層海流が遮断され、急激な寒冷化が起きたとの説があります。

これを題材にしたのが、映画「The DayAfter Tomorrow」です。


日本海に話を戻しましょう。

日本海は小さな内海ですが、世界の海を巡る深層海流の小型版を持っています。

この日本海の深層海流が、徐々に鈍り始めていると言うのです。

日本海では、規模が小さい分だけ現象が早く進みます。

また、日本海で起きることは、後々世界の海でも起き得ると考えられます。

そういった事柄を本書で指摘しており、一読に値すると思います。

 

昨年(2016年)のJAMSTECの一般公開のミニ講演で戴いた本です。
本業の忙しさも手伝い、2ヶ月余りかかって読み切りました。

本書は、水に関する幅の広い見識で書かれています。
それが可能だったのは、共著の形を取っていたためだろうと思います。

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本書とはリンクしませんが、
仮想水のことを考えると、日本は水資源について真剣に臨むべきでしょう。

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