豊葦原中津谷のニニギ

食糧自給率の向上を目指して! (2100年の日本へワープ)

カテゴリ:地球温暖化 > 交通機関


外航船(国を跨いで航行する船)の燃費についての格付けが、国際海事機関(IMO)の6月会議で関連条約の改正によって導入されることが、決まる予定です。
船舶の新造は、中国が4割、韓国が3割、日本が2割で、この3国だけで世界の9割を超える船舶が建造されています。
今回の条約改正は、この3国やドイツ等を含む19ヶ国が共同したものです。
施行は、2023年からとなります。


燃費の悪い船舶から燃費の良い船舶への更新を促し、2008年との比較で、CO2排出量を2030年までに40%、2050年には半減させることを目指しています。
燃費の格付けは、A〜Eの5段階に区切られます。E評価は直ちに、3回連続でD評価となった場合も、所有者は政府に改善案を提出しなければなりません。

関係者は、日本が有利になると期待していますが、正直なところ、疑問があります。
日本が有利になると見る根拠ですが、対策または更新が必要となるDとEの割合(各国建造分に占める割合)は、日本製は17%しかないのに対して、中国製は33%、韓国製は36%だからです。
この数字は、新造に繋がるものですが、どの国で建造するのかは、別問題です。同じ国で建造するのなら、更新対象の船舶が少ない日本は、不利になります。
また、日本の低燃費技術が高いかと言うと、そうでもなさそうです。
最高格付けのAの割合は、日本製は27%、中国製は17%、韓国製は16%です。
これが1%や2%なら、低燃費船の建造技術を習得できていないと見ることもできます。ですが、これだけの割合で建造できているなら、技術面での日本の優位性はないと見るべきでしょう。

別の面でも、この格付けは疑問を感じます。
Aランクは、既に実現できている技術レベルにすぎず、30年以内に求められる水準には遠く及びません。むしろ、「充分な努力をしている」との言い訳のためと思われます。
実際、以前に紹介したような省エネ船は、その多くが日本ではなく欧米で開発されています。過去には、日本でも硬式帆船が実現的に建造されたことはありますが、全体としては、日本は出遅れているとも言えます。
数日前に発表された水素で動く船(想像図から全没型水中翼船。動力は燃料電池)も、スイスが設計し、日本で運用するのだそうです。 これも、海外の技術(燃料電池はトヨタが6年前に解放した特許を使うのかも)です。
今回の格付けで日本が有利になると考えるには、要素が不足しているように思います。

この格付けは、6月の会議で承認されても、遠からず再改定されるかもしれません。
私なら、前述の改正案のA、BをCランク、CをDランク、D、EをEランクとした上で、新たにS、A、Bランクを設けます。
Bランクは、今回のAランクの半分程度します。
Aランクは、カーボンニュートラルを達成した船舶とします。
Sランクは、建造から廃船処分までの全工程でカーボンニュートラルを達成した船舶とします。

人類が目指さなければならないのは、地球上での人類の全ての活動で、カーボンニュートラルとすることです。
つまり、私が提案するランクで、最高ランクのSランクが最終目標となります。
IPCCは、「2050年にはCO2の排出をゼロにする必要がある」としています。それを踏まえると、今回の条約改正は、その意欲に疑問を持ちます。

うっかりしていると、日本の造船業界は消滅する可能性があることを、関係者は理解しておくべきでしょう。その上で、バイオ燃料等の研究費を増額し、近未来の日本を作っていかなければなりません。

自動車の電動化が打ち出され、日本の自動車メーカーも重い腰を上げようとしています。
自動車の電動化だけがカーボンニュートラルではないので、二面から見てみましょう。


まず、内燃機関を搭載するカーボンニュートラル自動車を考えてみましょう。
現在の日本では、乗用車に搭載される内燃機関は、圧倒的にガソリン(オットーサイクル)エンジンが多く、ディーゼルエンジンは一部です。逆に、バスやトラック等の大型車は、ほぼディーゼルエンジンです。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの燃料は、それぞれガソリンと軽油です。
ガソリンも軽油も、石油から生成されます。日本に輸入されるサウジアラビア産原油からは、ガソリン19%、灯油・軽油46%、重油34%に分離されます。軽油は、国内生産量を上回るため、輸出しています。

人工的に生成できる燃料としては、エタノールと、ユーグレナによる燃料があります。
エタノール燃料は、ガソリンの代替燃料です。発熱量が少なく、材質によっては腐食等の問題がありますが、現時点でも広く使われていて、エンジンや自動車側に大きな問題はないでしょう。
残る問題は、食糧生産とトレードオフ関係にあることです。
食糧自給率が100%を大きく下回る日本では、エタノール燃料は不向きでしょう。

ユーグレナ燃料は、灯油の代替が期待されます。
ディーゼルエンジンでは、灯油でも重油でも動作します。
ただし、ユーグレナ燃料は、現時点では、灯油も軽油も完全には代替できません。また、ディーゼルエンジンは、燃料ポンプの潤滑を燃料の粘性を利用するため、燃料の性質に合わせて設計を変える必要があります。同時に、燃料の品質が一定していなければなりません。
ユーグレナは、現時点の食品利用は多くありませんが、今後は食糧とのトレードオフ関係になる可能性があります。


電気自動車は、大きく二つの問題があります。
一つは、蓄電池です。
充電量と充電時間が、実用レベルに達していません。充電量は、搭載する電池の量を増やすことで、ある程度は改善できます。
ですが、重量や搭載方法を考えると、小型軽量化は必須です。そのための新技術の開発は、国策として進めていくべきでしょう。

もう一つが、元々の発電方法です。
電気自動車に供給する電力は、3/4以上が化石燃料で作られています。電気自動車で需要が増加すれば、電力消費も増加します。
今冬には、大雪によって電力需給が逼迫する事態もありました。
電力不足の原因は、再生可能エネルギー発電(以下、再エネと略す)が、積雪で大幅に低下したためのようです。再エネ発電は、天候や日照時間の影響が大きいためです。

そこで、供給過剰時のみ電力を販売する電気自動車専用の充電ステーションがあったら、面白いと思います。
例えば、太陽光発電が過剰になる夏場の日中にだけ、電気自動車に電力を供給するのです。なので、夜間はいつまで経っても充電されません。
その代わり、電気代は原価(固定買取価格)に近い安価なものとします。
ただし、原価割れにはしません。原価割れを起こしてまで、再エネの電力を販売する理由はありません。
原価割れを再エネ発電事業者が負担するなら、話は別です。ですが、発電量が増える時に電気自動車に充電することになるので、再エネ発電事業者は利益どころか、電力を廃棄物扱いすることになります。これでは、再エネ発電を衰退させます。
再エネによる電力供給の変動分を吸収する手段の一つが、蓄電池です。ですが、必要な蓄電池は桁外れで、到底、用意できる量ではありません。
電気自動車の蓄電池を、再エネ発電の蓄電に利用することで、余剰分の一部を吸収させるのです。これは、再エネ発電の拡大ではなく、電気自動車の拡大を目的としているので、その視点でのアイデアです。

ところで、太陽光発電の買取価格は、12〜19円/kWhです。
仮に、20円/kWhで販売する場合、電気自動車の電費が8km/kWhとすると、2.5円/kmくらいになります。ガソリン単価を130円/l、燃費を40km/lとすると、3.25円/kmです。
電気自動車が有利になるので、電気自動車の普及にプラスになるかもしれません。
必要時に充電されているとは限らないので、利便性は低いのですが、電気自動車の充電量が増えれば、余剰電力が多い土日に充電して平日に使うような利用形態もあります。

電気自動車は、もう一つの道が考えられます。
FCVです。
燃料の水素は、余剰電力で生産します。つまり、余剰電力を水素の形で保存し、必要時に電力として利用する考え方です。
ただし、水素を生産するためには、電力の他に大量の水が必要になります。細かく見れば、電極の素材も消耗するので、これもかなりの量が必要になります。
ただ、静岡県知事の反応を見ると、水の確保も、相当に難しいでしょう。
同時に、廃棄物として出る大量の酸素も、問題になるはずです。
ただ、蓄電池だけで走る電気自動車よりも、日本では可能性があるように思います。


自動車の未来を考えてきました。
ざっと見ただけですが、日本はどんな方向性を考えるのか、今までの常識も見直す必要もあるでしょう。

例えば、バスとトラックで、同じタイプの動力を使う必要はありません。
中・大型トラックは、荷重が大きいのでRWDであるべきですが、荷重が小さいバスは、FWDが可能です。後輪は、逆位相操舵で小回り性を確保してもいいはずです。
FCVを含む電気自動車なら、モータは小型なので、FWDもRWDもAWDも容易です。コストを考えると、FWDかRWDになるでしょうが、自由度の高さは魅力です。

バイオ燃料を使う内燃機関の場合、ほぼ従来から変わりません。車の基本構造を変える必要はありません。
ただ、バイオ燃料は、低温で固化しやすいと聞きます。バイオ燃料を改質する酵素のようなものを開発しないと、実用的に使えないかもしれません。
トラックは、厳しい環境で使われることがあるので、それに耐えられることが条件に追加されます。


2050年のカーボンニュートラルに向けて、どんな方向性が出てくるのか、注目していきます。

ローターセール船を御存知でしょうか?
船に、帆柱のような円筒(ローター)を立て、それを回転させて推進力を得ます。
横から風を受ける時、ローターを時計方向に回転させ、ベンチェリー効果で推進力を得ます。もちろん、右からの風ならば、反時計回りの回転させます。
100年前から存在する古い技術ですが、今年になって、ノルウェーで可倒式ローターを取り付けたRORO船(SC Connector号)がデビューしたとのことなので、取り上げることにしました。


まず、RORO船を解説します。
Roll On・Roll Offの略で、簡単に言えば、貨物専用フェリーです。
フェリーとの決定的な違いは、原則として一般乗客を乗船させません。
(※例外的に12人までの乗客(通常は運転手)が乗船できる)
ROは、Rotorの略ではないので、御注意ください。

ローターセール船が推進力を得られるのは、横からの風です。
帆船と似ていますが、帆のように向きを最適化できないため、真正面だけでなく、真後ろからの風でも、推進力を得られません。
もちろん、角度をつければ推進力を得られるので、ジグザグに航行すれば良いのですが、そんな無駄な航路を航行するメリットがあるのか、気になるところです。

帆装でも、最も推進力を得られるのは、横からの風ですが、真後ろからの風でも推進力を得られます。大型帆船では見たことがありませんが、ヨットではスピネーカーと呼ばれる追風専用の帆もあります。
帆船も、最大の推進力を得られるのは、斜め後ろからの風です。
スピネーカーは別として、帆に働く力は、風の流れによって生み出される揚力です。なので、帆の表面を風が流れていく必要があります。
また、揚力は帆の面に垂直に働くので、帆は横方向に展開している時に、揚力を最大限に利用できます。つまり、ほぼ横風の時、最大の推進力が得られることになります。
ですが・・・

ですが、ですが、航行風ってあるんですね。
船が前へ進めば、当然、前から風が吹きます。実際に船が受ける風は、この航行風と自然風の合成風です。
船の真横から風速10m/sの風を受けている時、船が20ノット(約10m/s)で航行しているなら、合成風は斜め前方(約45度)から風を受けることになります。
これでは、最大の推進力を得られません。
実は、最大の推進力を得られるのは、斜め後方からの風なのです。

さて、航海速力が上がれば上がるほど、前寄りの風に変わります。
では、船は、真正面からの風では進めないのでしょうか?
真正面からの風でも、前へ進むことは可能ですし、模型では製作されたこともあります。
ですが、航行風で前へ進むことはできません。航行風を起こすためのエネルギーが、航行風から得られるエネルギーより大きくなる(損失があるから)ためです。
そもそも、航行風で船が動くなら、第1種永久機関になってしまいます。
合成風を考えると、風力を利用する船は、風速を超える速さで航行することはできないことが、わかります。


ところで、一般的な貨物船は、どれくらいの速さで航行しているのでしょうか。
特殊なものを除くと、15ノット前後です。これを風速に換算すると7.7m/sです。
実際の帆船は、どれくらいの速さで航行できるのでしょうか。
咸臨丸(3檣バーク型)は、37日でざっと10000kmを航行しているので、平均は6ノットくらいです。
世界一周のヨットレース、ヴァンテ・グローブでは、80日ほどでゴールします。
このレースの航路は、24000〜26000海里になると言います。南極周極流を利用できることもあり、平均で約13ノットで航海しています。
逆説的に見ると、スピードだけを追求しても、平均13ノットが限界となりそうです。
貨物船にしても、客船にしても、決められた期日に間に合うように到着したいところです。ですが、速度に特化したレース用のヨットでも、平均速度は13ノットで、貨物船の速度としては下限に近いところです。

「いやいや、帆走だけのヨットと違い、機走が主で、帆走は従の関係だ。速度はエンジンで維持し、帆走はエンジンの負荷を下げる役目だ」
それが上手くいけば良いのですが、航行風を考えると、中々微妙なところです。
貨物船の速度が15ノットなら、約7.7m/sの航行風が吹きます。真後ろから成分だけで、7.7m/s以上の風が吹かないと、推進力を得られません。
そのような気象条件を満たすことは、多くはないと思います。
なので、航海速力を抑える方が、風力を有効に使えるはずです。

さて、ローターセール船だけでなく、ノルウェーのお隣のスウェーデンでは、ワレニウス・マリン社が大型帆船オーシャンバード号の開発を進めています。
排水量32000t、全長200m、全幅40m、全高105m(短縮時45m)で、5檣スクーナー型に類型の帆船です。帆は、翼断面を持つ硬翼帆となっています。
速力は、10ノットだそうです。
一般的な貨物船より速力がありませんが、その分、風を有効に使えるのでしょう。



最後に、帆船の帆について、個人的なアイデアを紹介します。
帆は、機能的に飛行機の翼と似ています。
空気の流れを受けて、揚力を得ます。ですので、翼で使われる技術は、帆でも応用ができると思われます。
飛行機の離着陸時に、フラップを展開することは、多くの方が御存知でしょう。
民間旅客機は、隙間フラップが一般的ですが、水陸両用機であるUS-2では、吹き出しフラップと呼ばれる特殊なフラップが使われています。
US-2は、海上への離着水を行います。荒波の影響を抑えるため、民間旅客機よりも遥かに遅い50ノット程度の速度で離着水を行います。これを実現するために、吹き出しフラップが採用されました。(PS-1で採用し、改良型であるUS-2に受け継がれた)
吹き出しフラップは、動力を使って翼上面に気流を作り、翼上面から気流が剥がれるのを防ぎます。


これを応用し、帆に吹き出しフラップを付けることを提案します。
吹き出しフラップを付ければ、帆の面積以上の推進力を得られます。もちろん、抗力も大きくなりますが、揚力と抗力の合成が推進力になるので、抗力も推進力に変換できます。
もちろん、通常の帆では無理ですが、硬翼帆ならば、不可能ではありません。
1980年代の新愛徳丸から、散発的に硬翼帆を持つ貨物船が作られてきました。現在では、ウィンドチャレンジャー計画が進められているそうです。


硬翼帆の翼端に吹き出しフラップを設け、揚力を増やせるかもしれません。
また、一般的な吹き出しフラップではなく、オーグメンター翼も面白いかもしれません。

私には、ローター船のローターを回すより、吹き出しフラップの圧搾空気に動力を使う方が、効率が良いように思えます。
まぁ、自然風が相手ですから、フラップが効果を上げるほど、遅い気流が翼面から剥がれるのか、怪しいところはありますが・・・


政府は、2050年のカーボンニュートラルを発表しました。
民間の船舶の多くが、ディーゼルエンジンを動力としています。ディーゼルエンジンは、熱効率が高く、大型船の機関では50%を超えると言います。しかも、重油などの低質油も使えます。
なので、慌ててディーゼルエンジンから燃料電池などの代替動力に切り替えると、トータルではCO2排出量が増えたり、重油だけが余ってしまう可能性があります。
原油は、成分を分離して、それぞれに利用されます。ですので、特定の成分だけを使わないようにすると、原油の使用量は変化せず、使わない成分が廃棄物となります。その廃棄物が焼却処分されるようでは、本末転倒です。

広い視野を持ち、多角的に進めていかなければなりません。
前述の原油の利用削減も、バランス感覚と計画性が大切です。
社会の構造や運営も、同様です。
例えば、帆走が有効に使えるように、貨物船の航海速力を落としても成り立つ社会を考えていく柔軟性が必要ですね。

2050年のカーボンニュートラル実現のため、自動車の電動化が叫ばれています。
東京都では、2030年にガソリンのみで走る車を廃止、2035年には二輪車にも拡大するとしています。

これは、メディア関係出身者の考えそうなことです。
一見、良さそうに見えるかもしれませんが、考えが浅いですね。
仮に、全て電気自動車に変更しても、CO2排出量はほとんど変化しないはずです。なぜなら、電力の8割が火力発電だからです。
近年の自動車は、燃費が良くなっています。熱効率では、コンバインドサイクル火力発電には及びませんが、天然ガスしか使えないコンバインドサイクル発電に全てを切り替えることもできませんし、送電や充放電の損失も考えれば、電気自動車とガソリン車でトータルの効率は大差ないと思います。

単純な熱効率で始めましたが、自動車の効率は、本来なら輸送力に対する消費エネルギーで判定されるべきです。
人の輸送なら、1人を1km運ぶ際に必要なエネルギで比較するべきです。
基本的には、燃費での比較となります。
大型のハイブリッド車より軽自動車の方が燃費が良いことを考えると、ハイブリッド車に切り替えることでCO2排出量が増えることも考えられます。
軽自動車の燃費が良いのは、軽量だからです。
1人を運ぶために、どれほど余分な重量を減らすかで、燃費は変わります。だから、多人数乗車は効率が上がるのですが、自家用での平均乗車人数は2人程度なので、自動車自体の軽量化が燃費に直結します。

東京都の2030年までの電動化は、拙速なく印象を受けます。
政府の『2050年カーボンニュートラル』の向こうを張って、「こっちの方が凄いだろう」と喚いている印象です。だから、目標に至る過程は見えてきませんし、何が目的なのかも、曖昧になっています。
もちろん、東京都の宣言そのものが、カーボンニュートラルまでの道標の一つになり得ますが、目標だけでは精神論(政治家は大好きですよね、精神論)で終わってしまいます。
何らかの具体的なアクションが必要です。それがないなら、ただ注目を集めたい目立ちたがりです。


ところで、自動車の電動化は、可能なのでしょうか。
東京都は、ハイブリッド車もOKとしています。実際、電気自動車とハイブリッド車(マイルドハイブリッドは除く)で、CO2排出量は大差ないはずですから、この考えは間違ってはいません。
ですが、世界的なトレンドとしては、ハイブリッド車は『無策』として扱われます。
ならば、電気自動車にできるのか、と問われれば、日本の現状を踏まえると、不可能に近いと思われます。

今年1月の寒波では、全国的に電力不足に陥りました。
国内では、停止中の原発が多いことに加え、再生可能エネルギー発電が増えたことが、電力不足の原因となっています。
再生可能エネルギーの代表は、太陽光発電ですが、積雪や悪天候で発電力が低下することは知られています。風力発電も、無風では発電できないのはもちろん、台風のような強風でも発電できません。
再生可能エネルギーは、需要に合わせた発電量を得られないため、このような事態に陥り易い弱点があります。
この対策は、今回は書きませんが、自動車のEV化を進める際には、これを踏まえた議論が必要になることは、忘れてはなりません。

世間では、EV化に必要な電力は再生可能エネルギーで賄えるとする主張が多いようですが、簡単ではありません。
例えば、自動車が必要となる時間帯は、主に日中です。太陽光発電が利用できるのも、日中です。と言うことは、走行中の自動車に電力を送らなければなりません。
もし、自動車が夜間に使用されるのなら、日中に太陽光発電したものを直接的に自動車に充電できますが、自動車を使用する時間帯こそ、太陽光発電のピークになります。
案はありますが、効率や構造、インフラなどを考えると、中々難しいところです。
再生可能エネルギーで自動車を動かすことには賛成ですが、理念だけでは実現しません。
そこは、重要です。



ところで、東京都が打ち出した自動車の電動化は、ハイブリッド車を許容するようです。
ハイブリッド車には、ストロングタイプとマイルドタイプがありますが、軽自動車ではマイルドタイプがスズキから出ているくらいで、ストロングタイプは無かったと記憶しています。
東京都で軽自動車を販売するためには、各社とも、少なくともハイブリッド車を用意しなければなりません。
国内の各メーカーは、小型車や中型車に使えるハイブリッド技術や生産設備を有していますが、軽自動車用のストロングハイブリッド車は生産していません。
現状のハイブリッドシステムを軽自動車用に転用するためには、電池を搭載するために車体から再設計し直さなければなりません。
これをクリアしても、ハイブリッドシステム自体を再設計しなければなりません。
これらを考えると、最も対応が容易なのは、日産のe-Powerかもしれません。
e-Powerは、エンジンは発電にしか使わないので、現行のe-Powerのエンジンのみを軽自動車規格のエンジンに交換すれば、何とかなりそうです。モータや駆動系は、日産の系列である三菱i-MiEV用を流用できるかも。
まあ、仕様が合わないなど、そんなに簡単にはいかないのでしょう。
それでも、各社が、どんな東京都仕様の軽自動車を発売するのか、ちょっと楽しみです。

今年1月から8月までの温室効果ガスの減少率がまとまったようです。
それによると、全世界で前年同期比6.5%の減少だったそうです。これにより、15億トン余りの減少になったそうです。
主要排出国の減少率は、以下の通りです。

 日本      7.1%
 中国      2.0%
 アメリカ   12.9%
 ブラジル   12.7%
 インド    13.4%
 EU平均   10.6%
 スペイン   17.2%
 ドイツ    12.8%
 イギリス   12.0%
 イタリア   11.8%
 フランス   11.6%
 ロシア     4.4%
 その他の地域  4.7%

もちろん、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響です。
数値を見て思うのは、4月ごろの感染状況の深刻さの裏返しのように見えます。その頃にロックダウンした国は、軒並み減少率が高くなっています。


ここで話題にしたいのは、各国の数値の信憑性ではなく、地球温暖化対策です。
日本は、僅か7.1%の減少でした。
1〜3月期のGDPは、前年同期比で-0.6%、4〜6月期のGDPは、前年同期比-7.9%です。
仮に、7〜8月のGDPが4〜6月期と同等とすると、1〜8月のGDPは-5.2%程度と推定されます。
つまり、GDPの減少幅より、二酸化炭素の減少幅が大きいのです。
GDPと温室効果ガスの減少幅の差分は、通勤や出張・外商など減った分でしょう。これらは、テレワークやテレビ会議、ネット販売などでGDPへの影響が小さいのに対して、移動で交通機関から排出されていた温室効果ガスが大幅に減少したことによるものと思います。
これらは、パンデミック以前の経済活動に戻っても、継続して温室効果ガスを削減し続けることが可能です。

さて、前述の交通関係のCO2排出割合ですが、全体では20%程度です。おそらく、この内の1割程度は、GDPに影響を与えずに減ったと思われます。
もちろん、観光関係の交通機関利用は激減しましたが、GDPにも影響しているので、その分は無視しています。
どんなにテレワークやオンライン授業が広まっても、交通機関を完全に止めることは不可能です。食糧の輸送も止めることになるからです。現状で削減可能なのは、僅かしかないことが証明されたとも言えそうです。


交通関係のCO2排出量を削減するためには、移動を減らすことが考えられます。テレワークなども一つですが、食糧輸送を減らすために、人口を地方に分散させることが考えられます。
当ブログでは、そのテーマでも書いていますが、これを推進すると、もしかすると、日本の経済は破綻するかもしれません。
日本の国土は、異様に地価が高いのです。その要因の一つが、一極集中にあるます。日本の経済は、その一部を、高い地価が支えています。つまり、土地を担保にした融資が、企業活動を支えている面があるのです。
テレワークなどが進むと、地方展開が進み、首都圏の地価が下降する可能性があります。すると、担保割れが生じ、金融機関の融資も経営も厳しくなります。

中々、一筋縄ではいかないようです。
「原発を止めても地球温暖化防止はできる」と言う人々の楽観ぶりが、羨ましいくらいです。
 

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