豊葦原中津谷のニニギ

食糧自給率の向上を目指して! (2100年の日本へワープ)

カテゴリ:地球温暖化 > 交通機関


アメリカのリージェント社が、地面効果翼機(WIG)の『シーグライダー』の飛行実験に成功しました。

地面効果翼機自体は、ロシアで研究が進んでおり、エクラノプランの総称で呼ばれます。
また、シンガポールでは『AIRFISH 8』が、中国では『翔州1型』等が、開発されています。
今の日本では、当然、研究は止まっています。

日本では聞くことがなくとも、世界的には珍しくない地面効果翼機の『シーグライダー』が話題になったのは、電動だったからです。
もう一つの特徴が、水中翼(水面効果型?)を持っていることでした。


地面効果翼機は、地面効果を利用して低空を飛ぶ航空機です。
翼面積に対して揚力が大きいため、小さな翼で飛行でき、翼が小さいため、抵抗が小さい特徴を持ちます。
概ね、翼長より低い高度を飛びます。
揚抗比に優れ、機体の大型化が容易なので、洋上輸送において、高速化が期待できます。
反面、飛行高度が低いため、一般の飛行場が使えず、飛行艇(または水上機)とならざるを得ず、洋上では船舶との衝突が懸念されます。更には、海象の影響を受けやすい欠点もあります。
日本で研究が停滞しているのは、近海に船舶が多く船舶との衝突が懸念されるため、実用化は難しいと判断されたようです。


『シーグライダー』ですが、1/4スケールの無人実験機です。
最高速度は290km/h、航続距離は290kmだそうです。
2年後を目処に、実寸大(翼長19.8m)の機体を製作し、定員6名の有人飛行を計画しているそうです。

『シーグライダー』を製作するリージェント社のビリー・タルハイマー氏は、「人類の輸送方法の歴史に新たな変化を起こした」と自画自賛です。
飛行艇と水中翼の組み合わせは、過去にも例があったように記憶していますが、地面効果翼機との組み合わせは、記憶にありません。

『シーグライダー』の水中翼は、水面効果型に見えます。(全没型の可能性もある)
水面効果型水中翼は、ロシアで発展した形式で、制御が不要で構造が単純なため、ロシアの河川で使われていました。
ですが、水面に沿って進む性質なので、平水面でしか使えません。
地面効果翼機も、飛行中も波の影響を受けますが、水面効果翼の方が直接的に波浪の影響を受けます。
なので、『シーグライダー』は全没型の可能性もあります。(外観では判別しにくい)
ただ、全没型は、水中翼の水深を維持するための制御機構が複雑になります。また、着水時の衝撃も考えると、収納型の水中翼には不向きです。(個人的には、水面貫通型の方が良いように・・・)



残念なことに、ニュースを伝える側の知識が乏しいようで、水中翼の種類や特徴を踏まえた取材ができていません。
なので、新機軸の良い面は企業側の主張から見当は付いても、どんな課題が残っているのか、どう対処していくのか、さっぱりわかりません。

当ブログでは、過去に『ジェットフォイル』として水中翼船について触れています。
関連ブログの『アイソスタシー』の5話には、地面効果翼機がちょっとだけ出てきます。
個人的には、強い関心を持ってきた技術です。
ですので、今後が気になっています。



前出のタルハイマー氏は、次のように続けています。
「沿岸地域への新たな旅行手段として、シーグライダーは歓迎されるでしょう。
2025年までに商業サービスとしてのシーグライダーの提供を目指します」

期待はしていますが、平水域に限定されるなら、日本での利用は難しいでしょう。



以前から、地球温暖化の対策として、鉄道の利用を訴えてきました。

日本は、鉄道大国のようで、貨物輸送の面では、かなりの後進国なのです。
旅客輸送では、日本は世界1位なのだそうです。
ところが、貨物輸送では、世界で32位なのだそうです。


地球温暖化対策では、実は『省エネ』がキーワードになります。

例えば、現状の経済を動かすために、5億トン/年の石油が必要だとします。
このまま脱炭素を図ると、代替エネルギは、石油換算で5億トン分が必要です。
もし、省エネで、石油使用量を3億トンに減らせたなら、代替エネルギは、石油換算で3億トン分を用意するだけで済みます。

陸上の貨物輸送は、トラックが主となっていますが、これを鉄道に置き換えると、トンキロ当たりの消費エネルギは、ざっと1/10に減らせるのです。
トラック輸送の全てを鉄道に置き換えることは不可能ですが、都市間の輸送は、原則として鉄道と船舶に移行させるべきです。


似た考えを持つ方は、他にもいらっしゃいます。
その中でも、多くの方が「新幹線の貨物輸送」を主張されています。
私も、新幹線による貨物輸送には、大いに関心があります。


ですが、新幹線による貨物輸送を実現するには、考えなければならないことがあります。

その一つが、「どんな方法で荷物を運ぶのか?」です。

輸送できる種類を増やすために、コンテナを積みたいところです。
ですが、コンテナを積むとなれば、積み下ろしのための貨物駅が必要になります。
貨物駅の場所の確保と、大工事が必要になります。
可能であれば、在来線と併設し、右から左に積み替えられるような構造にするべきです。

コンテナの積み下ろしには、架線のない区間に進入する必要があります。
コンテナを輸送する電車であるスーパーカーゴは、最後尾の車両の後端のパンタグラフで架線の端まで進み、架線のない区間に車両のほぼ全てを押し出します。
新幹線の貨物駅を作る場合、架線がない区間は、充電池を使うのがベターでしょう。

また、ダイヤの問題も、より深刻になります。
と言うのも、新幹線は夜間に保線工事を行うので、貨物も昼間の輸送になります。
貨物列車を旅客ダイヤの中に組み込む場合、各駅で貨物を下ろすのでは、定時制を維持するのが難しくなります。
また、各駅で荷下ろしをすると、速達性も低下してしまいます。

新幹線でコンテナを輸送するのであれば、輸送区間を限定するしかありません。基本は、2点間の往復輸送です。
東海道・山陽・九州新幹線なら、東京、名古屋、大阪、岡山、広島、福岡、熊本、鹿児島の中から選択することになると思います。
背景地も考慮すると、東京-大阪、東京-岡山(中国・四国)、東京-福岡(九州・山口)が有望でしょうか。
東北・北海道新幹線では、東京-仙台くらいでしょう。函館では、札幌延伸時に無駄になります。
秋田新幹線や山形新幹線は、貨物駅新設費と輸送量や速度を考えると、メリットはないでしょう。仙台で在来線に積み替えれば良いのです。
上越新幹線では、東京-新潟のみでしよう。
北陸新幹線では、全線開通時は、東京-大阪の代替ルートの価値はありますが、貨物駅新設の費用を考えると、メリットはないでしょう。


このように、新幹線で通常のコンテナ輸送をするのは、メリットが薄いように思います。

ならば、他にどんな貨物輸送が考えられるのでしょうか。

コンテナはコンテナでも、航空コンテナか、新幹線専用に小型コンテナを製作し、軽量の荷物を現状のホームから積み下ろしするのが、現実的だろうと思います。

車両は、現行の車両を改造して専用車両を製作し、積み下ろし時間の短縮を図るのが良いでしょう。

改造するのは、先頭車両か最後尾車両が良いでしょう。ホームの端なので、ホーム上にコンテナがあっても、邪魔になりにくいはずです。
新幹線は、奇数号車にトイレがあるので、1号車を、貨物車に改造すると、2両目の乗客はトイレまでの動線が長くなってしまいます。
なので、トイレがない最後尾車両が、貨物車への改造に適しているようです。

コンテナサイズは、エレベータに載せられ、新幹線の車両の中でもハンドリングが楽なサイズになります。
輸送対象の多くは、宅急便になると思います。
宅急便は、3辺合計200cm以内、重量30kg以内です。
底面がA1サイズ(約84x60cm)、深さ50cmで、上限になります。
コンテナは、これを積載できるのが良いので、外形で幅60〜70cm、長さ190cm、高さ150cm程度が扱いやすいと思います。
長さの190cmは、ストレッチャーより僅かに小ぶりです。
エレベータのほとんどは、ストレッチャーに対応しています。なので、ストレッチャーの長さに合わせておけば、既存のエレベータを利用できる可能性が高まります。
車両とホームの間や、エレベータの隙間を乗り越えるため、車輪の径は充分に確保したいし、できれば自走能力も欲しいところです。
なので、床下は25〜30cm程度を確保し、重い機器類を配して重心を下げます。
これで、内寸は、60x180x120cm程度を確保できます。
本体の重量は、100kg以内に抑えたいところです。荷物は200kg以内とし、合計で300kg以内に収めます。
エレベータの多くは、500kg以上の重量に耐えられます。300kgならば、作業者と一緒に乗れます。

新幹線の16号車の客室の長さは、約15mです。
これを三等分し、5m毎の区画に分けます。
それぞれの区画には、中央の左右に扉を新設し、扉の間を通路とします。
通路の左右(進行方向では前後)に、コンテナ置き場を設け、それぞれ4個ずつ、車両全体では24個を搭載可能とします。
コンテナは、扉から入れると、通路で向きを90度変え、所定の位置に収めます。
24個のコンテナは、最大で合計7200kgになります。これは、成人男性100人分です。
新幹線は、1両で100人以上が乗れるので、これくらいの重量では、床の補強も必要ないでしょう。扉の追加等の改造による重量増を含め、車体や台車の強度、あるいは重心位置への影響は、許容範囲に収まりそうです。

貨物新幹線は、東海道新幹線なら、こだまに組み込むのが良いと思います。
各駅で積み下ろしできるし、のぞみやひかりの通過待ちで停車時間も長めです。
こだまは、新大阪止まりなので、九州までの直行便を考えるなら、ひかりの方が良いかもしれません。
新大阪まではのぞみと同じ運転とし、そこから先は各駅に停車させるダイヤも、検討の余地があります。



色々考えてきましたが、外野が考えるより、実現は難しいようです。

ネットニュースには、「新幹線でコンテナ輸送をするべきだ」との記事もありましたが、それ以上に掘り下げる内容ではありませんでした。
今回、新幹線で本格的な貨物輸送を行う方法を考えてみましたが、容易ではないことだけがわかったような気がします。

ここに書いた内容は、一つの案であり、実現するには、様々な課題が出てくるでしょう。
例えば、駅の構造です。
新幹線用コンテナをどこから駅に入れるのか、駅構内からホームへはどう運搬するのか、作業の自動化はどうするのか、車両の改造は可能か、新幹線専用コンテナのトラックへの積み込みはどうするのか、トラックで配送先に直行できるのか、何にどれくらいの費用がかかり、かつ回収できるのか、等々、課題は山積みです。

これらを考え、新幹線による貨物輸送を実現したいですね。


世界は、FCVではなく、EVへ向かっています。ZEVでもなく、EV一辺倒です。
2014年には、フォーミュラeが始まっています。
更には、EVラリーやEV耐久レースも開催されています。


日本は、脱炭素社会への変革で、大きく出遅れている上、モーダルシフトの面でも、ローカル線の廃線のように、完全に方向性を失っています。
唯一、自動車分野だけが、何とか世界の潮流についていっているのが、現状でしょう。
これに、他の業界が追随することが望まれます。

でも、もっと重要なのは、メディアを含む一般人が、エネルギの地球温暖化対策の最終形をイメージできるようになることです。


さて、エネルギの地球温暖化対策は、一般に『電動化』と『再生可能エネルギ』の組み合わせが思い浮かぶでしょう。
ですが、再生可能エネルギは、出力の制御ができないため、電力系統を安定的に運用できません。
この問題を解決できないため、再エネ発電の買取量に制限が課せられています。

問題の解決は、電力会社に押し付ける風潮がありますが、これでは解決はできません。
「科学技術は発展するので、将来的には解決する」と言う人もいます。これは、「原発事故も、科学技術が発展する未来には、問題なくなる」と置き換えたなら、いかに無責任な考え方なのか、理解できるでしょう。
そもそも、科学技術は、人間が発展させるものであって、時間経過で勝手に発展するものではありません。

再生可能エネルギの変動を吸収し、電力の安定供給を可能にするための手段として、次のようなアイデアがあります。(一部、実用化しているものもある)


(1)揚水発電

水の位置エネルギで、電力を蓄えます。
しかし、国内で建設できる所は少なく、新規に蓄電量を増やすことは難しいでしょう。


(2)二次電池(蓄電池)

化学エネルギに変換して、電力を蓄えます。
リチウムイオン電池の場合、最大で約250kWh/tの重量エネルギ密度です。
(容器や制御装置は含まない)
日本の年間発電量は、1兆kWhを超えます。1日平均で、300億kWhです。
1日分の電力を蓄えるには、1億tを超える二次電池が必要になります。
夏場の太陽光で発電した電力を、冬場に使用することも考えられるので、ロスを無視するとしても、数十億tの二次電池が必要になりそうです。
これは、現実的ではありません。


(3)水素

水素の化学エネルギで、電力を蓄えます。
水素は、約4万kWh/tのエネルギ重量密度です。
二次電池(Li+電池で計算)との比較で、エネルギ重量密度は100倍以上です。
また、電池ではないので、単純なタンク(冷凍機能は必要)に保管できます。
そのため、実質的なエネルギ密度は、200倍以上になるでしょう。
更には、リチウム等の貴重な資源も、基本的に使いません。
ただし、効率が低く、水の電気分解に使用した電力の内、最終的に水素燃料電池で取り出せる割合は、23〜52%程度です。これに、水素を液体で維持するための冷凍機にも、大量の電力を消費します。


ここまで、3種類のエネルギを蓄える方法を考えました。
エネルギ備蓄で現実的な選択肢は、水素です。
もちろん、問題は山積みです。
二次電池で同等の電力を保存しようとすると、エネルギ密度が桁外れに足りません。
再生可能エネルギで全電力を賄うことを考えると、1年を通じた発電量と蓄電量の管理が必要になります。
そのため、前述のように、莫大な量の電力を蓄えておがなければなりません。


こういった課題を理解すれば、なぜJRが水素ハイブリッド電車を作るのか、その目的が見えてくると思います。
発電の脱炭素化を電力会社に押し付けるのではなく、広い視野で考えるようにしたいものです。



地方鉄道の半数以上が、廃線検討水準を越えていることが指摘されました。


廃線を選択することは、簡単です。
しかし、存続するとなると、ハードルが高くなります。

現状では、旅客のみの運用を前提に、維持費の負担について議論されています。
旅客のみを前提としているため、旅客収入を、維持費支出が大きく上回り、維持が難しくなっています。この支出超過分をどうするのかが、問題になっています。

この前提条件下では、極端な地方移住が起きない限り、いずれ廃線になるでしょう。
前提条件を外す工夫が、これからは求められます。


今年、DMV(Dual Mode Vehicle)が走り始めました。
DMVは、軌陸車の一種で、旅客を乗せたまま、一般の道路も鉄道も走れる車両です。
現状では旅客のみですが、中型や大型貨物をDMV化することも考えて良いと思います。
また、車両の改造が不要なピギーバック方式でも良いと思います。
ただ、鉄路を使うだけでは、大した意味がありません。
そこで、数台を連結して走らせるのです。
そうすれば、運転手を減らすことができます。

もちろん、問題はあります。
DMVの駆動は、鉄輪ではなく、タイヤで駆動しているようです。
DMVのベースとなっているバスの駆動力は、小さくはありません。少なくとも、25%勾配くらいは登れるようです。これは、通常の鉄道には存在しない250‰です。
JR最大勾配は、飯田線の40‰ですから、駆動力自体は余裕です。
ですが、DMVでは、後ろにも鉄輪を出すので、タイヤの設置圧が下がります。貨物まで牽引できるのか、怪しいところです。

DMV型のバスで貨物を引っ張るのではなく、貨物は貨物でピギーバックで走行させるのなら、比較的簡単に運用できるはずです。
テストケースとして、横積みのピギーバックを検討しても、面白いと思います。
つまり、貨車の横から小型トラックを乗せるのです。
車両限界に余裕を持つため、全長2.6m程度の小型トラックを、軽自動車をベースに開発するのです。
横から搭載するなら、前後の車両を気にすることはありません。積み下ろしは、1分と掛からないでしょう。通常の停車時間で、ホームに下ろすのです。(ホームは改修が必要)
将来的には、自動運転で宅配することも視野に入れて、小型ピギーバックの研究・開発をするのも、一案でしょう。

自動宅配の開発は、飛行ドローンで盛んに行われています。
雪深い地域では、これも一案ですが、エネルギ効率の観点では、問題があります。特に、重量物(と言っても10kg超)の運搬は、ロスも騒音も大きくなります。
10kgのお米は、アウトでしょう。
また、1品1機ですから、更に効率を低下させます。
飛行ドローンほど華やかではありませんが、実用性の面では、地上走行ドローンの方が期待できそうです。


メディアは、華やかさを求めますから、こんな地味な研究・開発には興味を示しません。
現政権は、地上走行ドローンが移動式ミサイル発射台なら、興味を持つかもしれません。
どちらにせよ、あてになりそうにありませんね。

地方自治体や沿線の方々が、色々とアイデアを出し合わないと、政府や鉄道会社だけに任せていると、遠からず廃止になると覚悟した方が良いでしょう。



前述のピギーバックを含むモーダルシフトは、温暖化対策の一案になります。
以前にも書いたように、温室効果ガスの排出量をゼロにするために、必要なエネルギを半減させることも重要です。
鉄道のエネルギ効率は非常に高く、貨物輸送では、トラックの1/6以下とも言われています。
 中・長距離輸送を鉄道や船舶に移行させることは、必要なエネルギが少なくなるので、再エネ等への代替が楽になります。

それを考えると、早計な廃線は、政策の愚かさを示します。
広い視野、長期の展望で、政策が進められることを願っています。
 


エンブラエル社が、いずれもプロペラ推進のローエミッション機、及びゼロエミッション機の開発プロジェクトを立ち上げました。


ローエミッション機
・ENERGIA HYBRID
  定員   9名
  航続距離 500nm(約926km)
  双発(リアエンジン)
  低翼単葉
  燃料(A-1 又は SAF)
  タービン+モーター
  就航目標 2030年

・ENERGIA H2 GAS TURBIN
  定員   35〜50名
  航続距離 350〜500nm(約648〜926km)
  双発(リアエンジン)
  低翼単葉
  燃料(水素とジェット燃料)
  タービン
  就航目標 2040年

ゼロエミッション機
・ENERGIA ELECTRIC
  定員   9名
  航続距離 200nm(約370km)
  単発(垂直尾翼に搭載)
  高翼単葉
  燃料(二次電池)
  モーター
  就航目標 2035年

・ENERGIA H2 FUEL CELL
  定員   19名
  航続距離 200nm(約370km)
  双発(リアエンジン)
  低翼単葉
  燃料(水素燃料電池)
  モーター
  就航目標 2035年
  

色々な方向からの挑戦であり、意欲的なプロジェクトです。

いずれの機体も、リアエンジン方式となっています。
リアエンジン方式を採用した理由として、着陸装置の脚の長さがあると思われます。
プロペラ推進なので、ジェットエンジン推進より径が大きくなります。そのため、主翼に取り付けると、プロペラ下端の地上高を確保するために、脚の長さが必要になります。
対策として、主翼を高翼にするか、主翼上面の高い位置に置く方法が考えられます。

主翼を高翼単葉とすると、主翼から脚を伸ばすと、脚が長くなってしまいます。
胴体にバルジを設けてギアウェルとすると、バルジが空気抵抗となってしまいます。
いずれも、本末転倒の対策です。
主翼上面の高い位置にエンジンを置く方法は、致命的な欠点のない対策ですが、重量増や空気抵抗増はあります。
もちろん、リアエンジン方式でも、ジェットエンジンとは異なり、中心軸を胴体から離す必要があるので、エンジンの支持材が長くなり、重量増が懸念されます。
ただ、主翼に取り付けた場合、プロペラ後流による左旋等が起こりますが、リアエンジンであれば、その傾向はほぼなくなります。

※左旋:プロペラ後流は、 正面から見て反時計回りです。
    そのため、エンジンナセルの左側面は、主翼上面への流れを強めますが、右側面は打ち消し合います。
    そのため、エンジンナセルの左側面は、右側面より強い負圧になります。 
    負圧が起きる場所は、機体の重心より前にあるので、左へ旋回しようとします。
    高翼であれば、 重心より高い位置にエンジンナセルがあるので、左旋に加えて左傾も起こります。


意欲的なプロジェクトですが、旧MRJの開発よりも考えられている気もします。

当ブログでは、旧MRJの開発の問題点を3年前に指摘していました。

旧MRJの開発では、安易なエンジン変更が行われ、それに合わせて無理な設計変更を行ったため、最終的には開発断念に至っています。
この設計変更は、有り得ないほど場当たり的でした。おそらく、現実も現場も理解しないトップが、帳尻合わせを行ったのでしょう。
それが現れているのが、座席数です。
3年前の指摘でも、座席数は50〜60席程度の胴体径と書きましたが、その後に調べたところ、やはり開発当初は「30〜50席、または60席」としていたようです。
それが、標準の70型でも76席とし、基本構想が大きく崩れています。

旧MRJの開発プロジェクトでは、胴体は小型機、エンジンは大型機と、どんな機体を作りたかったのか、全く見えてこないのです。
旧MRJのプロジェクトを指導した人物は、何を作るのか、考えていなかったようです。
昨年、旧MRJの開発は、凍結されました。
それを受けて、当ブログでは、開発再開後の目指すべき機体をまとめています。


旧MRJの開発と比較すれば、伊牟田がどんな機体を作りたいのか、その違いが見えてくると思います。
ど素人の伊牟田が考えたことですから、現実を理解できていないとは思いますが、旧MRJの開発は、その伊牟田よりもレベルが低く見えてきます。


閑話休題
エンブラエル社のENERGIAシリーズに戻りましょう。
ENERGIAシリーズは、非常に意欲的ですし、最短では10年足らずで実用化を目指している点でも、期待しています。

一方で、疑問を感じる部分もあります。
主翼の後退角です。

ENERGIA ELECTRICが、ほぼ直線翼、ENERGIA HYBRIDが、浅い後退角であるのに対し、ENERGIA H2 FUEL CELLとENERGIA GAS TURBINの後退角は深めです。(想像図より)

後退角の目的は、高速で飛行する際の翼からの衝撃波発生速度を高めることにあります。
プロペラ機では、プロップファンを除けば、それほど高速化はできません。それは、プロペラの翼端が音速を超えてしまいやすいからです。音速を超えれば、効率が急減しますし、衝撃波による騒音も発生します。
プロップファンならば、衝撃波を発生する速度が高まりますが、それでもジェット機よりもやや低い速度に止まります。
後退角は、構造面で重量が増加する、翼端後流が強くなり抵抗が増える等の欠点があります。なので、プロップファンであっても、一般的なジェット機よりも後退角を浅くするのが、常識的な設計です。
しかも、ENERGIAシリーズは、航続距離がかなり短めです。空気の薄い高空まで上昇して巡航速度を上げることは、不可能でしょう。
そもそも、航続距離が短いので、元々の所要時間が短いのです。巡航速度を上げても、所要時間は精々数分の差にしかならず、他の要因による遅れに隠れてしまいます。
高速化が難しく、かつ航続距離が短い機体では、後傾角はほとんど必要ないはずです。
このあたりは、どんな思想があるのか、聞いてみたいところです。


さて、先程のリンクでも触れているように、ゼロエミッション機の燃料や推進装置は、いくつかの選択肢があります。
エンブラエル社のENERGIAシリーズは、それらを一通り試そうとしているようにも思えます。そう考えると、全てが出揃う2040年が楽しみです。
でも、見方を変えると、2040年でもゼロエミッション化の草創期でしかないのです。
ゼロエミッション化へは、極めて厳しい道が続くのです。

日本政府は、「やれ!」と号令を掛ければ、明日には完成すると思っているのでしょう。
だから、理系の学生の減少に危機感がなく、平気で研究開発費を削り続けるのです。
正に、「化石賞」に相応しい政治です。(いずれ化石賞さえも貰えなくなりそう)
対象的に、削った額の何倍もの予算を、軍備拡大に投げ入れるのですから、馬鹿です。
基礎体力(基礎研究)が無く、それ故に基礎練習(理系学生)が不足して技を習得できていないのに、プロ選手(欧米や中国)に挑んでいくようなものです。
軍備に力を入れるのは、野球で言えばバットにお金を掛けるようなものです。ですが、どんなに良いバットを使っても、基礎が無ければ、プロの投球は打ち返せません。
それを理解しなければ、日本の未来は暗いでしょう。


エンブラエル社は、ブラジルの企業です。
エンブラエル社は、三菱や背後の日本政府より、開発能力が高いようです。
おそらく、国としての日本も、ブラジルにも抜かれつつあるのでしょう。
日本国民という財産を食い潰しながら、日本は衰退を加速しています。

一日も早く、この流れを止める政治家の出現が待たれます。
1人でも現れれば、それに続く人材が一気に現れるはずです。
戦国時代、あるいは幕末、日本は、多くの英傑が現れ、国を変えていきました。
私は、そんな時代の到来を期待しています。


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