鹿児島県の川内原発が再稼働して久しいのですが、未だに姶良火山による火砕流を問題視されているようです。

鹿児島県は、カルデラが多い地域です。加久藤カルデラ、肝付カルデラ、阿多カルデラ、鬼界カルデラ、そして姶良カルデラ。主なものだけでも、これだけあります。
最大級の噴火は、およそ3万年前の姶良火山の噴火です。これは、日本列島史上で最大規模ともいわれており、鹿児島県を覆う有名なシラス台地は、この時の噴火で作られたとする説もあります。
最近の活動では、鬼界カルデラが7300年ほど前に噴火し、九州の縄文文化に壊滅的な打撃を与えました。
なぜ、九州にカルデラが多いのか、私は理解していませんが、阿蘇山を含め、およそ1万年ごとに破局的噴火が起きてきたことが分かっています。


川内原発とカルデラ


話題にする川内原発ですが、姶良火山から50km程度の距離に位置しています。
姶良火山の噴火では、半径80kmに火砕流が及んだとする研究もあり、川内原発周辺でも、この時の火砕流の痕跡が見られます。
これを根拠に、川内原発を廃止にすべきとの声が、今も残っているようです。
また、専門家が「姶良火山が再噴火しないとは言い切れない」と言っているため、原子力安全委員会の審査結果を問題視しているようです。



さて、ちょっと考えただけで、おかしなことに気付くはずです。
反原発派は、姶良火山が再噴火すると考えているのでしょう。
ですが、噴火した際の被害は、原発にのみ及ぶと考えているのでしょうか。

仮に、姶良火山が3万年前と同規模の噴火を起こして火砕流が発生した場合を考えてみましょう。
耐震対策で被害を大きく軽減できる地震とは異なり、火砕流は飲み込まれれば、助かる見込みはありません。
つまり、姶良火山から半径80km内に住む100万人を超える人々は、命を落とすことになります。
原発がどうなろうと関係ありません。姶良火山の周辺の住民は消滅してしまうのですから。
本気で姶良火山が再噴火すると考えるなら、まず姶良火山から80キロ圏内を居住禁止にすべきでしょう。最低でも、100万人規模の避難計画を策定すべきです。(現実的ではありませんが・・・)
ですが、そんなことはお構いなしで、「とにかく川内原発を廃止しろ!」と叫ぶのは、どんな神経をしているのでしょうか。

姶良火山が火砕流を川内原発に届かせるような噴火をしたなら、九州や四国は降灰で埋め尽くされ、事実上の壊滅状態になるでしょう。関東でさえ、降灰で交通機関や農林業が大打撃を受け、日本の存亡にも関わる状態に陥るはずです。
本気で姶良火山の噴火を考えるなら、川内原発は検討する必要もないくらい小さな問題に変わります。



ところで、姶良火山は噴火するのでしょうか。
小規模な噴火はともかく、川内原発に影響を与えるような巨大噴火は、起こりそうにありません。
なぜでしょうか。

姶良火山は、現在は大きく陥没して錦江湾(鹿児島湾の最奥部)を形成しています。
つまり、大きな湾を作るほど、大量の噴出物を放出したのです。
では、現時点で3万年前と同規模の噴火を起こすとしたら、どこに噴出物を蓄えていると言うのでしょう。
少なくとも、現時点では大量の噴出物を蓄えているとは言えず、よって姶良火山が再噴火しても大規模なものとはなりにくいだろうと推定はできます。



こうやって考えてみると、反原発派の考えは、人命は無視して、単に自分の好みの問題で「反原発」を唱えているだけだということが見えてきます。

原発は、温暖化対策のアイテムの一つです。
反原発派は、「再生可能エネルギーを利用すれば原発は不要!」と言いますが、「再生可能エネルギーを利用すれば火力発電所は不要!」と、なぜ言わないのでしょうか。
再生可能エネルギーは、原発や火力発電所を代替するには、高いハードルがあります。ただ、そのハードルを越えられるなら、原発より火力発電所を先に止めるべきなのです。
このあたりの視点からも、反原発派は、原発を停めること以外を考えていないことが分かります。



最後に、私は原発再稼働派です。
ただ、原発の新規建設には慎重な立場を取っています。

単純に原発を推進するつもりは毛頭ありません。そのあたりは、御理解頂きたいところです。