京大附属病院の原田浩特定准教授らの研究グループは、
特定の遺伝子が多く発現すると癌の転移が進むことを発見しました。
 
低酸素状態でも癌細胞を生き延びさせる遺伝子「HIF1」と、
各種たんぱく質を安定させる役割を持つ遺伝子「UCHL1」との関係に着目し、
人間の乳がんをマウスに注入して肺に転移させる実験を行いました。
その結果、「UCHL1」の発言量が多いほど「HIF1」が活性化し、
癌の転移が進むことを発見したのです。
また、「UCHL1」の発言量を減らすと、癌の転移が抑制されることも確認しました。
 一方、
約250人の患者から手術で摘出した肺癌の細胞を調べたところ、
「UCHL1」発現量が多い患者ほど「HIF1」が活性化していました。
手術後5年間の生存率も、
発現量の少ない患者は、発言量の多い患者を、約15%上回ったそうです。 
 
この遺伝子の発現を抑制する新薬の開発で、
癌の転移の恐怖から逃れることができるようになるかもしれませんね。