マッコウクジラの寝姿が、バッチリ撮られたようです。
ナショナルジオグラフィックに、その様子が掲載されています。
(ニュースのリンク先⇒
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170809-00010001-nknatiogeo-sctch.view-000)
飼育されているクジラ(主としてハクジラ小目)の睡眠は、半球睡眠が知られていました。
脊椎動物の脳は、左脳と右脳に分かれていて、脳梁で繋がっています。
左脳は右半身、右脳は左半身を司ります。
クジラは、睡眠時に左右の脳を個別に休める半球睡眠をとります。
陸上の哺乳類は、睡眠時間こそ短いのですが、左右の脳を個別に休めることはないようですから、主に呼吸を管理するためと、私は考えています。
ただ、隠れる場所がない大海に暮らしていることも、関係しているのかもしれませんね。
しかし、野生のクジラの睡眠方法は、ほとんど観測されていなかったそうです。
このマッコウクジラの寝姿は、貴重な映像です。
ところで、この寝姿は、野生のクジラの一般的な姿ではないと思っています。
マッコウクジラは、他のクジラとはかなり異なる身体を持っています。
最も特徴的な部分は、巨大な頭部です。
この頭部には、脳油(ワックスエステル)が満たされていて、潜水と浮上を助けると言われています。
脳油は、冷やすと固化して比重を増します。
これを錘の代わりにして、頭から一気に潜水していきます。
浮上時は、頭部の血流を増やして脳油を溶かし、浮力を得ます。
そして、頭を上に、ほぼ垂直に急浮上するのです。
この特徴から、マッコウクジラが寝る際に安全なのは、頭を上にした姿勢だと言えます。
もう一つ、マッコウクジラが頭を上にして寝る利点があります。
マッコウクジラ以外のクジラは、噴気孔(人類の鼻に相当)が背中といっても良いくらいの後頭部にあります。
ですが、マッコウクジラの噴気孔は、頭の左先端にあります。
頭を上にすると、浮上した際に真っ先に噴気孔が水面に出て呼吸できます。
こうしてみてくると、頭を上にした睡眠は、マッコウクジラ固有の特徴に思われます。
マッコウクジラは、飼育されたことはないはずです。
残念ながら、マッコウクジラの睡眠は野生でしか観察されておらず、飼育下の睡眠との比較はできません。
それでも、今回の撮影は、貴重な映像には違いないと思います。
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