兵庫県明石市立二見中学校3年の中学生が、
ミシシッピーアカミミガメの性別決定が温度と時間に関係することを証明したそうです。
折しも、「性器の大発見」と言われるチャタテムシの性器の逆転がイグノーベル賞を
受賞しています。
こちらはこちらで、11年連続での日本人のイグノーベル賞受賞となります。
イグノーベル賞はさておき、
ミシシッピーアカミミガメは、在来種や水辺の植物への影響が懸念されています。
下の写真は、近所の公園で撮影したのですが、私が見つけた全てのカメがミシシッピー
アカミミガメ(ミドリガメ)でした。
先程の中学生の実験では、ミシシッピーアカミミガメは30℃以上の高温に曝される時間が
長いほどメスになる確率が高くなるそうです。
今後、温暖化の進行と共に、オスとメスのバランスが取れる地域が北へと拡がり、
それに合わせて、ミシシッピーアカミミガメの生存域も北上することになるのでしょう。
さて、科学的な好奇心で言えば、カメの性決定が温度に依存するのは不思議ですね。
この特性を維持しているには、生存に有利な何かがあるはずです。
哺乳類や鳥類は、性決定遺伝子を持ち、理論上はオスとメスが同数になります。
有性生殖は、無性生殖より生存に有利です。
ですから、動物だけでなく、植物も雌雄を持っているのです。
温度によって性別を決める仕組みが、生存においてどんなメリットをもたらしているのか、
興味の湧くところです。
ちょっと余談になりますが、三毛猫のクローンは三毛猫にはならないそうです。
2対のX染色体にある茶毛と黒毛のそれぞれ遺伝子は、分裂のある段階でどちらかの色の
遺伝子のみが有効になるのだそうです。
その際に、茶毛に決定した細胞が分裂した範囲が茶毛に、黒毛に決定した細胞が分裂した
範囲が黒毛になり、三毛猫となるのだそうです。
そのため、クローンの元となった細胞が茶毛に決定した細胞か黒毛に決定した細胞かで、
クローン猫の毛の色が茶色か黒かの一方に決まってしまうのです。
カメの性分化でも、性別が不可逆的に決まる時期があるはずです。
その時期を過ぎれば、温度に関係なく性別は変化しないはずです。
どのタイミングで雌雄が決定して不可逆的に性分化が進んでいくのかまで分かると、
更に良い研究になるのではないかと思います。
今回の研究では、周囲からのアドバイスもあったようですが、一生懸命な中学生には
サポートも効果的に機能するものです。
その結果、このような素晴らしい研究になったのだと思います。
この中学生だけでなく、この影響を受けた同級生らが、自然の不思議さや仕組みの面白さに
興味を持ってくれればと願っています。
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