一部の人々の中で、女子の理工系大学への進学率 を問題視しているようです。

「女子の理工系大学への進学率が低く、その原因が社会環境や家庭環境にある」とのこと。


私にすれば、行きたい学科に進めばいいだけだと思うのですが、
理工系大学への進学率は女子が行きたい学科の比率を反映しているだけと考えています。

無理に女子を理工系大学へ進学させても、当人にとってメリットがあるとは限らず、
逆に女子の進学によって行きたい学科に進み辛くなる男子にとってはトバッチリです。

好きこそものの上手なれ と言います。

理工系大学へ進学したければ進学し、別の学科が好きならそちらへ行けば良いのです。

もし、好きで実力もあるのに進学できないなら、それは大きな問題になってしまいます。



この問題を提起している方は、社会環境に問題があると考えているようです。

女子の理工系大学への進学率が低い理由について、確認してみましょう。

一言で言えば、女子の理工系大学への進学率が低い最大の理由は、
理数系科目を得意とする女子の割合が低いことです。


ある学者が調査したところ、
女子の多くが小学校の頃から物理を苦手にするようになることが分かりました。

理学系学科の中で女子比率が最も低いのが物理学科であることからも、類推できます。

続いて、数学を苦手にするようになるのですが、
文系男子も似た傾向を示すので、男女差はほとんどないようです。

理工系大学へ進学する人は、男女に関係なく、数学も物理も好きである傾向にあります。


どうやら、問題の本質は男女の性差にあるようです。

なぜなら、同じ理学系や工学系の中でも、男女比は大きく異なるからです。
例えば、理学系では物理学科、工学系では機械工学科が女子の比率が特に低いようです。

この状況を社会環境で説明しようとすると、
   化学系には進学するが、物理系には進学しない、
      情報処理系には進学するが、機械系には進学しない

なんな社会的圧力が掛かっていることになります。

そのようなことは、少々考えにくいように思います。


そもそも女子の比率が低い場合、その原因を社会環境に求める傾向が強いように思います。
また、ほとんどの場合、欧米のデータをベンチマークに使います。
確かに、女子の理工学系大学への進学者の生い立ちをアンケートすると、
             父親が娘の教育に積極的に関わっている場合が多いそうです。

家庭環境は、理工系大学への進学率に関係している可能性は考えられるところです。

しかし、その部分にだけ光を当てて良いのでしょうか。

 

欧米のデータをベンチマークに使う点も、気になります。

これでは、欧米が目標になるだけで、方向性が正しいか考えないで進めることになります。

私は、日本人女性は素晴らしい実力を持つ方がたいへん多いように思っています。
男性が圧倒的に多い(日本は全て男性)ノーベル賞ですが、

受賞者数は日本は7位でアメリカの1割にも満たない数です。

人口比で見れば、ベストテンの圏外になってしまいます。
これに対し、ナイチンゲール記章の受賞者は日本が世界最多です。
そして、日本人の全員が女性です。これって、もの凄い事ではないですか?

(ナイチンゲール記章は男性も受賞対象に変わっています)




欧米のデータをベンチマークにするなら、
日本人女性はナイチンゲール記章を受賞し過ぎであり、
同時に、男性の受賞者を出すために、あらゆる施策を実行しなければなりません。

そして、欧米のデータに近づけるべきだとの結論になってしまいます。

ですが、その方向性を正しいと思う方は少数でしょう。

なんでもかんでも欧米をベンチマークにする必要はないのです。

欧米のデータが正しいとは限りません。

欧米を参考にするなら、比率ではなく施策であるべきです。

その施策の功罪を見極め、必要に応じて取り込んで行けば良いのです。


個人的には、日本人女性の理工系大学への進学率は、少し増えてほしいと願っています。

ゆっくりですが、今はその傾向も見られます。

ただ、全体としては理科離れが進行しているので、
男女を問わず、理科離れの傾向に歯止めが掛かればと願っています。