昨年は展示がなかったしんかい6500ですが、今年は展示されていました。
昨年に行われた耐圧殻内の大改修後では、耐圧殻の状態も確認されました。
潜水調査船において、耐圧殻は、浮力材と並んで重要な技術です。
中国の7000m級潜水調査船蛟竜は、耐圧殻はロシア製、浮力材は欧州の市販品を
使用しているそうです。(しんかい6500は、いずれも日本製)
蛟竜の運用最大潜航深度は、しんかい6500を上回る7000mですが、
安全限界でみると、しんかい6500の10050mに対し、
蛟竜は9625m(あるいは7700m)となっています。
蛟竜はしんかい6500を超えることを目標としていたので、
少々無理をしているように思えます。
それは、ライフサポート時間(緊急時の生存可能時間)にも現れていて、
しんかい6500の129時間に対して、蛟竜は84時間と短くなっています。
もちろん、設計が20年も新しいので蛟竜の方が優れている点もあるのですが、
乗るのはちょっと怖いですね。
さて、しんかい6500の耐圧殻ですが、実物を作る前に試験を行っています。
JAMSTEC横須賀本部には、その試験装置があります。
実物の3分の1ほどのサイズの耐圧殻を試験装置に入れ、圧壊するまで加圧しています。
その結果、目標深度6500mの約2倍の13200m相当の圧力まで耐えています。
下の写真は、13200m相当の圧力で圧壊した試験用耐圧殻です。
昨年の大改修で、耐圧殻の検査も行われましたが、製造当時の状態が今も維持されていた
そうです。
近年、後継機しんかい12000の話が出ていますが、中々予算化が進んでいません。
しんかい6500でも13000mに耐えられるから、
「しんかい6500でマリアナ海溝も潜ってしまえばいい」と冗談が出るほどだそうです。
ちなみに、しんかい6500は老朽船です。
老朽船とは、船齢が20年を越えた船を指します。
しんかい6500は、1989年に完成していますから、30年近い運用実績があります。
潜航回数も1500回を超えており、数々の成果と共に、30年に渡って世界の先端を
走り続けてきた性能と信頼性は、誇るべきものだと思います。
どこかの誰かは、「2位じゃダメなんですか?」とおっしゃいましたが、
30年も経過した老嬢にこれからも仕事をさせるのではなく、
しんかい12000を建造し、役割を分担させていくべきだと、私は思います。
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