日本人は、賢くなさそうです。
イエローモンキーそのままのように感じます。


企業で働いていると、政府が言っていることが、何も変わらずに一担当者まで下りてくることがあります。
「労働時間を短くしろ」
政府が言うと、一担当者にまでそのまま「労働時間を短くしろ」と言ってきます。
ドリルダウンという言葉が適切か分かりませんが、トップが言ったことをドリルダウンすることなく、末端まで伝えてしまうところは、日本の欠点の一つではないかと思うのです。しかも、関係者は、ドリルダウンしていないことに気付きもしないのですから、日本人は賢くないようです。

厚労大臣が「労働時間を短くしろ」と言うのは、問題ありません。
(本当は、1段階目のドリルダウンをすべきだが・・・)
それを言われた厚労省の職員は、裁量労働制を出してきた(与党案?)わけです。
まあ、時間を制限するだけの法案よりマシなのですが、昨年のような裁量権がない裁量労働制を提案するのは頭が悪すぎます。
(時間制限は医師の例外値を1860時間にしているので、政府の無能さがわかります)
この時は不祥事が明るみになって、裁量労働制は頓挫したのですが、結果的に「労働時間短縮」は、ドリルダウンされることなく企業に下り、企業内でもドリルダウンされずに、管理職もそのまま通過して、一担当者に伝えられています。
本来であれば、厚労省は、労働時間を短縮するための施策と法案を考えなければなりません。
労働時間を短縮する方法は、必ずしも自ら考える必要はありません。産学協同研究の形で、労働効率の改善を研究しても良いのです。仮に、労働時間を短縮することが難しいのであれば、通勤時間を短くするとか、週休3日制にして、通勤回数を減らすことで、労働者の拘束時間を減らす案があっても良いはずです。
ポイントは、国でしかできない対策を考えることが重要なのです。
企業も、取締役クラス、管理職クラス、労働者クラスで、それぞれできる事が異なります。
このような階層毎に改善するためのドリルダウンが重要なのです。


日本は労働力不足と言いますが、旧態依然とした労働形態を続けているために労働力不足に陥っていることが問題なのです。また、社会システムも、社会効率を上げられない構造となっています。
その一例は、仲買制度です。これがあるため、商品の流通過程で中間搾取が多く、生産者にも消費者にもメリットがありません。
これは、W/R比率に表されます。この数値は、欧米に比べて1.5~2倍も高いのです。これを欧米並に下げるだけで、百万人単位の余剰人員が生まれ、労働力不足も改善されるのです。
他の分野も同様です。

民間企業の多くで行われている改善活動は、基本的に末端の労働者が行います。階層ごとの改善活動は行われていません。正確に言うなら、中間層は改善活動を命じたことで、改善を行っているつもりになっているだけです。
日本の労働者階級には、底辺のレベルが高い特徴があります。
各国の上位0.01%(1万人に1人)を集めた集団を作ると、日本人は落ちこぼれ側に集まってしまうかもしれません。でも、ちょうど真ん中の人ばかりを集めたなら、日本人はダントツの能力を持った集団になります。実際、30代、40代の社会人の学力テストを行うと、日本人はダントツの成績を叩きだしています。
これが、日本の発展を支えてきたのです。
一つの技能に特化した職人であっても、他分野も多少なりともこなしてしまう場合がほとんどです。だから、トップの言葉をドリルダウンすることなく末端に伝えても、それなりの結果を出してきたのです。
ですが、様々な制約(法律や社会的な制約)で、やるべきことばかりが増え、有能な日本の労働者でも改善の限界を超えています。
この先、外国人労働者をいれるのなら、ドリルダウンできない日本人は、外国人労働者を使いこなせない可能性もあります。一般に、外国人労働者は自己主張が強く、言外の意味を理解しようとはしません。自力で改善を行うことは少なく、それだけに明確な指示が必要です。
つまり、労働力不足を外国人労働者で補う場合も、国内の社会効率を上げて労働力不足を改善する場合も、ドリルダウン能力の向上が欠かせないのです。

ならば、ドリルダウン能力を向上させ、社会効率を改善することで、労働力不足を改善するのが、日本にとって得策と言えるのです。
外国人労働者は、日本には5年しか滞在できないようにするのだそうです。彼らが日本に来る目的は、出稼ぎです。彼らに支払った賃金は、国外に持ち出されるのです。彼らへの賃金は、国際収支で言えば貿易外の支出になります。


いずれ、中国や韓国と、外国人労働者を奪い合うようになるでしょう。その時に、莫大な累積債務を抱える日本は不利になります。移民を解放する政策も考えられますが、社会保障が狙いの移民だけが増えて労働力が増えない事態も考えられます。
その時になって、問題の本質を探っても手遅れです。

当ブログでは、2100年の日本のあるべき姿として、このような問題の本質を検討しています。
本文中にもあるように、産学共同研究で労働効率改善を行っていく、仲買精度廃止の方向性を打ち出す、等の政策を実行していくことで、2100年の日本を明るくする力になると考えています。