水瓶座にトラピスト-1と命名された恒星があります。この恒星には、少なくとも7個の惑星があるとされています。

ケプラー望遠鏡が打ち上げられて以降、惑星系を持つ星が数多く発見されてきました。その中でも、トラピスト-1が注目を集める理由は、地球型の岩石惑星が少なくとも6個(b、c、d、e、f、g)もあり、その内の3個(e、f、g)がハビタブルゾーン内にあるためです。

 

ハビタブルゾーンは、恒星からのエネルギによって水が液体で存在できる領域を指し、地球型生命が存在する可能性があります。

SETIで有名なオズマ計画では、太陽(G型)に近いスペクトル型(G型とK型)を対象にした知的生命探査を行いました。オズマ計画の時代は、太陽より明るい恒星(OBAF)は寿命が短過ぎ、太陽より暗すぎる恒星(M型)はハビタブルゾーンが恒星に近くなりすぎるため、7段階のスペクトル型(OBAFGKM)の内のG型とK型を対象にしました。

 

トラピスト-1は、最も暗いM型に分類され、ハビタブルゾーン内のeとfは自転が同期していると推測されています。ですが、惑星gは生命が存在する可能性を持っています。

トラピスト-1が注目を集める理由は、ここにあります。

トラピスト-1の他にも、ハビタブルゾーン内に惑星を抱える恒星はあります。これらよりもトラピスト-1が注目を集めるのは、ハビタブルゾーン内にある惑星の規模が地球とほぼ同じであることがあげられます。

前述のオズマ計画で観測対象に選ばれたクジラ座τ星にも、地球型惑星は存在しますが、地球より重いスーパーアースと推測されています。スーパーアースは、マントル対流が起こりにくいため、磁場や物質循環が少ないと推定されています。これらは、生命の発生・進化や維持に不利に働きます。

これらから、地球型生命に都合の良い条件を備えているトラピスト-1が注目を集めるのです。

 

 

7月下旬は、トラピスト-1と同じ水瓶座の方向に見られる水瓶座δ流星群の観測のチャンスです。

流星群は、惑星に降り注ぐ彗星由来のチリですから、トラピスト-1で水瓶座δ流星群を見ることはできませんが、トラピスト-1に居るかもしれない知的生命を想像しながら、のんびりと星空を眺めてみるのもオツなものと思います。

 

2019年7月中旬の星図

東京天文台 天文情報センター 
(リンク⇒https://www.nao.ac.jp/contents/astro/chart-list/color-v1/ja/chart07.jpg


自由研究にする場合、こんなのはどうでしょうか。
毎日21時から22時までの1時間について、流星の出現数を数えるのはどうでしょうか。
7月20日から8月11日までの出現数をまとめ、その変化を見てみるのも面白そうです。
ただ、後述のように、ZHR20なので、夜空が暗いところでないと0個の日がほとんどになるかもしれませんので、御注意ください。




なお、夏の主な流星群を列記します。(リンクは流星電波観測国際プロジェクト)

・水瓶座δ流星群  (極大7月28日 ZHR:20)
 (詳しくはこちら⇒http://www.amro-net.jp/meteor-info/07_aqrdelta_j.htm

・やぎ座流星群   (極大7月31日 ZHR:4)
 (詳しくはこちら⇒http://www.amro-net.jp/meteor-info/07_capri_j.htm

・ペルセウス座流星群(極大8月13日 ZHR:100) ※三大流星群の一つ
 (詳しくはこちら⇒http://www.amro-net.jp/meteor-info/08_perseids_j.htm

・白鳥座流星群   (極大8月18日 ZHR:3)
 (詳しくはこちら⇒http://www.amro-net.jp/meteor-info/08_cygnids_j.htm



※ZHR:1時間当たり6.5等星以上の明るさの流星の出現数。
     明るさ毎の出現数が均等な場合、ZHRに対する明るさ毎の出現比は以下です。
      ・2等級:63分の1  ・3等級:25分の1  ・4等級:10分の1

     例えば、ZHRが100の時、3等級以上の流星は1時間に4個くらい見られる
     ことになります。(注:単純計算です)