小選挙区制は、得票率と獲得議席数が一致せず、
1票の重みは、与党に投票した場合と、野党に投票した場合とでは、約3倍の差があります。

最高裁では、1票の重みが2倍以上になる場合は、違憲であるとの判例があり、小選挙区制度は、違憲状態を生み出していると言っても良いのです。

そこで、当ブログでは、小選挙区制度の見直しの検討を始めています。


前回は、最高裁の判例や憲法の考え方を確認しました。

今回は、有権者が投票する際、候補者の中から投票先を選択する際の容易性を、検討していきたいと思います。





3.候補者の選択の容易さ


一般的に、議員定数の3〜4倍程度の立候補があります。

2021年衆議院選挙の小選挙区では、289議席に対して936人が立候補しました。

仮に、衆議院選挙を全国区にした場合、465議席に対して、1500人以上が立候補することになります。

こんなに立候補者が多いと、全員の公約を確認することは困難です。

立候補者の公約を確認できる範囲に収まるように、選挙区の定数を絞る必要があります。

公約の公知には、定数以外の工夫もあって然るべきでしょうが、ここでは定数の観点のみから検討を続けます。




最も気になるのは、「量的に選挙公報を読み切れるのか?」です。


立候補者が10名なら、10名の公約を見なければなりません。

立候補者が100名なら、100名の公約を見なければなりません。

立候補者が多ければ多いほど、選択肢は拡がりますが、選択の基準を確認する手間は増えます。

国政選挙の選挙公報に字数制限があるのか、確認できませんでしたが、地方選挙では、条例で600字以内に制限しているところもあるようです。

読書の読む速度は毎分600字程度ですから、選挙公報の1人分は1分程度です。

選挙公報に1時間以上も時間を割く方は、少ないと思います。多くは10〜30分程度だろうと、想像します。

となると、候補者数が30名以下になるように、定数を決めた方が良さそうです。