日本では、年間2億トンの石油を輸入しています。
天然ガスは、年間1億トンを輸入しています。
石炭は、年間2億トンを輸入しています。
日本の化石燃料の輸入依存率は、ほぼ100%ですから、 年間5億トンの化石燃料を消費していることになります。

・・・・・と、ここから先は、普通のブログでは「化石燃料からは、年間で約14億トンの二酸化炭素が放出される」と繋がるのでしょうが、少し視点を変えてみたいと思います。



地球上では、大気、海洋、生態系など、様々な形で循環が行われています。
例えば、生物が死ぬと、微生物によって分解され、植物や一部の動物によって生体内に取り込まれ、食物連鎖によって次々と別の生物の食糧となっていきます。そして、食物連鎖の頂点の生物が死ぬと、再び微生物によって分解されます。
この生態系の循環は、排泄物や呼吸にまで及びます。
また、大気や海洋も、生態系と同様に形を変えながら循環していきます。
同時に、それぞれが相互に影響を与え合ってもいます。

炭素、酸素、水素などの有限の材料が、あたかも無限であるかのように循環を繰り返しているのです。



さて、化石燃料ですが、化石燃料を使うことは、元々は地中にあったものを掘り出して、地上、海、大気中に捨てていることと同義とも言えます。
つまり、ほぼ地上だけで成立している循環の中に、地下に固定されていた化石燃料を無理矢理追加することになります。

化石燃料を使うことで、大気・海・生態系の循環に、大量の炭素・水素・窒素などを突っ込んでいるのです。


大気中に放出された二酸化炭素は、三分の一が大気中に残り、三分の一が海洋に吸収され、三分の一が植物に吸収されます。
地球温暖化では大気中に残留する二酸化炭素を、海洋の酸性化では海洋に吸収される二酸化炭素を、それぞれ問題にしているのですが、植物によって吸収される二酸化炭素も、元々の循環には無かったものだということを忘れてはならないでしょう。

日本で年間に放出される約14億トンの二酸化炭素の全てを、日本国内の植物が吸収したと仮定しましょう。
日本には、25万km²の森林がありますが、毎年1km²当たり5600トンの二酸化炭素を吸収しなければなりません。
二酸化炭素の内、酸素を大気中に戻すとしても、1km²当たり1500トンの炭素を吸収しなければなりません。
1m²当たりなら、毎年1.5kgです。
この状況は、化石燃料を使い続ける限り、変化はしないのです。
これでは、生態系の循環を維持する事は難しいように思います。



私は、以前から、地球温暖化は化石燃料の使い過ぎによる弊害の一つでしかないと言ってきました。
化石燃料の使い過ぎによる弊害は、海洋の酸性化にも表れています。
そして、もしかすると、森林の生態系、更には様々な循環にも、深刻な影響が見えないところで進んでいるのかもしれないと思っています。