私は、『改正』の意味を、「正しく改める」と理解していましたが、政権与党の面々は、「都合良く改める」と理解しているのでしょうか。
政治資金規正法は、使い終わった金魚すくいのポイのような大きな穴が開いています。
政治資金規正法は、使い終わった金魚すくいのポイのような大きな穴が開いています。
麻生氏は、次のような発言をしています。
「民主主義にはコストが掛かるが、政治の道を志す若い人が資金不足で関われないということかあってはならない。
パーティをはじめ、広く薄く大勢の人から支援をいただくことが大事で、必要性を理解してもらえるよう粘り強く取り組んでいく。
将来に禍根を残すような改革だけはやってはならない」
発言を分解していくと、次のようになります。
A.民主主義(政治活動)にはコストが掛かる。
B.資金不足で政治に関われないことは、あってはならない。
C.広く薄く大勢の人から支援をいただくことが大事。
D.政治資金集めの必要性を理解してもらえるように取り組む。
E.将来に禍根を残さない改革を行う。
まず、Aですが、政治活動にコストが掛かるのはなぜか、考えていくべきです。
そして、必要なコストなのか、コストを下げられないのかを検討しなければなりません。
となると、現状の把握が重要になります。
2024年6月19日に成立した政治資金規正法改正では、政策活動費の公開が10年後になりましたが、現状把握を10年も先送りにすることになります。
麻生氏は、これをどう考えるのでしょうか。
麻生氏は、Dのように、政治資金集めが必要だとしています。
また、政治資金パーティ券の購入者公開の上限を下がる案に反対していたと、報じられています。
これは、「政治資金を誰からもらい、何に使っているのかを伏せたまま、金集めをさせろ」と言っているように受け取れます。
この考え方は、贈収賄にも繋がりかねないリスクをはらんでいます。
政治資金パーティ券の収入は、消費税は非課税です。
誰が寄付したかわからない。
何に使ったかわからない。
でも、消費税は非課税。
それは、ないでしょう。
国会議員は、月額100万円の文書通信費があり、非公開で使えます。
税制面で優遇措置を受けている以上、文書通信費や政策活動費は、随時、1円単位で公開すべきです。
Aの問題(政治に金が掛かる)が解決し、コストを掛けずに政治活動ができるようになれば、Bの問題は解決します。
Cも、金銭的な支援ではなく、政治的な支援が中心になるので、より民主的な政治になっていきます。
政治資金集めの必要性を説くより、政策の必要性を説いていくべきなので、Dも内容が変わってきます。
問題は、Eです。
将来の禍根とは何か、再確認したいところです。
政治資金を集めることが難しいなら、何が問題になるのでしょうか。
政治活動が難しくなるのでしょうか。
もし、お金が無いだけで政治活動ができないのなら、当然、野党議員も困るはずです。
確かに、支持母体から政治資金が提供される政党も、複数ありますが、それ以外の野党も、与党案に反対していました。
そもそも、政党助成金があり、公費で政治活動を支援しているのです。
また、小選挙区制なので、選挙区が小さく、費用も掛からない選挙制度になっています。
それでもコストが掛かると言うのなら、小選挙区制を廃止し、全議席を比例代表制にすれば良いのです。
そうすれば、個々の選挙区を持たなくなるのて、選挙区での政治活動はなくなり、国政のみを考えた政治活動になるはずです。
(小選挙区制は自民党に都合が良いので、小選挙区制の廃止には反対するはず)
政策活動費の公開を先延ばしにしたり、企業団体献金を継続するのは、政治家が自由に使えるお金の確保のために見えます。
であれば、「将来に禍根を残さない」の『禍根』とは、政治家だけに関係するように思えます。
日本は、間接民主制です。
議員は、国民の代表であり、国民の代理として政治を行います。
であるなら、議員がどんな活動をしているのか、その活動にどんなコストが掛かっているのかを、国民は知る権利を持つと同時に、監視する責任があります。
だからこそ、政治資金も、国民が監視できる仕組みが必要なのです。
今回の政治資金規正法の改正は、それとは別の方向性を持っているように思えます。
連座制は、見送られました。
トカゲの尻尾切りは、これまでと同様に可能です。
政策活動費は、10年間は隠匿できます。
その間に、再改正すれば、非公開のままにできます。
政権与党は、今さえ乗り切ればどうとでもできると、考えているのでしょうか。
日本は、間接民主制なので、次の選挙で、国民は評価を下さなければなりません。
それをしないなら、自ら民主主義を手放すことになります。
来年の国政選挙には、是非、投票をしてください。
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