二世議員が多いのは、日本の政治にはマイナスです。
二世議員しか当選できないことは、間接民主主義からの逸脱を意味します。

もちろん、二世議員の全てが問題とは言えません。
優秀な二世議員もいます。
ですが、二世議員の増加は、能力とは関係なく当選できることを示しており、逆から見れば、二世でなければ議員になれないことも、示しています。

なので、二世議員の中の無能な立候補者を振るい落とす仕組みが、求められます。




そこで、無能な二世議員の誕生を制限する方法を考えてみます。
選挙に勝つためには、『じばん(地盤)』、『かんばん(看板)』、『かばん(鞄)』が大事だと言います。
そこから、無能な二世議員の古い落としを考えます。



二世議員の武器は、まず地盤です。
親または親族の地盤を、無傷で引き継ぐことができます。
これが、最大の武器になります。

次なる武器は、看板でしょう。
看板は親のものですが、「○○の子供」で、当然、苗字も同じですから、看板のほとんどを引き継げます。

鞄(カバン持ち:秘書のこと)も、親の秘書が、子供にも付いてくれる場合もあるでしょう。
これも、力になります。




では、どんな対策があるのでしょうか。

立候補自体を制限するのは、明らかに憲法違反です。
違う手段で、制限を掛けなければなりません。




【案1】親と同じ選挙区からの立候補を禁止する。

具体的には、配偶者親族を含む4親等以内の議員と同じ選挙区に、連続して立候補することを禁止します。

二世議員の最大の武器は、地盤です。
親の地盤から引き剥がせば、実力で地盤を作り上げていくしかなくなります。
多少は看板を引き継げるので、実力があれば当選できるはずです。
鞄は、地盤との繋がりが強いので、地盤を離れれば、鞄の力は半減します。

『お国替え』は、候補者調整のために行われることがあります。
なので、憲法違反に問われることはないでしょう。
ただ、法制化するとなると、微妙かもしれません。
また、小選挙区なら『お国替え』も容易ですが、大選挙区となると、親戚の選挙区を避けきれずに立候補できなくなるかもしれません。

小選挙区限定の対策案となりそうです。




【案2】大選挙区にする。

何とも簡単な対策です。

選挙区が小さいほど、地盤を作りやすくなります。
秘書が、地元の企業を丹念に回り、陳情を聞いて回ることで、地盤を作っていくことができます。
ですが、地域が広くなると、細かく回ることは難しくなります。
結果的に、地盤は弱くなります。

二世議員が増え始めたのは、小選挙区制の開始時期とほぼ一致します。
小選挙区制が二世議員を生みやすいのは、理屈の面でも説明できます。
ならば、小選挙区制を止めるだけでも、二世議員が生まれにくくなるはずです。




【案3】立候補を資格制度とする

無能でも、二世なら議員になることも可能です。
そこで、無能な人間を排除するため、資格制度とするのです。

立候補者を画一化された人材にしないため、資格試験の他に、国家資格合格と実務経験の組合せ(例えば、弁護士や医師、教員、看護師等を5年以上〉といったものを指定します。
実務経験の中には、地方自治体の首長や議員経験を4年(一期満了)以上といったものも、含めます。

この案を適用すると、私の場合、教員資格を持っていましたが、実務経験がないので、立候補資格はありません。
立候補する場合は、資格の試験を受けて合格するか、地方自治体で首長か議員を経験する必要が生じることになります。


ただ、二世議員は、例外なく大卒ですので、そこそこの資格試験なら、合格はするでしょう。




【案4】政策活動費を禁止する

「選挙は金で決まる」と言われるほど、選挙資金は高額になるようです。
そこで、選挙資金を工面するために、政策活動費等の名目で、政党から候補者へ選挙資金を寄付するようです。
政治資金規正法において、政党から政治家個人への寄付を禁じていないことを利用しているそうです。
2024年の政治資金規正法改正でも、ここは実質的にスルーされています。

二世政治家は、政策活動費を受けやすい立場にあると、想像されます。
そうであれば、二世政治家と他の政治家との間に不公平が生じることになります。
残念ながら、政策活動費の透明性は低く、「公平に分配されている」と言われたとしても、素直に納得できる状態にはありません。

政策活動費に問題があるので、個々の政治家間の公平性を担保するために、「政党から政治家への寄付の禁止」も、対策の一つとなるはずです。





4案を提案しました。
実効性と実績から、第2案の選挙制度の改革(小選挙区制の廃止)が、有効と考えます。

第4案は、選挙制度とは切り離し、政党助成金のあり方を含めて、検討していくべき内容だろうと思います。