ちょっと古い話ですが、2024年11月14日、JAXAのS-520-34号機で打ち上げた観測ロケットに、回転式デトネーションエンジンが搭載されていました。
なお、2021年7月には、S-520-31で、回転式デトネーションエンジンの世界初の宇宙空間での作動に成功しています。
今回の試験結果は、概ね計画通りだったようです。
推力 :438N(44.66kgf)
比推力 :244秒
作動時間:7秒
私は、比推力に注目してしまいます。
比推力は、簡単に言えば、燃費に相当し、数値が大きいほど好燃費と言えます。
比推力は、[推力]/[推進剤消費率]で求めます。
ロケットの性能は、概ね、推力と比推力で決まります。
特に、宇宙空間では、比推力が重要です。
ロケットは、推進剤を抱えて飛行するため、推進剤が少なければ、ロケットの総重量が軽くなり、推力を有効に使えます。
例えば、H3ロケットの1段目は、総重量の約9割が燃料です。
仮に、比推力を倍にできれば、燃料は半分になるので、燃料以外の重量(多くはペイロード)は5.5倍にもできます。
比推力は、非常に大切な性能なのです。
H3の1段目のLE-9エンジンの比推力は、425秒です。
はやぶさ2のイオンエンジンの比推力は、1700〜3400秒です。
デトネーションエンジンは、あまり効率は高くないようです。
デトネーションエンジンは、宇宙空間における高効率エンジンとして、期待されています。
効率の面では、イオンエンジンには及びませんが、姿勢制御や軌道修正に使える強い推力を得られるとして、開発が続けられています。
比推力を見ると、まだまだ実験レベルです。
ならば、現時点で考案されているパルス型や回転型だけでなく、新たなアイデアが出てくる余地もあると思います。
現在、打ち上げ時のエンジンは、固体燃料ブースターと液体燃料エンジンの組み合わせが主流です。
デトネーションエンジンは、現在の打ち上げ用エンジンに取って代わるタイプのものではないようです。
打ち上げ用のエンジンは、比推力より出力が重要なので、これを代替できるエンジンの開発は、簡単ではないと思います。
それ故、アイデアが大切です。
そういった全く新しいエンジンの発明を、個人的には期待して待っています。
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