閉鎖空間での居住実験としては、アメリカのバイオスフィア2が有名です。
あまりにも有名なため、我が国で行われた類似の実験は、知りませんでした。
まあ、規模も内容的にも、見劣りし、かつ時期も10年以上も遅れていた上、実験の概要もふらついていたようです。
なので、バイオスフィア2を知っていれば、それほどの関心を持つ必要もないのかもしれません。
ただ、当ブログにも関係する内容があるので、ちょっとだけ取り上げます。
実験の正式な名称は、『物質循環閉鎖居住実験』です。
青森県六ヶ所村にあるCEEFにて、2007〜2009年にかけて行われました。
(そう言えば微かに記憶が・・・)
バイオスフィア2とは違い、被験者は交代で行われたようです。
また、自然光を使ったバイオスフィア2とは異なり、栽培には人工光を用いています。
海や砂漠などの自然環境は用意されず、完全な循環系は構築されていません。
私の琴線に触れたのは、農地面積150m2 です。
これで、人類2人と山羊2頭を支えることができたとの結論を得たようです。
バイオスフィアでは、農地面積は2500m2 です。
これで、人類8人とピグミーヤギ5頭、豚3頭、鶏38頭の生命を支えました。
動物は、食用の家畜で、卵やミルクを得るために飼育しています。
(日本の実験では、搾乳に至らなかったそうです)
動物の飼育は、人が生きるために必須要件です。
なので、被験者の人数で農地面積を除したものが、1人当たりの必要農地面積と言えます。
日本の実験では、75m2/人となります。
バイオスフィアでは、312.5m2/人です。
当ブログでは、家畜を含めた1人当たり農地面積を、10a(1000m2 )としてきました。
これは、科学的な計算ではなく、作物毎の収穫量と日本の生産力と食糧自給率等から算出したものです。
自然環境下での実績を基にしているので、自然災害や気象等の外乱が含まれています。
なお、バイオスフィア2の耕作地当たりの収穫量は、東南アジアの5倍もあるそうです。
東南アジアの収穫効率で計算すると、1562.5m2 /人です。
これは、私の計算のざっと1.5倍の面積です。
私の計算は、東南アジアより1.5倍も高い収穫効率を見込んでいることになります。
日本の労働集約型農業の生産率が高いのか、実質食糧自給率が30%にも届かないのか、私の計算が太平洋岸を想定しているためか、とにかく東南アジアの収穫効率は、私の計算の2/3です。
日本の実験では、山羊は飼っていただけ、人工的に最適な気象環境下での農産等、かなり甘いデータではないかと思います。
これより良い数字は出てこないと考えると、別の意味で、参考になります。
熱機関のカルノー効率に相当すると考えれば、各国の農業の効率も測ることができます。
また、効率を無視してでも量を作らねばならない場合の限度を見極める指標にもなり得るでしょう。
バイオスフィア2は、砂漠の日照を農地に取り込みつつ、充分な水循環が行われたので、これも現実よりは良い生育条件だったはずです。
ただ、完全に閉鎖し(コンクリートが酸素を吸収して酸素分圧が低下したため、途中で酸素を注入しているので、完璧な閉鎖ではなかったが)、その中だけで2年間も循環させているので、実際の地球環境における循環に近いものになったはずです。
カルノー効率のように考えると、こうなりそうです。
・バイオスフィア2: 24.0%
・豊葦原中津谷 : 7.5%
・東南アジア : 4.8%
ちなみに、豊葦原中津谷は、日本の農業をベースに計算しています。
ですが、豊葦原中津谷では、農薬や種苗の輸入が止まることを想定しているので、実際には東南アジアのレベルに届けば合格でしょう。
東南アジアでは、15.6aで1人分の食糧を生産できます。
豊葦原中津国の農地は、60a余りありますが、耕作放棄地なので、どれくらいの戻せるか、わかりません。
計算上は、4人分は確保できるはずです。
バイオスフィア2と同等まで高められれば、20人分になりますが、流石に無理でしょう。
未だに手をつけられていませんが、まずは、1人分を目標に始めたいと思っています。
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