今年は、久々に日本から自然科学系の受賞者が出て、盛り上がりました。
それも、生理学医学賞と化学賞で、それぞれ1人が受賞されました。
自然科学系では、2021年の真鍋淑郎(受賞時、アメリカ国籍)の物理学賞以来でした。



【生理学・医学賞】

受賞者
 坂口志文氏         日本
 メアリー・E・ブランコウ氏 アメリカ
 フレッド・ラムズベリ氏   アメリカ

受賞理由
 免疫系の制御機構の研究
 ・制御系T細胞の発見(免疫抑制の仕組みの解明)
 ・Foxp3遺伝子の変異と遺伝性免疫疾患疾患の関係の研究



【物理学賞】

受賞者
 ジョン・クラーク     イギリス
 ミッシェル・デヴォル   フランス
 ジョン・マーティニス   アメリカ

受賞理由
 量子トンネル効果を実験で確かめ、量子コンピュータの基礎に貢献。



【化学賞】

受賞者
 北川進          日本
 リチャード・ロブソン   イギリス/オーストラリア
 オマー・ヤギー      アメリカ/サウジアラビア/ヨルダン

受賞理由
 多孔性金属錯体(金属有機構造体)の開発
 ・水素吸蔵合金等に応用されている。



【文学賞】

受賞者
 クラスナホルカイ・ラースロー  ハンガリー

受賞理由
 終末的な恐怖の真っ只中にあって、芸術の力を再確認させる説得力と先見性のある作品

代表作
 「サタンタンゴ」
 「北は山、南は湖、西は道、東は川」



【平和賞】

受賞者
 マリア・コリナ・マチャド    ベネゼエラ

受賞理由
 民主的権利を促進してきた取り組み
 近年の中南米において、類い稀な勇気を示した。



【経済学賞】

受賞者
 ジョエル・モキーア     イスラエル/アメリカ
 フィリップ・アギオン    フランス
 ピーター・ハービット    カナダ

受賞理由
 技術進歩の原動力となる仕組みを解明





ノーベル文学賞ですが、昨年と今年の意外な共通点ですが、2人とも京都を題材にした作品を書かれていました。
昨年の韓江(ハン・ガン)氏は『京都、ファサード』、今年のラースロー氏は『北は山、南は湖、西は道、東は川』を書いています。
まぁ、偶々なのでしょう。


生理学医学賞の坂口志文氏の奥様の坂口教子氏も、40年来の共同研究者だそうです。
現在も研究を続けておられるのか存じませんが、同時受賞の可能性はなかったのか、ちょっと気になっています。
キュリー夫妻は、1903年に物理学賞を同時受賞しています。
受賞者数の上限が3名となっていることは承知していますが、研究内容が、他の2人とは少し違うので、年を変えて同時受賞はなかったのかなと・・・


往年の課題である「基礎科学の支援の不足」は、また受賞者から指摘を受けました。
日本の学術界が置かれている状況は、想像以上に厳しくなっています。
研究者の6割は、研究職を続けられないかもしれないと、危機感を持っています。
ポスドクどころか、現職の研究者でさえ、研究を続けることが困難になっているのです。

今年、自然科学系のノーベル賞受賞者が出たのは、奇跡に近いように思えてきます。
2010年台前半をピークに、自然科学系受賞数は減り続けています。
次は、いつ受賞者が出るのか、後進国や政情不安の国のように、平和賞や文学賞だけになってしまうのではと、不安になります。

それでも、有色人国家のノーベル賞受賞者(自然科学系)の2/3は、日本人(受賞時にアメリカ国籍が3人)なのですから、とんでもないレベルの独占ぶりです。


もう一つの特徴は、日本の受賞者の全員が、国立大学卒で、2人を除いて公立高校卒でもあるのです。
これを見ると、国立大学に充分な資金を投じておかないと、この先の日本は真っ暗です。
特に、2004年の法人化後は、研究に割ける時間が減ったと言われています。
何らかの手立てが必要でしょう。

高市氏は、大学の運営費交付金や、科学研究費助成事業を増額したいとしていますが、防衛予算より優先的に増額するのか、見てみたいと思っています。