インドのニューデリー周辺の大気汚染が激しいため、人口降雨で洗い流す実験が行われました。
結果は、失敗でした。
大気汚染を人工降雨で洗い流す手法には、二つの問題があります。
一つは、大気汚染が酷い状態では、人口降雨は非常に難しいのです。
もう一つは、大気汚染が酷い状態では、人口降雨を行うべきではないのです。
大気汚染が酷い状態では、人口降雨が難しいのは、人口降雨の仕組みにあります。
人口降雨は、大気に充分な水蒸気量がある時に、ヨウ化銀のような雨の核となる物質を撒いて、水蒸気を凝縮させて雨にする仕組みです。
一方、大気汚染物質(エアロゾル)は、雨の核にもなり得ます。
大気に水蒸気が充分にあるなら、エアロゾルを核にして、雨が降っているはずです。
大気汚染が酷いなら、その領域の大気には、水蒸気は少ないのです。
大気汚染は、低層の問題なので、高層の水蒸気を雨に変えれば、大気汚染物質を除去できそうです。
ですが、大気汚染物質は、意外に高層まで届きます。
当然、高層でも、水蒸気量は少ないと考えられます。
大気汚染物質を除去する目的で人口降雨を行うには、運良く水蒸気量が多い大気が汚染地域の上空に流れてきた場合を狙うしかありません。
ただ、そんな時は、エアロゾルが多い領域なので、自然降雨になりそうです。
大気汚染物質を除去する目的で、人口降雨を行うべきではありません。
降雨に成功したなら、その雨は酸性雨になるからです。
雨は、大気汚染物質を取り込み、地上へと落ちていきます。
大気汚染物質の多くは、化石燃料の燃焼物なので、炭素や硫黄、窒素等を多く含んでいます。
これらが雨(水)に溶けると、炭酸水、硫酸、硝酸等の酸性水になります。
つまり、酸性雨になります。
もちろん、自然降雨でも、同じ現象が起こります。
大気汚染の対策は、人口降雨ではなく、元から断つことしかありません。
1970年代の日本でも、大気汚染が酷かったため、自動車や工場の排出ガス規制が行われました。
インドは、半世紀前の日本と同じ状況にあるのです。
ただ、インドは、日本とは異なり、元々乾燥した気候です。そのため、大気汚染物質が空中に長く滞留してしまうのでしょう。
また、日本は、山がちの地形なので、酸性雨が降っても、短時間に海まで流れ下るので、酸性雨の影響が緩和されたと思われます。
インドが、大気汚染に弱い気候ならば、尚のこと、真剣に排出ガス規制を行うべきです。
研究や技術開発にも、予算を使うべきでしょう。
国の指導者は、力任せの対処療法に走りがちです。
今回の場合は、人工降雨で大気汚染物質を洗い流そうとしました。
今回の場合は、人工降雨で大気汚染物質を洗い流そうとしました。
このような対処療法は、異なる新たな問題を起こしてしまい、問題の解決を遠ざけます。
国民は、抜本的な解決策を中心に、状況が酷い部分にだけ対処療法をするように、政府に求めていくしかありません。
そのためには、国民が賢くあらねばなりません。
日本も、賢く政治家を選んでいかなければなりませんね。
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