明けましておめでとうございます。


・・・と書いたものの、これを書いているのは、昨年11月初旬です。
(私にとっては『今』ですが)
新年の第一報に相応しいネタとして、MMXを取り上げることにしました。

おそらく、各TV局で新年ネタとして取り上げられているとは思いますが、今の私は知りません。




さて、MMX(Martian Moons eXploration)は、日本が主導する火星の衛星フォボスからのサンプルリターンの国際プロジェクトです。
今年、H3によって打ち上げられる予定です。
ただ、昨年12月22日のH3-8号機の失敗により、暗雲が低く垂れ込めています。
早期に原因が判明し、対策が終わる、または原因を回避した運用でMMXを打ち上げられると仮定して、話を続けます。


MMXは、『はやぶさ』から始まる日本の小惑星探査の延長線上にあります。

フォボスは、火星の二つの衛星(もう一つはダイモス)の一つです。
地球を周回する月とは異なり、火星に捕獲された小惑星と考えられています。
ラブルパイル天体説もありますが、そうであれば、成因はイトカワに似ているのかもしれません。


フォボスは、数千万年後、火星に墜落する運命にある点で、月とは大きく異なります。
フォボスの公転周期(7時間39分)は、火星の自転周期(24時間37分)より早いため、潮汐力によって公転速度に制動が掛かる効果が起こるのです。

ちなみに、ダイモスの公転周期(30時間18分)は、火星の自転より遅いので、火星に墜落することはありません。僅かずつ遠ざかっていきます。

月の公転も地球の自転より遅いので、年に3.8cmくらいのペースで遠ざかっています。
これは、アポロ11号が設置したレーザー反射板を用い、実測値でも確認されています。
(アポロ11号陰謀論者は、どう言うのかなぁ?)




MMXでは、JAXAが中心となって探査機を打ち上げ、ダイモスの観測とフォボスからサンプルリターンを狙います。
『はやぶさ』や『はやぶさ2』で培われた小天体のサンプルリターンの経験が、評価されているのです。
ですが、フォボスからのサンプルリターンは、容易ではないでしょう。

フォボスは、自重で球体になれず、歪な形状を維持する小天体です。
それでも、『はやぶさ2』が探査した『リュウグウ』の30倍くらいの重力を持ちます。
なので、サンプル採取は、しっかり着地して、2種類の手法で行うようです。


探査車による探査も行われるようです。
表面は、柔らかいレゴリスに覆われていると推定されるし、表面重力は地球の1400分の1くらいしかないので、どんな方法で走行するのか、その工夫が楽しみです。
探査車は、ドイツとフランスが担当するようです。
ポルシェのようなRR駆動や、シトロエンのハイドロ・ニューマティックにはならないでしょうが、どんな探査車が開発されているのか、楽しみです。




打ち上げ日は、明確にはなっていないようですが、火星との会合時期から、今年の秋頃には打ち上げられるはずです。

元々は、2024年9月に打ち上げる予定でしたが、H3の開発の遅れから、火星の会合周期(2年2ヶ月)を逃していました。
そう言えば、1号機の失敗は、2023年3月7日でしたね。
まぁ、済んだことです。


打ち上げに成功すれば、2027年度に火星圏に到着し、フォボスとダイモスを中心に火星圏の探査を行います。
フォボスへの着陸時期は明らかにされていませんが、2029年か2030年に行うのでしょう。

2030年に火星圏を離脱し、2031年に地球に帰還する予定です。



1998年7月4日に打ち上げられた火星探査機『のぞみ』は、当初からトラブルだらけでした。
予定外のスイングバイを繰り返し、2003年12月14日の火星到着を目指しましたが、2003年7月9日には通信が途絶しました。

『はやぶさ』初号機も、当初からトラブルだらけでしたが、全てのミッションに挑戦し、最後には地球への帰還に成功(ほぼ唯一の成功)しました。
(本体も大気圏に突入して燃え尽きたが、当初の予定では、突入しないことになっていた)
個々のミッションは失敗ばかりだったにも関わらず、世間から「成功!」と評価されたため、直ぐに『はやぶさ2』が企画・実施されました。
初号機の経験が活かされ、『はやぶさ2』は、拡張ミッションも含め、正真正銘の「大成功!」となり、なんとMMXの形で、火星探査の再挑戦のチャンスに繋がりました。

是非、MMXでリベンジを果たしてほしいと、願っています。




因みに、『はやぶさ』初号機の責任者を務めた川口淳一郎氏は、失敗した火星探査機『のぞみ』にも関わっていたそうです。

氏にとって、MMXプロジェクトは、感慨深いことでしょう。

もし、H3の打ち上げ再開が遅れたなら、MMXプロジェクトは2年も先送りになります。
H3打ち上げ再開が遅れてしまうなら、UZUMEプロジェクトの打ち上げを突っ込んでほしいところです。