前回は、前兆現象から地震の発生時期を予測するには、非常に小さな現象を捉える必要が
あることを説明しました。
ですが、まだ問題があります。
それは、東京大学のゲラー博士が指摘している内容です。
ゲラー氏は、次のように述べ、地震予知はできないと主張されています。
「予知できる地震はない。
これは鉛筆を曲げ続ければいつかは折れるのと同じことだ。
それがいつ起きるのか分からない」
この考えは、物性が分かっていても、破壊が起きる瞬間を正確に予測することはできない
ことを基にしています。
地下の状態は、均質ではありません。
物性が分かっていても予測できないのに、均質ではなく、地質も状態も分かっていません。
そんな地下で起きる地震を予知することは、不可能!だと言うのです。
ゲラー氏の考えは、至極真っ当なものです。
いつ限界に達して破壊が始まるか、予測は難しいでしょう。
ただ、実際に鉛筆を折ると分かるのですが、「これ以上曲げると折れそうだ」と感じる
ところがあります。
これは、指先の鋭敏な感覚が、前兆を捉えているためかもしれません。
もし、そうであれば、地震にも前兆があっても良さそうです。
気象庁が、「東海地震は予知できる可能性がある」と言うのは、東海地震には前兆滑りと
呼ぶ前兆があると考えているためです。
ところが、この前兆滑りにも問題がありそうなのです。
次回は、私見を交えて、この辺りを深掘りしたいと考えています。
-地震予知研究の手引き(地震の始まり2)-
コメント
コメント一覧 (2)
コメントありがとうございます。
私が経験した地鳴りは、一回だけです。
その経験では、地鳴りの数秒後に揺れが襲ってきました。
地鳴りは、直前に起きたM6クラスの地震の余震でした。
私が住んでいた場所は、その震源から30kmほどの距離にありました。
P波で地鳴りが発生すると仮定すると、地鳴りの7~8秒後にS波による揺れが届くと考えられるので、私の経験と一致します。
また、地鳴りは、地震によって励起されるとの研究もなされております。
地鳴りはP波で起きるはずですので、P波自体の揺れを体で感じる事もあると思います。
「あれ? 地震?」と思うのと同時に地鳴りを聞き、一瞬遅れて大きく揺れ出すのでしょうか。
それにしても、地鳴りの1~2秒で揺れると言うことは、震源に近いのですね。
熊本地震のような正断層の地震は、余震が長引くそうです。
どうか、御怪我などされませんよう、お祈りいたします。