前回は、前兆現象から地震の発生時期を予測するには、非常に小さな現象を捉える必要が
あることを説明しました。
ですが、まだ問題があります。
それは、東京大学のゲラー博士が指摘している内容です。


ゲラー氏は、次のように述べ、地震予知はできないと主張されています。

予知できる地震はない。
 これは鉛筆を曲げ続ければいつかは折れるのと同じことだ。
 それがいつ起きるのか分からない


この考えは、物性が分かっていても、破壊が起きる瞬間を正確に予測することはできない
ことを基にしています。
地下の状態は、均質ではありません。
物性が分かっていても予測できないのに、均質ではなく、地質も状態も分かっていません。
そんな地下で起きる地震を予知することは、不可能!だと言うのです。

ゲラー氏の考えは、至極真っ当なものです。
いつ限界に達して破壊が始まるか、予測は難しいでしょう。
ただ、実際に鉛筆を折ると分かるのですが、「これ以上曲げると折れそうだ」と感じる
ところがあります。
これは、指先の鋭敏な感覚が、前兆を捉えているためかもしれません。
もし、そうであれば、地震にも前兆があっても良さそうです。
気象庁が、「東海地震は予知できる可能性がある」と言うのは、東海地震には前兆滑りと
呼ぶ前兆があると考えているためです。

ところが、この前兆滑りにも問題がありそうなのです。
次回は、私見を交えて、この辺りを深掘りしたいと考えています。 



-地震予知研究の手引き(地震の始まり2)-